一粒の雨
握りしむ
てのひらの裡の
ひと雫
煌き落ちて
思ひ及びぬ
握りしめたわたしの手のひらの裡にあった
一粒の雨
ほんの一瞬キラリと光って
落ちていく
ひと雫がポロリと落ちて
その時になってようやく
その存在に気づくのでした
無意識にも
手の裡に握って掴んでいた
そのたった一粒の雨を
虚しい
儚いと想う方もいらっしゃるでしょう
わたしだったら
きっとそれを
ただ、愛おしく思うでしょう
握っていたひと雫が
こぼれ落ちて消えていってしまったとき
なお一層
愛おしく想うでしょう
わたしの瞳からは
その一粒を追うように
あとからあとから
たくさんの雫が滴れるでしょう
そしてそのあと
絞り出すような嗚咽がきこえるかもしれません
こぼれ落ちてしまうまで
たとえ無意識でも
わたしが手のひらに握りしめて
一緒にその場をやり過ごし凌ぎ
わたしのこゝろを潤してくれた
珠玉のような一粒の雨を想いつつ・・・
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