常識という虚像
「土用の丑」
「ジュンブライド」
「梅雨入り宣言」
これらに共通する事をご存知の方はいるだろうか?
もしかすると、どれかひとつは知っているという方も多いかもしれません。
これら3つの共通項。
それは、『マーケティング戦略』です。
え?意味分からんし。
何それ、美味しいの?
という方、とっても美味しいです。
ちなみに、上の三つを並べると、知ってるよ!という方でも、質問を変えるだけで意外と困ったりすることもあると思うので、あえて一つだけ聞いてみます。
鰻の旬はいつですか?
そりゃ夏でしょ!暑い時に沢山食べて精力付けないと。と思った方、大好きです。
実は、うなぎの旬は冬です。
と言っても、天然ものの旬が冬場だというだけで、養殖物は夏場に旬が来るように生育されているので、日本で提供されている鰻の多くは夏で正解なんですがw
これ、幕末の時期に「夏場にうなぎが売れなくて困っている」と相談された平賀源内が”土用の丑の日”という看板を出して売り出すようにアドバイスしたことが始まりだと言われています。
そして、それが現代まで引き継がれて、ひとつの文化を形成し、夏場が旬だというご認識を常識レベルにまで浸透させたんです。
つまり、”売り方”によって、非常識をひっくり返したというもの。
実は、冒頭の残り二つも全く同じです。
ジュンブライドは、雨が多くて人気のない6月に挙式をあげて欲しいと考えた結婚式場のマーケティング戦略。
梅雨入り宣言を出すことで、傘の売れ行きが変化するため、仕入れの量を調整するために、今で言うところの百貨店と気象庁が仕掛けたもの。
特に、梅雨入り宣言については反論される方がいそうですが、梅雨入りの基準は、
1.晴天が2日以上続いた後
2.梅雨前線の影響で前日と本日が雨
3.その後1週間の天気予報が雨または曇り
となっています。3に注目して頂きたいのですが、「予報」が基準に入っているなんておかしいと思いませんか?
この3つのように、世の中には企業側の都合等によって、文化として昔からあったものであるかのように信じ”され”られているものが溢れています。
常識だと思ってあるようなことでも、明確な理由を知らない場合には、調べてみると面白い発見があると思いますよ。
そして、1番お伝えしたいことは、ここからなんです。
今の時代は、マーケティング業界の権威であっても、「何が」売れるのか予測することが出来ないと言われています。
嘘みたいなホントの話で、専門家に対して「今の時代に売れるものは何ですか?」という質問を投げかけた際の答えが、『今の時代は、売れるものが売れます』というものだったという話。
そりゃそーだろ!
とツッコんでしまいそうですが、実際のところはそういうことなんだと思います。
良いものが売れる時代は終わりを迎え、モノよりコトなんて言われた時期もありましたが、それすらももはや古い。
結局のところ、ものやサービスの良さだったり、それに付随する体験だったりというのは、「当たり前」になっていて、我々消費者はさらにその先を望んでいる。
だからこそ、売る力がこれから先は必要不可欠です。
冒頭の3つの例は、本当に分かりやすい例なので、もう一度戻りますが、3つに共通することは「売れていない」からスタートしているということです。
よく、ニーズとかウォンツとか言われますが、こういったものがない状態をひっくり返している好事例なんですよね。
これらの事例が何をしているか?
それは『文化を創っている』ということです。
市場規模が小さいから、ニーズが無いから諦めてしまうとなってしまっていたら、既存の商品やサービスはどんどん衰退していってしまう。さらには、新しいモノなんて生まれてこない。
そりゃそうですよね。完全にゼロベースの新商品は、世の中の誰も見た事が無いモノなんだから、ニーズも市場もゼロです。
といっても、世の中のほぼ全ての商品やサービスには完全にゼロベースから作られているモノは皆無に等しいです。
この話は、長くなるのでまた別の機会にします。
もし、これまでに新しい企画をしたのに「ニーズが無いから」とか「市場規模が小さいから」と捨てられてしまったor諦めてしまった商品やサービスをお持ちの方がいらっしゃったら、一度視点を変えてみてほしいです。
『文化を創る』という視点で再チャレンジしてみると素晴らしい成果をあげられるかもしれませんよ。
ということで本日のまとめ
・創られた文化と常識
・売れるものの正体
・文化を創ってヒットを量産せよ