《刑務所のルールブック》人は切なく哀しく面白い
『刑務所のルールブック』は、韓国のケーブルテレビ局tvNにて2017年11月22日から2018年1月18日まで放送されたテレビドラマ。イ・ウジョンが脚本、シン・ウォンホが監督を務める「賢い生活」シリーズの第1作目である。 ビデオオンデマンドサービスのNetflixにて、日本を含む世界に配信されている。(Google検索による概要より)
このnote作成時点(2021年7月11日)、私は《賢い医師生活シーズン2》エピソード4での、推しのチョン・ギョンホ演じるキム・ジュンワンの苦悩に一緒になって頭を掻きむしっているのだけど、そのチョン・ギョンホ出演で《賢い医師生活》の先行作品ということで見始めた。
(画像はGoogle検索結果のスクリーンショットです)
画面がグレー
見始めて、実は一度「もう観るのやめちゃおうっかなぁ〜」と思った。だって、画面がほぼグレー。
男性刑務所が舞台なので、当然登場人物はほぼ男性。(収監者の家族くらいしか女性は登場しない。)
【韓国ドラマ】≠【イケメンと美女のロマンス】だと知ってても、ここまで男性ばかり、それも刑務官の制服と囚人服(という呼称でいいのかしら?)のモノトーンのグラデーションが延々と続くと、カラフルキラキラとは別の意味で目が疲れる。
衣装で出演者を見分けられないのだ。
♡ギョンホ♡と過去に観た作品でどうにか顔を識別できる出演者以外は、みんな同じ【グレーの人】。
はるか昔の学生時代、親の年代の方たちが「最近の俳優さんや歌手の顔がみんな同じに見える」と言ってたのを、心の中で鼻で笑ってたのだけど、今自分がそうなってる。
なのにみんな同じ服。
もう泣くしかない。ついていけない。
そこを「今見るのを止めたら負け!」と意味の分からない意地で見続けた。
そして、個体識別できるようになるとともに、この作品の面白さに心を鷲掴みにされた。
最初はほんの少しの歪みから
ちょっとイキがったり、ちょっと誘惑に流されたり、etc. から始まって、どんどん罪を重ねてしまった人。
あるいは、家族を守るために少しだけ頑張り過ぎた人。
あるいは歪んだ人に罪を擦りつけられた人。
その一人一人は怪物でもなんでもない。
毎日ご飯を食べて、毎日寝て、毎日作業をする、私と同じ(いや、もっと勤勉な)人たち。
ただほんの少しのきっかけが、自分の人生を、周りの人の生活を、大きく取り返しのつかないほど破壊してしまった人たち。
そして、それを悔いて違う生き方に進もうとする人、開き直って流されて行く人。
刑期を終えて塀の外に出られても、受け入れてもらえる人、受け入れてもらえずにまた罪を犯す人。
刑務官たちも、それぞれの背景があり事情がある。
そんな登場人物一人一人が丁寧に肯定的に描かれている。
そして、特殊な事情で共同生活をすることになった人たちが、ありふれた日常生活を積み重ねていく。
群像劇の名手
《賢い医師生活》もそうだし、もっと先行作品の《応答せよシリーズ》もそうなのだけれど、【多数の登場人物を、滞りなく、それぞれのキャラクターを際立たせて、過不足なく表現する】が得意な脚本家イ・ウジョンと監督シン・ウォンホのコンビなのだなぁと思う。
これは、シロウトの私が言うのも何だけど。
私のこどもたちが幼い頃、バレエを習わせていたのだが、発表会で、何人かいる講師の先生によって作られる作品の振付に、それぞれの先生の個性がすごく出てたのが印象的だったのだ。
年齢や習った年数によって当然グループ分けされる生徒たちを、それぞれの習った年数のグループでひと作品に仕上げる先生と、数グループをまとめて一つの大きな作品に仕上げる先生がいらっしゃった。
どちらがどう、ではなく、作り手の個性なのだなぁと保護者の私は感心したのだ。
そして私の【好み】は、数グループまとめて大きな作品を作る先生の作品だった。
それだけに、イ・ウジョン&シン・ウォンホチームの作品は大・大・だ〜〜い好きなのだ。
カップ麺は塀の中でも外でも、熱いお湯で作って食べたいよね。
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