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ダンクシティの片隅、ルイーダスの酒場は今夜も賑わっていた。 美味い肴と旨い酒が評判の店で、常連の客と近くにある迷いの森を探索する冒険者が絶えることなく出入りしていた。 深夜も近くなり客足も落ち着き始め、それまでひっきりなしに調理をしていた店主ルイーダスの手もようやく休まる頃、吟遊詩人ギルバットの歌曲が盛り上がりを見せていた。 娯楽の少ないこの辺りでの彼の曲は絶大な人気があり、彼が唄う日はいつも賑やかな夜となっていた。 彼の曲はスケールの大きなものが多く、遺跡を護る古竜
此処は何処だろう? 俺は誰だろう? 何も思い出せない… 気がつけばこの、匂いも音も無い荒野に佇んでいた。見渡す限りの地平線。時間や方向の感覚が薄れ、少しずつ意識が遠のいていく。 長い時が経っただろうか。それとも短かかっただろうか。何処からともなく、微かに音が聞こえる。それは右側から聞こえてくる様であり、左側から聞こえてくる気もする。 音は近付いてきており、少しずつ大きくなるにつれ、それは楽しげな音楽である事に気付く。不意に何かの気配を感じ振り向くと、人か化け物かも判らない