東京九州フェリーを攻略してきた④
情報発信
風呂上りには右舷側に四国も見えた。陸を見るとこんなに安心するものなのだと、初めて気づく。(ちなみに平たすぎて山がない風景も無理でした)
船内の案内板で、この船がどのあたりを通っているかおおよその表示がされるので、チェックする。そろそろ足摺岬か。土佐清水ジオパークじゃん。
陸が近いとスマホの電波も安定するので、ここぞとばかりにツイート。
「お天気良くなって足摺岬が見えました。こんちわ、土佐清水ジオパーク!」
この船の航路では、たくさんのジオパークのそばを通る。伊豆大島、伊豆半島、南紀熊野、室戸、土佐清水、おおいた姫島。伊豆半島と伊豆大島は夜&雨で見えなかったし、南紀熊野のときは雲の中。
室戸は見えたかもしれないが、ワカメになっていたから見逃したのか……
なんにせよ、土佐清水ジオパークだけでもちゃんと見られてよかった。機会があったらちゃんとこの足で大地を踏みしめて訪れたいところだ。
このあたりから、外海にいたときと違って、岸が近い分電波がつよく、ネットも繋がりやすい時間帯になってくる。情報発信やオンラインのお仕事は、岸が見えてからがストレスがなくておすすめだ。
【心得!】岸が見えてから情報発信。
船は順調に進み、四国と九州の間を抜けて、内海へ入っていく。
夕食
夕食の時間は18時から19時。
夕食は悩みに悩んで、湘南しらすのシカゴ風ピザ。それに牛乳をつける。
ピザの土台、ドゥのはじっこが香ばしく、中央部はキッシュめいたむっちりもっちり食感。サクサクとふんわりを両方楽しめる。初めてシカゴ風を食したが、海辺感つよい。いや、しらすのせいかもしれないが。
フォークしかついてこなかったが、これはナイフもあったほうが食べやすかった気がするな。それにしてもチーズとしらすの塩っ気が体に染みる。ワインが進みそうなお味だったが、車の運転が控えているので我慢。
意外な大ヒットが、何気なく頼んだ牛乳。さっぱりとしていながらコクと甘味がある、贅沢な味だった。何杯でも飲めそう。どこの牛乳なのだろうか。ただの牛乳としか表記してなかったが、ぜひ産地をアピールしてほしい。なんならパックで売ってほしい。
【心得!】牛乳は間違いのない美味しさ。ぜひご賞味あれ。
下船まで
内海に入ると波が穏やかになり、風も止んだ。デッキに出られるようになったので、潮風と景色を楽しむ。
18時半ごろには、姫島が見られそうだというので出てきたが……
島が……島が多い……!
どれが姫島かわからん。
googleマップと必死に方向を突き合わせ、姫島らしき島影をパシャリ、ツイート。
「たぶんこちらがおおいた姫島ジオパーク!みなさまお元気でーすかー!?」
のんびりと夕景を楽しむうちに、間もなく19時。関東とは違う、西日本の日暮れの遅さがよくわかる明るさだが、そろそろ離脱の用意も必要な時間だ。
下船までは残り2時間、船内の施設の最終利用のほとんどが20時までとなる。下船してからの動きを考えると、風呂はもう一度入っておいたほうがラクになるだろう。
というわけで、滞在中3度目の風呂と相成った。夕暮れ時のお風呂は、景色が優しくて心に沁みる。船で入浴する機会などそうそうないと思うので、ここで最後の入浴タイムを楽しむべし。
【心得!】下船前に最後の入浴チャンスあり!
入浴を済ませて20時過ぎ。身支度を整え、荷物をまとめる。
下船まで1時間を切ると、とたんに名残惜しくなるから不思議なものだ。
船内放送が入ってからゆっくり行って間に合うのだが、つい早めに部屋を出てしまう。他の人も同じ気持ちなのか、荷物を持ってロビーに大集合していた。
見渡して、改めてこんなに人が乗っていたのかと驚く。
コロナ禍さえなければ、ここにいる誰かと酒を酌み交わしたりおしゃべりしたりすることもあったかもしれない。
22時間を同じ船で過ごしたのに、挨拶する相手さえいなかった。
あと30分で終わる旅。自分一人だけの思い出しかないことに気付き、寂しさを覚えた。
いつか、みんなで、同じ船に乗った縁を感じるような旅ができるといいなぁ。
館内放送ののち、クルーの案内が始まり、車両デッキへ行けるようになる。下船の手続きをして車へ。
乗船が早い方だったので、車に戻るのも早くしないと後続に迷惑がかかる、と考え、急ぎ足で車へ。(写真は乗船時のもの)
下船の準備が進み、橋が架かる。
乗船のときと同じく、橋は平たく滑らかではなく、段差が多かった。ゆっくり、ゆっくり、と係員が声を掛けながら車を誘導するので、掛け声に従ってゆっくりと車を進める。
【心得!】下船の時も最徐行!
なお、車載のナビゲーションシステムは、バージョンによっては走行してしばらくしないと座標が正しくならないので、ここから先の目的地への誘導は、スマホのgoogleマップのほうがいい仕事をすると思った方がいい。
【心得!】車のナビがすぐに働かない場合があるので注意。
陸地に降り立ち、標識に従って港を出る。21時の福岡の街へ、走っていく。建物と建物の間が広く、建物そのものも低い。植栽は伸びやかに茂り、穏やかな人の営みが温かい灯りを連ねている。ああ、九州へ戻ってきた。
船酔いの続きのような、陸酔いシークエンスに入りつつ、今夜の宿を目指してひた走る。
ひとたび船を離れると、船で過ごした時間がまるで夢のように思えた。一昼夜で関東から九州へ来たと信じるのは、この数日後の話になる。
長時間船に乗った経験がない自分にとって、それいゆでの船旅は、初めての経験、多くの気付きでいっぱいだった。大変だったこともつらかったこともあったが、経験してよかったと思う。
コロナ禍が落ち着けば、今回使えなかった設備も使えるようになり、船旅ももっと充実してくるだろう。その頃に、また乗る機会があればいいと思う。
旅の振り返り
それではここで、成果を振り返る。
<本日の成果>
〇乗船したらまずビールと枝豆で自分慰労会をやる
×プラネタリウム見る
〇大浴場を満喫する
〇この船ならではの景色を楽しむ
×ジムで体を動かす!
〇楽しんでいる様子を発信する
プラネタリウムは船酔いでダメ、ジムはコロナの影響でダメだったが、そのほかの項目はしっかり体験して楽しめたのでよかった。
船の過ごし方そのものを、もっと楽しく発信したかったが、電波が通じる時間の少なさと不安定さは予想以上だった。いい勉強になった。
フェリーのクルーの方、夜遅くからお仕事をされるターミナルのスタッフの方、本当にありがとうございました。お世話になりました。
この体験記が、これから東京九州フェリーに乗る方の参考になれば幸いです。
それではみなさま、よい旅を。
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