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詩「ひとりごとの歌」


春の匂いのくろねこがゆく

しめった落ち葉を踏みしめて

なぜという問いに

ほとんど答えられないの

なぜここに

いるのかも知れないぼく

あぁ、あー

春の色した

あくびが浮いた

遠くの山で

黄色い花が咲いた

あぁ、あー

1000年前の誰かの悩みが

海の底で泡を立てた


春の匂いのくろねこがゆく

夕暮れの噴水を閉じ込めた絵は

どこに

描いたことを思い出しても

その顔はもうおぼつかない

あぁ、あー

卵を買い忘れたんだ

あしたの朝は目玉焼きなしだ

だれかのTシャツが

枝先ではためいた

あぁ、あー

空の色が神秘的で

言葉にならない音がもれた


夕日を背負ったくろねこが

ぼくの横を優雅に歩く

いつもより多くの黒をまとって

そんなことなど気にもしないで


・・・


なぜ、という問いは、つきつめるとどこへもたどり着けないことが多いなぁと思う今日このごろです。

それではまた。



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こうのまりこ
文字でもものづくりでも、どこか通じ合える人と出会いたくて表現をしているんだと思います。何か感じてくださったならとてもうれしいです。