【La'cryma Christi】90年代V系と呼ばれた奇跡のエキゾチック・プログレ
今日はラクリマクリスティです。
「90年代ヴィジュアル系」の代表選手の一つではありますが
「ヴィジュアル系」の変化球の極北と言っていいと思います。
変拍子に凝りすぎている音構成に声の特異性とドラマチックさ！
似たバンドが居ません。皆無。
「ヴィジュアル系だから」という理由で興味を持っていない音楽ファンが
一番聴かずに損をしていると思うのは、正直ラクリマです。
ストレートに言うと、めちゃくちゃ凝ったエキゾチック・プログレです。
ぜひ見てってください。
※今回も公式Youtubeがないため、ファンの方の動画を引用させていただいてます。ご了承くださいませ。
◆ラクリマクリスティとは
La'cryma Christi（ラクリマ・クリスティー）は、日本のヴィジュアル系ロックバンド。1991年に大阪府で結成され、2007年に解散したが、2009年に再結成した。
かつて、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISIS、SHAZNAと共に「ヴィジュアル四天王」と呼ばれていた。
◆ラクリマで１曲選ぶなら
WHITE PERIOD
悩んだんですけど、
私は「正統派ヴィジュアル系で売り出そうとしていた」頃の
この曲が好きすぎるんですよ。すいません、これでお願いします！
作曲はLa’cryma Christiのバンド名義。
媒体が雑誌しか無い95年頃に
「謎めいた世界観のあるエキゾチックなヴィジュアル系」
として売り出そうとしていた割に、
エキゾチックみがベタなロック文脈と融合して
奇跡の神々しい世界観が現出しているところが本当に好き。
六日の間泣き続けて、そしてなにも見えなくなり
指先で探すガラスのkakera あなたの後を追おう
輝きながらすり抜けていく ガラスは大地に落ちていく
あなたは決して沈みはしない 藁に包まれているから
この曲に限らずラクリマの歌詞って、全体的に
意味深な歌詞に、ドラマチックなメロで本当に世界観なんですけど
多分、歌詞にはあんまり意味ないんだとおもってます。
もしめちゃくちゃ意味深長な物語とかを読み取れていないのだったら
本当に土下座して謝ります、ごめんなさい。
偏に私の理解力の欠如です。
差し引いても大好きなんで許してください。
◆聴いて欲しいエキゾチックな名曲たち
偏西風
立ち止まった小高い丘の上 薄紫に空は泣き続けて
振り返ることも忘れ 今は 君のことを想うよ
揺れるカゲロウと染まる 君を偏西風へ描き始め
耳を澄ましてたけれど 何も届きはしない…
これに似た曲って、聴いたことありますか？私はないです。HIROさん曲。
Warm Snow
泳いでいた体の芯から 冬の川をくつろぐ一時
コンタクトレンズの三日月が出ている頃
白いサソリが月に染まり輝いてた
せっかく、超雰囲気ある所に「コンタクトレンズ」って言わないでほしい。
めちゃくちゃ現実に引き戻される。
この曲とか、緩やかさと丁寧な世界観作りとか、今だったら
ヴィジュアル系って言われないと思うんですよ。
曲はHIROさん、SHUSEさん。
カリブで生まれた月
夢の中でいつも 二人きりでいれる
生まれ変わる ずっと前も ほら
目を閉じてた ずっと前も
この曲、特に声の存在感と特異性が、本当に凄い。
好き嫌いは分かれると思いますが。
でもこの声じゃないとラクリマの曲は成立しないので宝だと思います。
曲はSHUSEさん。
Sanskrit Shower
街は寝息をたて 枯れた樹木に似る
まるで心のひも 編んだハンモックと
揺られて流れる雲を感じている
Shining clouds, I call you
月の光浴びながら 体を清め続けていた
貴方は 今 見透かせる
「なぜ抱きしめられないの」
同じ問いかけだけに溺れてゆく 今でも
そういえば、よく聴くと月光浴の曲。
それにしてもギターソロが凝りに凝っててとても良いです。
ギターソロに重なるドラムも、ソロの途中で拍変してません？
SHUSEさん、HIROさん共作曲。
Siam‘s eye
シャム猫の瞳を通して 街を見てた 広がった一面まで
長すぎる1分越えのイントロも良い。
この曲の聴き所は、ところどころに細かく差し挟まれるギターです。
あと、やっぱりドラム。
ラクリマの世界設計は、ドラムがすごく大きい仕事をしていると思います。
まあ、声の特異性が抜群すぎて、初見で音構成まで気が回らないですよね。わかる。
曲はKOJIさん。
S.E.A
見渡せば穏やかな海 あなたは流され
あまりにも小さな姿 崖から見てる
「これ久しぶりに聴いたけど曲、格好いいなー」と思って聴いてたら、
サビの歌詞が大変でした。助けなさいよ。崖から見るな。
