パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)
YouTubeの都市ボーイズさんお二人のコンテンツ「都市ミナティチャンネル」(ポッドキャストにおける名称は「都市伝説・おかんとボクとときどきイルミナティ」だったかな)で動物大量死をあげていて、ちょっと調べた。
象の方はその年の3月4月くらいから始まって6月くらいにおさまったらしい、象の死亡事象であったらしい。ずいぶんと死体がみつかるよねーって感じとして日本語ナショナルジオグラフィックの記事にあった。死因は推定でシアノバクテリアが産出した象だけを神経毒(挙動のおかしい象の目撃談もあったことから)らしいと断定された。なにぶんアフリカである。死んだからといって司法解剖する以前に遺体(動物でも「遺体」でよいのだろうか「死体」なのか?「遺骸」なら意外に……いやなんでもない)の発見が死亡してから数日後ってケースが多かったようだ。雨季と乾季が交錯する土地とあれば危険なシアノバクテリアの特定も難しいだろう。毒素が滞留するタイプでなかったらしいことは象だけの死亡数が目立ったことで示されている気がしました。
ユーラシア大陸内陸部に位置する(って言い回しはあんまりしないけけれど)カザフスタンの野生動物サイガ(鼻ががばっと広がったガゼルを想像してもらうと近いかも)の大量死(20万頭といわれている。2015年発生)した。その死因が、題名にした菌による敗血症であったという調査研究の結果に基づく記事が日本語版ジオグラフィックにあった。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/013100045/
パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)は、哺乳類の鼻の奥、上気道にいるありふれた微生物だ。人間にも常在しているらしい。種類が違うのか、たとえば犬やら猫やらに噛まれると人間だとパスツレラ病というのに罹患する場合もあるらしい。多くは免疫系が発症(自覚まで至る炎症)を抑えてくれている、らしい。医学方面では「未発症」は研究対象の外なのでシロウトそこはが空想で埋める。ご了承を。
普段おとなしいとされる微生物が大腸菌O-157のように不意に牙を剥いたのか!と妄想を逞しくしたいところだけれど、そもそもパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)の名前の後半、multocidaの由来はラテン語のmultus「多数」とcidus「殺す」からきている。前半のPasteurella は、かの有名なパスツールさんからきている。……と上のリンク先の記事にあった。大分類ではパスツレラ・ムルトシダであっても「株」のレベルで動物種や個体ごとに種類が特化していて、穏当な免疫系としての意味での「契約関係」がない種類に対しては激症化する、ということらしい。
それにつけても、野生のサイガで起きたことは、まあ人間でも起きうるだろうから、ひとつ覚悟はしておいたほうが良いのかもしれません……いやべつに不安を煽る気はないです。人類の医学と医療施設でこの類には対処可能と信頼はしてます。けどまあ、こういう知見を持っていたら早期に「気付ける」可能性を増やせるんじゃぁないかなあって思う次第です。
それにつけても、サイガちゃん、まぬけかわいいー。