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【読書録118】致知2024年3月号「丹田常充実」感想

 致知の感想をnoteに書いて、今回が30回目となる。

 本号の特集は、「丹田常充実」

立腰の重要性はおおいに理解しているつもりであるが、姿勢の悪さは、本当に修正出来ないでいる。丹田に気を入れた時の爽快感、充実感は実感しているが、なかなか継続しない。これを機に何とか改めたいところである。


総リード 丹田常充実

坂村真民先生の「光る」というタイトルの詩で始まる。

海から日は出で
満山の露が光る
まさに華厳
この時からわたしはしっかりと
光を求めて歩み始めた

「丹田に気力が充実していなければ、こういう詩は書けない」というが、本当に美しく、力強い詩である。

 そして、続けて、今までに致知に登場してきた丹田に気力が充実している方々の言葉を取り上げる。

 文面から、気力が満ち溢れている方々ばかりである。

真珠王と言われた御木本幸吉の言葉

「わしは百まで生きる。あと五年だ。これからの五年は二十歳から始めて過去七十五年間学んだ業績と同じ分量の仕事がやれる」

 百歳の時に三十年分の仕事の材料を買い込んでいたという彫刻家・平櫛田中の言葉

実践実践また実践
挑戦挑戦また挑戦
修練修練また修練
やってやれないことはない
やらずにできるわけがない
今やらずしていつできる
わしがやらねばだれがやる

そして、浅野総一郎の言葉

この世は一生勉強していく教場であって毎年一階づつ進んでいくのだ。年を取るのは勉強の功を積むことに他ならない

勉強とは学問だけではなく仕事を通じて自分を磨くことで、その勉強に真剣勝負の心構えで臨むことが必要、それを積み重ねて一年に達した時、人生学の教場の一学年を卒業させてもらえる

私にとってはこの人生学の教場を卒業するのはまず百歳だろうとちゃんと腹に決めている。昔から”男の盛りは八十から”という。あなたは五十代だそうですが、五十などは青年、大いにやりなさい

アラフィフ世代の私にとっての、大いなる檄である。
まだまだ人生折り返し地点。毎年毎年、新たな挑戦をして行きたい。

ソーシャルビジネスで世界を変える

 
 副題は、「業界を牽引するリーダーに学ぶ将の器、志の磨き方」
サラヤの更家悠介社長と、ユーグレナの出雲充社長の対談記事。
 タイトルの通り、ご両名とも、ソーシャルビジネスの先駆者である。記事を読んでお二人の芯の強さ、志の高さを感じる。

 本業のビジネスを通じて、社会課題を解決し、持続可能な社会を目指す。

最近は、よく聞くが、先駆者として取り組むことには、色々と困難もあったはずだ。

 その点について、お二人は、理念の重要性を説く。

更家社長は、こう言う。

目指すべき方向が定まると皆が安心して事業を進めやすいので、この軸をしっかり定着させることが、企業が発展していく要だと感じています。

それを受けて、出雲社長。

変化の激しい時代には、しっかりとした軸がなければ会社がグラグラしてしまいます。

 

 しっかりとした軸、とりわけ、社会課題解決という振り切った軸を設定するに当たり、お二人の信念となっているのは、持続可能性という面に関してはビジネスのほうが優れている面が多いということ。
 
  また人類が、このままのペースで生活を続けていれば、いずれ地球に人が住めなくなるという危機意識である。

 そのような信念を持つにいたるには、お二人の東洋古典をベースとした修養により器を磨いていることにあると思われる。

 この記事を読んで一番の発見が、出雲社長が、座禅をしたり、東洋思想を深く学ばれていることであった。

やっぱりリーダーは自らの器を磨き高めて、長期的な目線に立って勉強されているから、会社を磨いていけるんですね。

 東洋思想家の田口佳史氏に師事しているといい、三大修養法を紹介する。

「慎独」(独りでいる時こそ慎む)
「立腰」(腰を立て、姿勢を正しくすること)
「克己」(怠惰に上がれがちの自分の怠け心に打ち克つこと)

継続して学ぶ習慣をつけているという出雲社長。見習いたいものである。

一方の、更家社長も、大学や論語などからの引用が発言とし出てくるなど、東洋思想への造詣が深い。

 印象的なのは、以下の部分。

座標軸をしっかりと持ち、ブレないように自らを律し、丹田に力を入れて腰を据えると共に、変化や挑戦を恐れず常に情熱を以て前進し続ける姿勢が必要です。

自分なりの座標軸を持つこと、人にどう思われようと、行動すること。とても重要である。立腰すなわち、「丹田常充実」の精神が基本であることを改めて学ばされた対談記事であった。

  志の高さには気の充実が必須であり、東洋思想を中心に深く学び続け、現実の中で実践し続けないと、その志の高さは保てないと思う。そのためには、立腰により、気力を充実させることが一番の基本なのであろう。私も実践して行きたい。

人生、仕事の根本は「氣」にあり


野球評論家の廣岡達郎氏と、氏が若いころより稽古に励んだ心身統一氣道の会の会長である藤平信一氏の対談記事。

スポーツの世界における、「氣」の充実、その為の立腰の重要性。今まで、廣岡氏の考え方に触れる機会がなかったので、なかなか面白かった。そして何より、九十二歳を迎える氏の気力に圧倒された。

廣岡氏の言葉で印象に残った箇所。

僕はできないことをやるのが努力だと思っています。スッとできるのは努力じゃない。できないことを一所懸命にやり抜いたら意識せずとも動けるようになる。意識したらできるというレベルではプロは通用しません。意識しなくてもできるレベルまで鍛え上げて、初めて育成したことになるんです。

天風先生からは物事に対応する上で、心の持ち方がいかに大切か、恐怖がいかに心身に影響するかを教えていただき、大いに納得するものがありました。

勝って「氣が出る」のは当たり前。大事なのは、負けた時にこそ「氣を出す」こと。「氣」が出ていたらなぜ負けたのか、どうしたら勝てるかが分かります。

「氣」を出すこと。それこそ、丹田常充実なのであるが、藤平氏は、こう語る。

発表会の時など「大丈夫かな」「うまくやらなきゃ」と思うと、意識が上ずった状態になります。「落ち着こう」「集中しよう」と思うほど意識はさらに上がってしまう。大切なのは、余分な力を抜いて下腹の「臍下の一点」に心を静めることで、そうすれば本来使うべきところに心を使うことができるんです。

緊張した時には、掌に人の字を書くなど言うが、丹田を充実させた方が、威力がありそうである。しかしそれは、習慣化しておかないといけない。それこそ、まさに丹田常充実なのであろう。

 そして、廣岡氏の言葉で一番、印象に残ったのが「何事も考え方一つ」ということ。

脳卒中を起こしたのも、自分の生活習慣が問題であったと捉え、生活習慣を変えるきっかけにする。

悲運を嘆かず、主体的に生きる。その姿勢に「氣」がでる。

その人なりの「生き方」って本当に大事だと思う。
他人の目を気にせず、自分らしく、自分の人生くらいは、自分で決める。
軸を定めるのに、立腰、丹田常充実って本当、大切だなあと思う。


 

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