サボニウス型風力発電機の制作を通じてエネルギーを学ぶ
①実験の目的
高校物理の総まとめとして、風力発電機を制作させた。太陽光発電にしろ、風力発電にしろ利用したことがある人は多いが、自作する人は圧倒的に少ない。そこで生徒には物理の基本原理を活用してエネルギーを自ら生み出す実験を総まとめに行なった。
今回、9月に高校3年物理の教科書内容がすべて終わり、10月に電磁誘導や交流、エネルギー収支といったことを実験を通じてまとめる良い機会となった。
②授業案
準備
・ブレッドボードセット
・ジャムボード
・生徒用クロムブック
・教員用iPad
・サボニウス型風力発電セット
⑴風車の制作
廃棄ペットボトルとスポンジ、金属串を使ってサボニウス型の羽を作る。
羽の下部には、八角形に切り抜いた木にネオジム磁石を2つずつつけたものを接着させている。
この羽が、本体側のコイルの中で回転することで交流を発生させる。
⑵羽と本体を合体させる。
本体下には、立方体の木片を4つ配置して、それぞれにボビンに非常に細い銅線を付けている。それぞれの銅線の接続し回路になるようにある。
また、羽を固定するために、支柱を付けてある。
羽根がずれたり倒れたりしないように、羽との接続部分は、ネジを止めるナットボンド固定しておくことで解消してある。
羽と本体を接続させ、下敷きなどで風を送り、上手く回転するかチェックをさせる。
⑵ブレッドボードの作成
スキルアップ向上を目指し、ブレッドボードを回路基板を作らせた。
教師はタブレットと電子黒板とを活用しながら、ブレッドボードについて説明をする。
ブレッドボードの中央部分に赤LEDを接続させてブレッドボード完成。試しにブレッドボードと乾電池を接続。上手く点灯する生徒と点灯しない生徒が出てくるので、LEDと電池の向きを注意させる。ここでもダイオードの整流作用を確認できる。
⑶ブレッドボードと本体を接続し、風力発電機完成
下敷きで風を送り、交流が発生。
⑷もう一つLEDを並列接続させて、交互に点灯することを確認する。
スマートフォンのスローカメラ機能を使って、交互に点滅する様子を確認して生徒はおおはしゃぎ。
⑸イージーセンスで交流の様子をみる。
教員用の機器にイージーセンスを取り付けて、波形を確認させる。
⑹回路に抵抗ダイオードを接続させて、半波整流させることで、交流を直流にしていく。
⑺コンデンサーを使って、平滑させる
本来であれば、2つのLEDに並列させてコンデンサーを接続する。しかし、予備実験で上手くいかなかったので、生徒には事情説明して改めて、配線の長さを使わない回路で実施することを伝える。
⑻イージーセンスで半波しただけの波形と、さらにコンデンサーで平滑した波形確認させる。
平滑した際は、クラスで拍手喝采👏
交流から直流が取り出せたことに大喜びであった。
③教師側の感想
この実験は、東京理科大で行われた教員免許講習の研修会で川村先生の講習を本校の環境で行えるように2年越しで温めてきた実験で、成功した時は本当に本校でできることに感動した。
物理実験は、どうしても理屈っぽいところが多いが、この実験は工学的な実用性を感じさせてくれる。それでいて、物理の基本原理をしっかりと体感できるので学校でしか行えない授業の一つのモデルとなるはずだ。
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