外資系に移った今、前の会社(日系企業)と比較した感想①

忘れないうちに。

今年、初めての転職をしました。大手日系企業から米系外資メーカーへ。

一言で日系と言っても色々ありますが、私がいた大手日系はグループ会社を合わせると男女比半々で、海外展開もしておりナショナルスタッフ(現地採用)も各国で雇ってその人事交流(東京本社へ出向など)もよくあったことから、ダイバーシティも進んでおり女性の働きやすい環境でした。社員は男女問わず人当たりの多い人が多いです。

次に米系外資メーカーですが、これも外資とか米系と言っても色々ある中で、私が入ったところは比較的長期で働く人が多い環境であり、その業界では米国でもトップ10に入り、S&P500銘柄に選出されている企業です。働き方はコロナを機にオフィス縮小し、強制的な出社はゼロで、ハイブリッド型の勤務体系を推奨しています。

最初に感じた感想は、

「外資系ってBPOしすぎ。」
主にコーポレート部門(バックオフィス)の単純作業からお客様対応やらなにやら、まるごとBPOしている。中国の大連であったり、お客様対応は日本のBPO会社だったり。歴史を紐解くとつい数年前まで内制で持っていたであろう仕事があっという間に外注委託へ切り替わっている。もともと実務をやっていた人が現在はその規模を縮小して会社に残っている。「私が入社したときにやっていた仕事は今もうないの」と話す人の多さよ・・・。BPOされやすい部署はもともと契約社員を入れていた部門に多いためBPO完了したら転籍か契約終了とし、正社員であればBPO企業との窓口として仕事を与えられているということなのだろうか。
逆に、日本企業は自分達で何とか解決しようという動きがあるように思う。作業が増えたらチームの中で誰かに負荷をかけたり、人事異動でそのチームに人を増やすために人事に交渉する上司が多かった(少なくとも私のいた会社はそうだった)。
マネジメントまるごとBPOへ渡すという考え方が、前の会社には全くなかったことに驚く。カスタマーサービス(いわゆるコールセンター)もほとんど内制している企業だったのでね。
日本の会社は本当に「雇用を生み出している」会社なのだなぁとつくづく思う。能力のない50代でもポストを与えてあれだけ高い給料を払っているわけで。

「出社が出世に関与しない」
たまたまかもしれないが外資系の私のいるチームの人たちは全く出社せず、在宅100%である。出社うんぬんよりも実務をしっかりこなしていればそれでよしということなんだろう。ちなみに全員日本人のチームです。
日系企業でも在宅を普及させている会社はあるが、上司の評価基準は「部下の人間性」「成果よりその過程や行動」に走りがちのため、アピールするためには出社したほうがいいケースが多いと思う(少なくとも私の前いた会社はそれ)そして、対面のコミュニケーションこそ大事という考えに基づいており、社内でネットワークを持つためにも対面で会議することの価値に日系企業は比重が置かれているようにおもう。
ただし、これは外国人マネージャーの場合は必ずしも当てはまらないかもしれない。特に仏系のマネージャーは対面を重要視する。また、米系でも意外と出社を好む上司は多い。外資系企業で日本人のマネージャーだった場合に、「外資系ってこうだよね」の良い所だけを採用してくれるような気がする。というか、外資はどんな上司かを面接で判断できるので(必ず直属の上司が面接官になる)、そのときにその人の人間性を見てなんか違うと思うったらそこでやめておけばいいというのはなかなかリスクヘッジできるね。
もちろん外資でも出世競争はあるのだろうけど、出社かどうかではなく与えられたポジションの仕事をも全うすることが良い評価を得るコツで、マネージャー以上となると社内政治なのかなと思う。それか、転職ですね。

「女性社員の数が多い」
これもまたびっくりしたことかもしれない。上流(マネージャー以上)には男性が多いが、その下につく大部分は女性である。全体の数としては圧倒的に女性が多く、しかも男性マネジャーより年上である。(たまたまこの会社だけかもしれないけど)AIが進んだ先には上流の仕事と下流の仕事しか残っていないとはまさにこのことなのかなと思いました。(AIじゃなくてBPOだけどね。)男が上で、女が下にいる。女性の多くは氷河期時代の世代で派遣や契約から始めて正社員登用されたという人が大半だった。ほとんどが40代以上の様子。
逆に、日系企業でよく見ていた派遣がいないように思う。日系企業では派遣さんも含めて仲良くしましょうという風潮なので往々にして下流の仕事をしている派遣(若い女)をおじさんたちが選り好みする雰囲気がなくもなかったが、外資は下流の仕事の大半がBPOされているので社外におり、そのBPOコントローラーとしてお局さんが社内にいるようなイメージ。
その女性たちが出世欲がないのか外資の出世が難しいのかはわからないけれど、彼女たちは自分を犠牲にした働き方はせずきっぱり割り切って仕事をしているので(ジョブディスクリプションに書いていない仕事はしません)、結果としてジョブ型上司(男性)の仕事は増えているようにも思う。ちなみに、ジョブ型上司はプレイングマネジャーのように手を動かすことにもたけている。メンバーシップ型の日本企業の管理職とは全然違う。
もちろん中には出世した女性もいるけど、だいたい仕事できる人はジョブチェンジでキャリアアップしたり転職していくので、20年選手で同じポストに残ってる女性を女性の全てだと思ってはいけない。

残念ながら日系企業から脱出する一つの理由に男女差別がないことと挙げていたにもかかわらず、しょっぱなで大きなガラスの天井を見た気がした。下手したら、日本企業の従業員よりも流動性が高い人達なので、「氷河期やそのあとに日系企業に就職できなかった」という人が外資系の派遣にきたのかなと邪推せざるを得ない。
そしてそういえば、私と同世代の女性が見渡す限りだといない。

とりあえず今日はここまでです。来週もまた書きます。忘れないうちに!