接触がなければ「ファウル」にならないのか?
皆さん、こんにちは。家本です。
今回はX(旧ツイッター)で以下のご意見を頂いたので、8月26日に行われたJ1リーグ 第25節「川崎フロンターレ vs コンサドーレ札幌」戦の岡村大八選手の退場について、簡潔に解説しようと思います。
この件に関して僕は、DAZNの「ジャッジリプレイ」で「映像では接触があったかどうかはっきりしない」とコメントしました。
それは本心ですし、何度見ても「正直分からない」と今でも思っています。
そうなると「接触がなければファウル(反則)ではないだろ!」と多くの方が思うと思います。それは感情的によくわかります。ですので、個人的(主観的)見解ではなく合理的な見解、すなわち「競技規則はどうなっているのか」をまずは確認したいと思います。
競技規則は、次のように記されています。
太字で示した通り、「ける(打つ、つまづかせる)、またはけろう(打とう、つまづかせよう)とする」行為が「不用意に行われた」と主審が 判断すれば反則と "認定" されるということです。
言い換えれば、「接触した事実はない」としても、ける、打つ、つまづかせる、という行為が "未遂(接触はない)" であっても行われたと主審が "主観的に判断" すれば「反則」ということです。
たとえば、A選手がB選手に対して感情的になって殴りかかったとします。幸い、殴りかかった右パンチはヒットしませんでした。この場合、A選手は「ヒットしなかったからノーファウル」と判断されるでしょうか。
あるいは、C選手の激しいチャレンジをD選手が受けました。結果、思わず感情的になってD選手はC選手を蹴ろうとしましたが当たりませんでした。この場合、D選手は「当たらなかったからノーファウル」と判断されるでしょうか。
なかなか難しく、かつ「浸透していないポイント」ですが、今回の最大の論点です。
これらを踏まえて、今回の岡村選手とマルシーニョ選手の状況を、もう少し丁寧に解説しますね。
VARが介入した50分17秒のシーンは、以下のような状況でした。
1-1. 岡村選手のタックルは、間違いなくマルシーニョ選手に向かっている
1-2. 接触の有無が、DAZNの映像でははっきりしない
1-3. マルシーニョ選手がタックルを受けた状況は、以下のとおりである
・タックルを受けた瞬間、半径10m以内に札幌の選手は誰もいない
・タックルを受けた瞬間、半径15m前後に札幌の選手が2人いる
・マルシーニョ選手は、全体的に札幌ゴールに向かっている
・マルシーニョ選手は、すぐさまボールをコントロールで状況にある
・マルシーニョ選手は、"不用意なタックル" をギリギリでかわした(接触している可能性もある)
「今回の状況」を競技規則とすり合わせると、岡村選手のタックルが「不用意」かつ「相手に悪影響を与えた行為」だったことはご理解いただけると思います。その結果、「DOGSOの4要件を高い確率で満たしている」というのが僕の見解です。
よって、僕は「接触の有無ははっきりしない」ものの岡村選手の行為を「 "ファウルタックル" が行われた」と解釈してその後コメントしています。
「決めつけ」と言われると悲しいですが、個人的には事実(映像+競技規則)に基づいてコメントした、ということをご理解いただけると嬉しいです。
もちろん僕の見解が「絶対解」ではありませんし、主張するつもりもありません。JFA審判委員会が、別の見解をする可能性は十分にあります。
ですが、
1.たとえ接触がなくても「ファウル」と判断されることはある
2.それは競技規則にも明記されている
3.最終的に決めるのは主審
という事実を、多くの方に知っていただけると嬉しいです。
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