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芝居原案「君、いい雰囲気してるね?」※全文掲載。これは作家有栖川有栖さんが小説にしてくれます!
※これは、僕の芝居原案の一つです。これを、小説家・有栖川有栖の上原正英さんが小説にしてくれています。5年かけて一冊の本にしてくれるんです。本は、社団法人真色出版部「Avec la nature(邦訳:自然と一体)」で本にします。価格は未定。本屋には並びません。全てインターネット注文になります。
ここからです。
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《「君、いい雰囲気してるね」》
原案:病名命名屋・命名屋 山下眞史
小説化させる作家:有栖川有栖の上原正英(まさひで)さん
登場人物
上原:24歳。派遣社員。独身。写真と文章で生計を立てようと思案中。
宇垣廣信さん:現雅ピロのマスター。
森兆司:高校同級生。現雅ピロのシェフ。
山下翠子姫:学生時代からお付き合いして結婚した嫁。美容師。
あらすじ:
学生時代の話。兆司に言われた事がきっかけだった。
兆司:「騙されたと思って、一回食べに来てよ。」
上原:「何処の店?」
兆司:「一社にあるんだよ。もし不味かったらお金は俺が払うから」
上原:「そんなに自信あるんだ?」
兆司:「そう。本当に旨いから。カニクリームコロッケが最高に旨いよ」
上原:「そう、でも俺あまりカニ好きな方ではないよ」
兆司:「大丈夫、大丈夫」
上原:「まあいいけど。じゃあ、彼女と行くよ」
そう話をまとめ、当日を待った。
当日、不味かったらお金を出してくれるようだからと彼女に話し、雅ピロにバイクで向かった。
「よく来てくれたね。席は取ってあるから」
席に通され、カニクリームコロッケのセットを二人とも注文。
兆司が食べ物を運んでくれた。いよいよカニクリームコロッケが来た。
「・・・。旨っ!」
驚く程旨かった。彼女も残さず食べた。兆司も嬉しそうだった。
帰りに、お金を払いにレジに行くと、マスターがレジをやってくれた。その時だった。
宇垣マスター:「君、いい雰囲気してるね」
上原:「はあ、ありがとうございます」
店を出て、マンションにバイクで向かった。
数日後、兆司から電話があった。
兆司:「旨かったでしょ?」
上原:「最高に旨かったよ。本当にありがとう」
兆司:「マスターがね、上原のことをいい雰囲気してるねって言ったでしょ?」
上原:「ああ、言われた。でも、俺が新聞配達しているからじゃないの?」
兆司:「マスターは知らないよ」
上原:「知らないの?」
兆司:「そう、知らない。見た雰囲気で言ったと思うよ」
上原:「そう、嬉しいには嬉しいけど不思議だよ」
兆司:「マスターは人を観る力があるんだ。若い頃本当に苦労してこの店だしたから」
上原:「そうなんだ。でも、お世辞でもなんでもない、本当に旨かったよ。また行くよ」
そう電話で伝えて、受話器を置いた。(了)