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【谷山浩子】おすすめ曲まとめ

天才・谷山浩子です。
好きだった人は結構大人かもしれません。
逆に言うと、若い人はあんまし知らないと思います。
天才で、ロマンチックで、怖くて、美しくて、最高なので
これを機に見てってください。人生が豊かになるよ。

70年代の少女漫画(特に大島弓子)好きな人とか、
筋肉少女帯好きな人とかに刺さると思います。怖い話多いし。

◆この曲の人です

まっくら森の歌

ひかりの中で 見えないものが やみの中に うかんで見える
まっくら森の やみの中では きのうはあした まっくらクライクライ

さかなはそらに ことりは水に タマゴがはねて かがみがうたう
まっくら森は ふしぎなところ あさからずっと まっくらクライクライ

アラフォーくらいの人は、NHKみんなのうたで知ってる人もいるかなと。
「メトロポリタンミュージアム」と並んで怖い歌として有名でした。
私はここで名前を知って、図書館でCDを借りた口のファンです。


恋するニワトリ

あの人 りっぱな かざみどり わたしは 小さいニワトリよ
かいがらたべても てつにはなれず かいがらはじける むねの中
ココ コココ ココ ココ コココ 恋は 恋は 恋

これもNHKみんなのうたです。
鉄製の風見鶏に恋をしたニワトリが
「貝殻食べても鉄にはなれず貝殻はじける胸の中」
という狂気。を子供向け番組でやる狂気。


テルーの歌

心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うよな悲しさを

多分これが一番有名。ジブリのゲド戦記のアレです。
映画作中の歌は手蔦葵さんですが、作詞は宮崎吾朗氏、原案は萩原朔太郎の詩「こころ」だそうです。
※ご指摘いただき修正しました。みんみんさんありがとうございました!


◆知らない人に聞いて欲しい曲たち

定番曲とされる曲目、結構固まってるんですが、今回敢えて外します。
私の推し曲祭りとさせていただきます。
※公式から曲上がってないので、ファンの方たちの上げた動画を引用させていただきます。ご了承ください。

冷たい水の中を君と歩いていく

冷たい水の中をきみと歩いていく 何も望むものはない 夏の一日
グラスの底を
水をとおしてくる 七月の日射しが横顔をきらめかせる
遠い過去からほほえむきみの

みのらずに終わった恋は 夏ごとにすきとおる
みのらずに終わった恋は こわいほどすきとおる
あんまりそれがきれいなので ぼくの命も奪っていく
あんまりそれがきれいなので 誰にも言葉はつうじない

一番好きな曲はずっとこれです。
本当美しい、ありもしない記憶みたいな曲。
初夏のきらきらした日差しと冷たい水とその奥に澱む泥みたいな暗さ。
一生好き。


王国

歪んだ王国に ぼくたちは住んでる 歪んだ鏡を守っている
歪んだ王国の歪んだ鏡に ぼくときみだけが まっすぐにうつる

広間にさしこむ 日射しの角度は 凍りついたように幾千年 動かない
ほかに誰もいない ふたりだけの国でヒスイの玉座に きみをそっとすわらせて

やさしく きみの目に 目かくししてあげよう 白い首筋に キスをあげよう

これも大好きです。素敵すぎる。最高。
美声の男性コーラスは作家の綾辻行人氏です。
なにげに綾辻氏は筋肉少女帯(トゥルーロマンス)でもコーラスやってたりします。


◆怖い歌

楽園のリンゴ売り

快楽のトゲがキラキラと 砂漠に星のように
降り注ぐ 血を流しながら 人は夢を貪る

楽園を追われた 僕たちのすみかに
禁断の果実を 売りにくる蛇の群れ

いかがです もしよろしければ 極上の酒もある
言い知れぬ深い酔い心地 誘う リンゴの魔力

わたしどもの店の 直営の工場で 大量に毎日 作られておりますので
いくらでもあります おかわりもご自由に
おや、お客さまどこへ? そんなにフラフラで

ぱりらりらりらり ぱりらりら 踊るリンゴの家族!
ぱりらりらりらり ぱりらりら 回るリンゴの世界!

歌いだしの歌詞が「快楽のトゲがキラキラと」ってのからもう天才すぎる。
空虚で明るくて不穏な感じの出し方が本当に天才。そして美しい。
極上のリンゴの果実酒って
シードルなのかアップルワインなのか気になるところ。


穀物の雨が降る

穀物の雨が降る どしゃ降りの雨が バラバラと音を立て FoowaFoowa
悪いマジョの魔法がとける

クルマは動けなくなり 電車も全部止まった
重なるように倒れて ヒトも息をしなくなる
こわれたオモチャのように ころがる街

この歌で「穀雨」って季語を学んだんですけど、
そういう意味じゃなかったです。


ガラスの巨人

きみは見上げていたね 見えない星空を 風吹くビルの陰 夜更けの街
両手を高く上げた 背伸びをしながら でも星は遠すぎて きみは小さい
クルマもヒトもいない 静かなアスファルトの ステージ
たたずむきみの姿を ライトが照らし出す やがてきみのからだは 大きくひろがる


森へおいで

風のことばがきこえない きみは恋をしたんだね
毎朝来ると約束の場所に 今朝は こなかった
森の暗がりでぼくと 不思議な遊びをしよう
いつものように笑って 森へおいで ぼくの

