【今更レビュー】2021年度傑作 最後の決闘裁判
心にズンとくるけど間違いなく傑作、、!
男のプライドとか見栄のアホさをこれでもかと描いていて、誇りをかけた戦い(!)を描いた今までの作品の見方まで変わってしまう。
十字軍の時代でフランスの話だが、現代の日本でもたいして状況変わっていないというのが本当に最悪。
もはや歴史ものではなく今も起こっている事の話。
そして某評論家が、なぜ事実を夫に伝えたか分からない、と言っていて絶望が一段階深まった。本当に作品見た上で言ってるのであれば違う仕事選んだ方が良い。笑
あの時代と同じ考え方する人が未だにいるというのが心底残念。
キャスト
役者陣は全員素晴らしい!誰もが演じていてツラい役柄なんだけど、妥協なくやり切っていた。ベン・アフレックは楽しそうだったかな?笑
三回同じ場面を繰り返すが故に、役者の微妙なニュアンスの演技の違いや表情、目元の演技が求められる。その点本当に皆が完璧な演技だった。
ジョディカマーは今作で間違いなくスター女優の仲間入りをすると思う。
・素晴らしい存在感のジョディ・カマー。
主役級だけでなく、マルグリットの友人やカルージュの母親など、脇に至るまで抜群にうまい。リドリースコットのバキッと決まった映像も美しいし、アクションシーンの緊迫感も見事。
羅生門スタイルの三幕構成
意外と賛否があったようだが、この三幕構成が完璧に働いていると感じた。それぞれの主観で追っていき、それぞれニュアンスが変わっているのが面白いし、都合よく記憶(?)から消しているパートもある。
三回繰り返すのが退屈という意見も聞いたが、個人的には全く気にならず、むしろ構成の妙を楽しめた(事前にその構造を知っていたのもあるかも)。
あの三幕全て見た上で、決闘を楽しめるのか?と懸念していたけど、そこはまた別の仕掛けが用意されていてクライマックスはアツくなった。
ただある人物が皆から喝采を浴びる場面、普通なら観客も盛り上なる筈なんだけど、今作の場合は虚無感というか絶望しかない(褒めてる)
事件自体が最悪なのは言うまでもないが、起こった後も本当に最悪で、この社会を呪いたくなるレベル。この社会に生きていると言う時点でもう詰んでるのでは?というどうしようもなさも辛い。
こういったエンタメに現代の問題を取り入れる作品は本当に重要。(硬派な社会派作品も勿論大切なんだけど、門戸を広げると言う意味で)
観覧注意な場面もあって万人にはお勧めできないが、一見の価値あり。