どんな気持ちでこの歌を聴いたらいいかわかりません。
穏やかな海に流されるってどういう状況。離岸流かな。
曲はHIROさん。
Night Flight
この曲、名盤「Sculputure of time」の1曲目なんですけど、
曲始まりのこちゃこちゃしたところから
一気に始まる感じ、めちゃくちゃいいですよね。
微かなニルバーナみを感じる。
曲はSHUSEさん。
雲の谷間の蒼い月が僕を照らすよ
ナイトフライトの孤独な夜に感じたい
君の温もり high and high 求めてゆく…
いつぞや羽田のZEPPで、別件のライブを見終わって外に出た時、
夜空を間近に飛行機がたくさん飛んでいくのが見えて
無意識に「ナイトフライトの～」とサビ頭をくちずさんで、
「なんだっけ？これ、……ラクリマ？！」というのが
暫く離れていたラクリマを再聴するきっかけでした。
Angolmois
Looking for 同じ夢を見続けていた
Looking for 長い夜を共にして
この曲はプログレみの強いギターがのびのびとやってるところが
本当に良いです。
ところでアンゴルモアってノストラダムスの大予言のやつですよね。
なんか意味あるのかな。SHUSEさん曲。
Blueberry Rain
アルバム最後の曲のこれの、最後の歌詞で「Night Flightへ行こうよ」と
1曲目に戻るギミックがあるのが憎い。曲はHIROさんKOJIさん。
◆華やかでキャッチーな代表曲たち
次第にエキゾチックさは薄くなって、王道な名曲期に入ります。
With you
夜の光が街を染めてく 僕の中までも
最終電車見送る人の群れ 眺めてた
過去の自分を 背丈の似ている彼に映したり
無邪気に人を信じられない時代 揺れながら
ピュアな愛などこの世に無いと 諦めかけてた
仮にもエキゾチックさで売り出してるバンドが
急に「最終電車」とか言わないでほしい。
もう君なしじゃ生きられない SO 気付いてた いつからだろう
見つめられて 泣きそうな夜は きつく抱きしめていたい
もう悲しみはいらないから SO 傷ついた 涙をふいて
時を越えよう 瞳を閉じて 折れそうな君の肩を抱くよ
びっくりするくらい直球です。びっくりしました。
エキゾチックさどこに行ったん。
時計仕掛けの オレンジたちが まぶたににじむよ
「絶対これ、言いたかっただけだろ」と思うんですが
でも曲はキャッチーで耳なじみ良くて、大好きです。
テンションバカ上がります。これはTAKAさん曲。
THE SCENT
北へ向かう 船の窓辺にもたれて 海を見続けていた
すり抜けて行く 鉛色の空だけが このBARを見送って
はじめて過ごした朝が 白夜の鳥かごの中で廻り続けているよ
あなたの仕草が見たい 揺らめく声とともに泣く 吐息を感じて
ギターソロが最高！素晴らしい。これはHIROさん曲です。
サビ前のシンバルとかのギミックもいちいち良い、テンション上がる！
未来航路
そよぐ風にもたれてる 君の肩抱きしめてた
「愛してる」って言われたら心まで溶ろけそうさ
サビのメロの爽やかさが優勝。KOJIさん曲大好き。
Without you
Cry out your name 君の全てを抱きしめられず Ah つらいよ
溢れる涙がこぼれないように 星を見上げた 愛していたよ
素直な曲だと思ったら、これもKOJIさん曲。
何が良いってメロが良い。痒い所に手が届く感。
南国
What a marvelous sea I am in！
星の砂騒ぐ 君のシルエット スローモーションに酔うよ
赤道の音色に焦がされ かたくなに生きる青い鳥たちよ
大空に羽ばたいて
煩悩の花を首に下げ 固く抱き寄せた細いその肩は
小麦色に溶けて Hold on
名曲！MV撮影はパラオだそうです。（Wiki）
曲はSHUSEさん。いいですね！
Forest
ガラスの迷路の中で あなたを包み込んでる
虚ろな瞳で 霧と共に
霧のレクイエムに揺れる 最後のミサさえ 過去に置き忘れて
錆びれた礼拝堂には 外れかけのドア 外は静かな雨が
インディーズのシングル「In Forest」の焼き直しです。
こっちのほうが好き。HIROさん曲です。
インディーズ時のMV撮影ヴェネチアってほんとですか？すごい。
Lhasa
さよなら 降り出した雨が こころ濡らす
さよなら 君の想い出が 僕に溶ける
声の強さと存在感をめちゃくちゃ発揮している曲だと思います。
HIROさん曲。
◆公式とか
◆KOJIさんのこと
残念なことに、上記でも華やかで爽やかな美曲をたくさん書いているギターのKOJIさんは、2022年4月、食道がんにより逝去しています。49歳没。
華やかなソロ、ライブで一度見て見たかったです。
フルメンバーのラクリマのライブも見てみたかった。
心から残念です。