日本のめちゃ課題である「人口」と「生産性」について考えてみる
日本の人口は?
日本の人口はどれぐらいか知っていますか?
令和2年国勢調査 人口等基本集計を確認すると、日本の人口は1億2614万人います。そのうち、東京の人口は1404万人になります。
日本の人口の10%以上が東京に集まっている状態=日本人の10人に1人は東京に住んでることになります。ちなみに東京の大きさは47都道府県で45番目。どうりで、東京に人が多いはずです。
世界の人口ランキング(2020〜2100年:予測)
また、2020年の世界の人口ランキングで世界と比較すると、日本は11位と現状は人口大国になります。
日本の人口減少と反比例して、世界の人口は増加傾向にあり、2060年ごろに100億人になってからは、緩やかに増加すると予測されています。それにしても日本の平均年齢(48.4歳:2020年)は、人口大国でぶっちぎりに高いです。
世界の平均寿命ランキング(2020)
日本は長寿国として有名ですが、人口が1億人を超えていて、平均寿命がトップ10に入ってるのは日本だけになります。これは、国が国民の「老後」の面倒をみるコストが増加することも意味しています。
日本の人口推移(長期的視点)
日本の人口を長期的視点で見ると、1900年ごろは4,400万人いて、100年かけて8,000万人増加して、100年かけて、また8,000万人近く減少する見込まれています。日本はこれから、これまでの歴史を振り返っても類を見ない人口減少を経験することになりそうです。
日本の人口推移(1950〜2060)
1950〜2060年の110年間を表しているグラフです。それぞれ「15歳未満の年少人口」「15〜64歳の働き盛りの生産年齢人口」「65歳以上の高齢者人口」の割合を示しています。
1960年から2060年にかけて、高齢者の割合は増え続け、2020年からは生産年齢人口が減少していきます。そして、2060年には働く人50人に対して、高齢者が40人、子供が10人のような割合になります。
働き盛りの負荷が半端ない状態であり、経済成長をプラスにするなら、半端なく高い生産性を実現していかないといけません。
生産性とは?
では、生産性とは何か?生産性とは「得られた成果」と、その成果を獲得するために「投入した資源」の比率として計算されます。
簡単な例で言うと、10人の社員で10億円の利益を上げる企業の一人当たりの利益は1億円。この利益を5人で達成する会社があれば、一人当たり利益は2億円になり、労働生産性は前者の2倍になります。
なるべく少ないインプットで最大のアウトプットをすることが、労働生産性には欠かせません。
1人当たりの労働生産性(2020)
1人当たりの労働生産性=GDP÷就業者数。日本は44位で、G7でも最下位です。
日本の生産年齢人口は2021年で7400万人いますが、2060年には4800万人になると予想されています。
2021年のGDP総額583兆円を2060年の生産年齢人口(4800万人)で割ると、生産年齢人口一人当たり1214万円のGDPが必要です。現在の784万の約1.5倍以上で、世界7位のノルウェーと変わらない水準になります。簡単に言うと、生産性を上げないと日本はどんどん経済規模が弱くなり、世界でも発言力が弱くなります。
※GDPに関しては以下の記事でも説明してます
生産性を上げるには、今までの働き方では難しいので、これからの働き方を考えていきたいと思いますが、今までの働き方はどうだったのか振り返ってみたいと思います。
人口ボーナス期と人口オーナス期
「人口ボーナス期」と「人口オーナス期」をご存知でしょうか?
<人口ボーナス期>
人口構成が経済にとってプラスな状態です。生産年齢人口が多く、高齢者比率は低く、社会保障の維持がしやすい社会。
爆発的な経済発展ができる時期でもあり、安い労働力を武器に、世界中の仕事を集めることができます。中国がいい例になります。
<人口オーナス期>
人口構成が経済にとってマイナスな状態です。生産年齢人口が少なく、高齢者比率は高く、社会保障の維持が困難な社会です。
かつての日本は人口ボーナス期でしたが、今は人口オーナス期になります。
日本の従属人口指数の推移
従属人口指数=何人で何人を支える社会なのかを示すものになります。
1950年、子どもは60%、高齢者は10%、従属人口指数は約70%になり、生産年齢人口100人で、子どもと高齢者を合わせた70人を支える社会ということになります。
日本は1960〜1990年代半ばまでが「人口ボーナス期」で、1990年後半からは子どもより高齢者の比率が増えて、「人口オーナス期」に突入していきます。ちなみに「人口ボーナス期」は日本が高度成長した時期と当てはまります。
それぞれの経済発展しやすい働き方
また、人口ボーナス期と人口オーナス期でそれぞれに経済発展しやすい働き方があります。
<人口ボーナス期>
なるべく男性が働く
=労働力が余っていて、かつ力仕事が多いためなるべく男性ばかりが働き、家事労働は妻が無償労働で支えると、社会全体が高効率。
なるべく長時間働く
=まだ商品やサービスが行き渡っておらず、人件費が安いため、長時間働いて、いち早くたくさん納品した企業が勝つ仕組み。
なるべく同じ条件の人を揃える
=均一なものを市場に大量に供給することが求められていたため、軍隊のように「右向け、右」で動く、なるべく同じ条件の労働者を揃える。
<人口オーナス期>
なるべく男女ともに働く
=頭脳労働が多くなり、なおかつ労働力が足りなくなりがちなので、なるべく男女ともに働いた方がいい。
なるべく短時間で働く
=時間当たりの給与が高くなり、ミスなく質の高い仕事を求められることと、高い集中力を要するようになり、睡眠時間が鍵となる。
なるべく違う条件の人を揃える
=消費者は均一な物に飽きていて、倍の金額を出しても欲しいと思ってもらえる商品やサービスを開発して提供しないといけない。そうしたイノベーティブな商品やサービスは、同じような年齢・性別の集団で意志決定していては生み出しづらいので、なるべく違う条件の人を揃えることが必要になってきます。多様な人材が意欲高く仕事を続けられる働き方が、人口オーナス期には必要。
ちなみにGoogleは、高い生産性を生み出す要因は「有能な人材」「リーダーシップ」などではなく、「心理的安全性が高い」環境が整っていることだったと指摘しています。特に日本にいると、他人に馬鹿だと思われたくない心理をよく感じ、気軽に発言できる環境とは程遠い気がします。なので、同じ方向を目指した多様なメンバーと突拍子もないことが言い合える組織作りがこれからの日本には必要そうです。
まとめ
少子高齢化で生産年齢人口が減少する
GDPを維持するには、生産性を上げる必要がある
時代にあわせた働き方をする
世界の中では人口大国の日本ですが、これから類を見ない人口減少を経験することになります。特に生産年齢が減少するので、社会福祉を維持するには生産性を上げることは必須。インプットする資源(人)は少なくなるので、アウトプットする成果(不可価値)を上げないといけない。そのためには時代にあった働きかた(なるべく多様性のある男女が短時間で働く)が求められます。
経済発展するためには、間違っても同じ年代の同じ性別で長時間働くことが良しとするような環境にしてはいけなさそうです。
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