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【読書メーターまとめ】2023年9月に読んだ本

 9月に入り、少し時間ができてきた。
図書館の1か月に休館期間中に借りた本や人財開発系の読書が中心の9月であった。

2023年9月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2427ページ

https://bookmeter.com/users/1268958/summary/monthly/2023/9


■バブル:日本迷走の原点

読了日:09月02日 著者:永野 健二

バブルを「踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らにゃ損損」と阿波踊りに例え、日経記者として、バブルで踊る人々を間近で見てきた著者ならではの多様な面々を取り上げる。ただ本書の価値はそこにあるのではない。「日本迷走の原点」という副題の通り、冷戦体制が崩壊する中、構造改革に真っ向から取り組まず、バブルへと突き進む姿を現在のアベノミクスに重ねる問題提起に価値がある。宮沢首相と三重野日銀総裁の幻の公的資金投入。トップのリーダーシップでも如何ともしがたい硬直化した日本社会の姿を描く。あとがきの父とのエピソードにも感動。

■ダビデの星を見つめて: 体験的ユダヤ・ネットワーク論

読了日:09月06日 著者:寺島 実郎

「歴史を忘れた民族に明日はない」著者のユダヤ論を読んでそんなことを感じた。「文献・対話・体験」という全体知から迫るユダヤ・ネットワーク論は興味深い。離散と移動の歴史からユダヤ的思考の中心の価値観を「高付加価値主義」「国際主義」と指摘する。個の力をベースにしたネットワークの力こそユダヤの力なのである。同調性、異質を排除を特質とする日本人にとって学ぶべき点が多い。またモーゼ、キリストからマルクス、アインシュタイン、フロイトさらにはハラリの名前をあげ、「根本の構造を問い返す」のがユダヤ的思考とするのも興味深い。

■人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門

読了日:09月07日 著者:中原 淳

なかなか言語化しにくい分野についてよくぞ体系的にまとめてくれたものである。本書のキーワードである「アカデミック・プラクティショナー」はまさに私が目指したい姿である。「科学知」と「臨床知」を兼ね備え課題解決にあたるプロフェショナル。「科学知」も元々は「臨床知」を体系化したものであり、「巨人の肩に乗って」、現実を見ながら課題解決にあたっていくという事と理解した。人材開発・組織開発についてもコンパクトにまとめられており、復習や著者の他の著書へのステップとしても良い。自ら学び続ける存在というのも心に響くなあ。

■起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

読了日:09月09日 著者:大西 康之

リクルートを「紙のグーグル」とする著者のネーミングの妙。読了後には「天才を殺す凡人」という言葉が思い浮かんだ。江副は自らにカリスマ性がないからこそ「君はどうしたい」と内発的動機付けを重視し、人財採用狂として実力主義に徹する。ダイバシティーが組織を強くする証左と言えよう。そんな江副を何が狂わせたか?転機は、第2電電で稲盛に外されたこと?江副が残した「自ら機会を創り出し、機械によって自ら変えよ」という社訓や「もっといかがわしくなれ」とリクルートのDNAを継いだ中内。そこから我々が学ぶことはたくさんあるはずだ。

■定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考 (光文社新書 1255)

読了日:09月11日 著者:石山 恒貴

現在48歳の私にとり、これからの生き方を考える上での良書。定年前と定年後の働き方を地続きと捉え、連続的に考える。サードエイジを第二の成長の時期と考え、50歳くらいから第2の成長に向けて、準備を始めるのが良いというのは心に響いた。サードエイジは自分にとって意義ある目的を追求し、自分の情熱・動機・強みを「自己の成長と専門性の追求」と「全体性」に結び付けるという。起点は自分なのだ。感謝の気持ちを表す、楽観的になる、他人と比較しない、人生の意味を感じる親しい人を大切にするという幸福感を高める行動・習慣にも共感。

■入門 組織開発 (光文社新書)

読了日:09月24日 著者:中村和彦

久々に再読。日本の組織開発の第一人者である中村先生による入門書。組織開発とは何たるかを教えてくれる良書。組織開発には「人間尊重」「民主的」「当事者中心」などの価値観が根底にあり「何をするか」というより「どうありたいか」(being)を重視するという。組織開発における究極的な問いを「あなたはどのような関係性が育まれている職場や組織を作りたいか?」とし、「1人1人が活き活きとし、働く幸せを感じる職場をつくりたいと願うならば、そのような価値を提供できるように日々の関わりを実践すること」と言うのはグッとくる。

■リーダーシップ教育のフロンティア【研究編】: 高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」

読了日:09月27日 著者:中原 淳,舘野 泰一,高橋 俊之

リーダーシップを「職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力」と定義、「メンバー全員が発揮するもの」「訓練可能である」事をベースにする。人間の力による価値創造・変革が求められる時代であり、大学や企業がリーダーシップ教育に力を入れるのは納得できる。どのようにその能力を伸ばすかを経験学習理論などを使い科学的に設計していく。「率先垂範」「同僚支援・環境整備」「目標設定・共有」をリーダーシップ行動の最低限必要な要素とするのは、普段の仕事でも参考になる。今後、ますますの発展を期待したい。

■言志四録(2) 言志後録 (講談社学術文庫)

読了日:09月27日 著者:佐藤 一斎,川上 正光

言志四録の全文を読みたくなり手に取り、少しずつ読み進める。大儒学者となってからも己を律しながら生きていく佐藤一斎は、人生100年時代の現代日本人の善きお手本になろうと思う。言志後録は、一斎が57歳から約10年間で記載したというが、まだまだこれから自分を高めようとしていく姿が伝わってくる。「士気に老少なし」などその典型ではないか。西郷隆盛は、言志四録から自分が気に入った101条の抄録を作って、座右の誡めにしていたというが、私もあやかりたいものである。一度読んで終わりにならない何度でも読みたい本である。

最後に:1か月の読書を振り返って

 今月は、図書館で借りてきた本で当りが多かった。
そして、「定年前と定年後の生き方」には、自分のサードエイジの生き方を考えさせられた。
 言志四録も究極的には、私にとってのサードエイジの生き方の指針なのかなとも思う。

 今月も振り返ってみて感じるのは本の素晴らしさである。


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