ひかりがたりすと

光愛好家。 大学で学んで以来、企業で光に関する研究に没頭。 現在はフリーサイエンティストとして、研究、執筆活動などを行なっている。

ひかりがたりすと

光愛好家。 大学で学んで以来、企業で光に関する研究に没頭。 現在はフリーサイエンティストとして、研究、執筆活動などを行なっている。

最近の記事

【日々是光日】#5 放射状雲

 向こうの地平から放射状に広がって見える雲。放射状雲だ。放射状雲を見る時、なんだか心が沸き立つような感覚になるのは何故だろう?  さて、この時見えていた雲は、上空を西に向かう飛行機が残した飛行機雲。実際には上空から地平に向かって平行に並んでいるはずなのだけれども、遠近の錯覚で、いかにも地表から放射されているように見えてしまう。  どうしてこんな錯覚が起こるのか?  人間の目は、数m位の距離であれば目の焦点調整を行う。脳はそれを察知しているので、景色と距離は連動している。

    • 【日々是光日】#4 アスファルトはなぜ色褪せるのだろう?

      子供の頃、アスファルトは敷いたすぐ後には真っ黒なのに、月日が経つとなぜ色褪せて灰色になってしまうのだろうと、不思議に思っていた。アスファルト自体は炭素化合物の黒い液体で、これに骨材として小石や砂利を混ぜて敷いたものが、僕たちがアスファルトの道路と呼んでいるものだ。 敷いた直後は骨材表面にもアスファルトが付着しているから真っ黒に見えるのだけれども、再表面ではアスファルトが次第に剥がれて、骨材自体が見えてくるために黒が薄くなるのだろうか。 ところで、色褪せたアスファルトの道路

      • 【日々是光日】#3 雨滴のマルチバース

        雨の日の外出だ。新幹線の窓にはたくさんの雨滴が。 窓の向こうの景色は上(空)が明るく、下が暗いのだけれども、雨滴はどれも下が明るく上が暗い。よく見てみれば、全ての雨滴には向こうのビルの景色が逆さまに映っている。一つ一つの雨滴がレンズになって、向こうの景色をこちらに投影しているのだ。それぞれの雨滴の形には個性があるので、見える景色も少しずつ異なっている。左側の繋がって流れる雨だれには、なんだか不思議な光景が映っている。まるで雨滴たちがマルチバースを作っているようで、眺めていて飽

        • 【日々是光日】#2 オーレオール効果    後光が見えるか

           写真は、カナダ・ビクトリアのフィッシャーマンズワーフの海面に現れたオーレオール効果だ。僕の頭の影を中心に放射状に光がゆらめいている。オーレオール(Aureole)は後光のこと。キリストなどの聖者の頭の後ろから放たれる後光のような風景なので、この名前が付けられたのだろう。ネットで「オーレオール効果」と調べてもなかなかヒットしないのだけれど、"Color and Light in Nature" (Cambridge university pless)という本には、しっかりとA

          【日々是光日】#1.量子もつれ

          今年のノーベル物理学賞は量子もつれだだった。3名ともに光を用いた実験で量子もつれの存在、可能性を明白にしている。アインシュタインが「量子もつれなんんてあるわけがない」と論争していた時代からということになると、発祥から100年越しくらいの学問だ。もし、ジョン・ベルやレオナード・マンデルが生きていたら、誰がノーベル賞の3名に選ばれたのだろうと、ちょっと下世話なことを考えてしまう。 それにしても、日本でも実は数多くの本が出版されていて、ファンも少なからずいる量子もつれだけれども、物

          【日々是光日】#1.量子もつれ

          【日々是光日】#0

          僕たちの周りには光が満ち溢れている。 自然現象としての光はもちろん面白い。 でも、光は、言葉や文化、そして心の中など、あらゆるところに存在している。 そんな光たちについて、ゆるゆると綴っていきたい。

          【日々是光日】#0