森の神様みたいなものに見込まれちゃった少女の歌。
神様目線なのがまた怖くて素敵。
この曲大好き。カラオケで歌います。


◆孤独な歌

銀河通信

真夜中ひとりで 黙っていると 遠く遠くから 電話がかかる
もしもし きみは 元気ですか 淋しくて泣いては いませんか

それはどこか宇宙の果ての 知らない星からの長距離電話
窓をあければ 暗い夜空に いちめんの星たちが光りさざめく

中学生・高校生の頃に、真夜中にこの歌聴いてました。


ひとりでお帰り

店じまいした空の上から 満月 きみに声かける
暗くけわしい道をわたしが 照らしていてあげるから

どんなに淋しくても きみはひとりでお帰り


小さな魚

青い春のせせらぎを 水をけり しぶきをはね
きらりきらり 銀色の 背を光らせて泳いでいる

荒い波をこえてきた 凍えそうな寒い冬も
ひとつひとつこえていけば いつか会えると信じていた

今 わたしは小さな魚だけれど あなたへと 泳いでいく

寒そうな早春の川を泳ぐ魚のイメージで、
この歌めっちゃ好きなんですが魚目線なんですよね。
こんなに自由に視点設定できる人いますか?


◆恋の歌

海の時間

あかりを消して 息をひそめて はじまるよ 静かにね
ぼくたちのベッドの船が 今 すべりだした 時を超えて

ごらん とてつもなく背の高い 不思議な樹が伸びていくのを
不思議な樹の大森林が 胞子の雨を降らせている

歌も曲も内容が、想像の10倍くらいのスペクタクルで、
聴くと毎回途中で驚きます。


夜のブランコ

初めて逢った時に ひと目で恋をした
誰にも言わないで 逢いに来て 夜のブランコで待ってる
やさしい人たちを 裏切り 嘘をついて
ぬけ出して 走って来たの 逢いに来て 夜のブランコで待ってる

わたしは夜咲く ガラスの花よ あなたの手で こわして
かけらになって 粉になっても あなたが好きよ 好きよ

携帯電話のない時代の恋だ!!あー!!


会いたくて

会いたくて 会いたくて 夜の中 歩いて
はずませた 白い息 きみの窓が見える
呼び出す口実なら いくらでも 思いつくけれど
顔を見た瞬間に きっと なんにも言えなくなる

切迫感があるのがとてもよいです。後ろめたさも。
恋をして、不思議な力を失って帰れなくなってしまうのは
「猫の森には帰れない」にも共通のモチーフです。

逆に言うと、恋をする前の子供には神様の力が宿っているという
論なのかもしれないと思います。7歳までは神の子というし。



MAY

MAY 内緒でそう呼んでるの
初めて逢ったのも まぶしい木もれ陽の中
MAY 声に出して呼びたいな
でもこれ夢だから 醒めると困るからダメ
教えないわ まるで きゃしゃなガラスの鳥
ふたりでいる時も 自分だけの夢を見て

ばかね私 あなたを喜ばせたい なのに
この夢から出られない 少し
うつむいて微笑むだけ…
だけど好きよ 好きよ好きよ誰よりも好きよ
世界中がふるえるほどに いつか
この鳥カゴをこわして

◆奇妙な曲

悪魔の絵本の歌

まずはひとつめの物語 タマゴのタマゴの
割れてこなごなの片思い 誰ももとにもどせない
これはあなたのことよ そうよ あなたのあなたの
平気な顔をしてもだめよ ぜんぶほんとのことよ

急に「あなたのことよ」って言われるの怖いですよね。


悲しみの時計少女

わたしはわたしの淋しいわけを 教えてもらうのあの人に
ものは言えないコイビトだけど あの人だけが知っている

同じタイトルの小説を谷山浩子氏は出版していて、めっちゃいいです。
谷山浩子氏の小説どれも良いです。宝物。



◆狂気の歌

SAKANA GIRL

なぜきみは僕を見ない
なぜきみは何も言わない
なぜきみは悲しまない
なぜきみは驚かない
なぜきみは僕を見ない
なぜきみは何も言わない
なぜきみは目を閉じない
なぜきみは逃げ出さない

SAKANA GIRL ひらかれて塩にまみれ
SAKANA GIRL 透きとおるラップの中

僕はきみをこれから柔らかな火の上に置き
僕はきみをこれから焼いて食べる
きみが僕のことを 忘れた罰だよ

魚の死体が、少女のイメージと重ねられてるのめっちゃ怖い。


意味なしアリス

キノコの上の芋虫は 淋しさを教える教授だった
それじゃ始めるよと言い残して 芋虫はどこかへ行ってしまった
もう二度と帰らない キノコだけ残った

アリスはそこで待っていた 2時間 2ヶ月 2100万年
それでも芋虫は帰らない どうしていいのか わからなくなって
アリスは試しに キノコと寝てみた

それは全然意味がないアリス 何をやってるのかわからない
まるで全然意味がないアリス 意味がないアリスがそこにいる

これはそんな狂気って感じでもないんですけど、
後半の歌詞が現実過ぎて、一周回って狂気に見えるっていう。


素晴らしき紅マグロの世界

幸せの予感 それは紅マグロ
お口の誘惑 それは紅マグロ
ピチピチのプリプリで ほどよく締まってジューシーで
ひと口かめば脳天突き抜け 広がる旨味

誰もがほほえむ そんな紅マグロ
つぶらな瞳 そんな紅マグロ
できることなら紅マグロと お手々つないで歩きたい
紅マグロの誕生日に お呼ばれしたい

ああ呼んでいる ものすごく呼んでる
わたしのこの道は マグロへつづく道
ああ呼んでいる とめどなく呼んでる
わたしのこの道は マグロへつづく道

狂気というか、これは猫目線なんですよね。
マグロへ続く道。


◆公式サイト


動画が上がってない曲もかなりあるので、気になったら聴いてみてください。絶版のCDとか、私は図書館で借りました。

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