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【読書録3】「ソニー再生~変革を成し遂げた異端のリーダーシップ~」を読んで

ソニー前CEO平井一夫さんによる「ソニー再生~変革を成し遂げた異端のリーダーシップ~」(日本経済新聞社)を読む。

読了後、爽やかな気持ちになる。「ソニー再生」というタイトルであるが、著者である、平井さんの半生記というような内容である。

子供のころから、海外と日本を行き来して常に「異端」というポジションにあった。社会人になってソニーに入社。と言っても、CBS・ソニーという
エレキを主流するソニーの中で決して主流とは言えない中でキャリアをスタートさせる。

ワークスタイルのバランスに対する考え方なども、非常に好感を持てる。

 人との出会いの中で、様々な業務を経験して、ターンアラウンド経験を積み重ねていき、ついにはソニーの社長としてソニー全体のターンアラウンドに挑戦していくのは「運命」を感じる。
3つのターンアラウンドの中で、会得したのは、人の話をとことん聴くこと。わからないことは率直にわからないということ。異見を求め受け入れるが、決めた後は決してぶれずに実行していくこと

「EQリーダーシップ」という言葉が何度も繰り返される。戦略を、どう落とし込んでいくかには、共感を生む、リーダーのメッセージは重要。
ソニーの存在意義として、KANDOを掲げ、愚直なまでに、繰り返し説いていく姿に、経営の本質的なものを感じる。
 

 なるほどと思ったのは、規模の拡大を追わないという中で、今まで掲げていた売上高という指標をROEに変えたというくだり。

「ソニーの経営の目標が「KANDO」の創出にあるなら、ROEは経営の規律である。」
ここで重要なのは、「ROE10%以上」はあくまで「経営指標」であるということだ。目的ではない。目的はあくまでお客様にとって「KANDO」のある商品やサービスを提供し続けることだ。

これは、当たり前と言えば当たり前であるが、ここは見失いがちである。手段と目的を混同しがち。事業を行う大義を見失ってはならない。

 また事業の再構築を行う中で、CEO直轄で「次の芽」を育てていったこと。これも、社員とのダイレクトコミュニケーションの中で生まれたもの捉えた。また一人の目ではなく、異見を戦わせながら戦略を構築していったことも、こういうことができた要因か。

 読了後の爽やかさは、本人の率直な語りから来るものだと思う。6万以上の社員を引きつけ、その力を引き出す魅力は文章からも伝わってくる。
また次の夢である子どもの貧困と教育格差のことで締められているのも爽やかさを感じる要因か。

私自身は、会社の中で、異邦感を感じることも多いが、「どう筋を通すか」、「何を軸として、周囲の目を気にせずやるか」、「異見を取り入れる」というのは考えさせられた。

ソニーは、現在の吉田体制になり、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパスを掲げる。
私自身大好きなブランド。今後もパーパス通りの会社となって、輝き続けてほしい。

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