「能力を伸ばす」褒め方
教育心理学者のベンジャミン・ブルームの研究によると、ピアニスト、彫刻家、オリンピック水泳選手、世界的テニスプレーヤー、数学者、神経学者などずば抜けた実績を持つ120名の研究をおこなったそうで、それによると大多数は幼少時は凡庸な子で思春期でも芽はでず、たゆみない努力と精進を重ねて初めて頂点に上り詰めたそうです。そして、ブルームの出した結論は「学習できる環境にあるかぎり、世界中のほとんどだれでも能力を伸ばすことができる」とあります。
それでは、どういう言葉がけをすると「能力を伸ばす」ことができるでしょうか?
「やればできるの研究」の中で、思春期の子供たち数百人を対象に行った実験が紹介されています。
まずは、生徒全員にかなり難しい問題を10題やらせたのち、ほめ方によって2つのグループ分けをしたそうです。
1つのグループでは、「8問正解よ、よくできたわね。頭がいいのね。」
もう一つのグループでは、「8問正解よ、よくできたわ、頑張ったのね。」と自分には何か優れた才能があると思わせないように、問題を解く努力をしたことだけをほめるようにしました。
グループ分けの時点では、両方のグループの成績は全く等しかったそうですが、ほめるという行為を行った直後から、差が出始めたそうです。
もう、予想できると思うのですが、
能力を褒められたグループは、こちこちマインドセットの行動をとり始めました。次に取り組む問題を選ばせると、新しい問題にチャレンジするのを避けて、学べる機会を逃してしまいました。
ミスをして、自分の能力が疑われる問題には一切手を出さなくなったとのことです。
努力を褒められたたグループは、その9割が新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃しませんでした。(しなやかマインドセット)
次に生徒全員になかなか解けない問題をだしたところ、
能力を褒められたグループは頭が悪いと思い始めたとのことです。
能力を褒められたのだから、問題が解けない=能力がないというレッテルを自らはってしまったわけです。
努力を褒められたグループは、解けないのだからもっと頑張らなくてはと考えました。
解けないことを、失敗だとは思わず、自分の頭が悪いからとも考えませんでした。
そして生徒たちは、どんなことを感じながら問題を解いていたかというと、
難題のあと、能力を褒められたグループは、面白くないと答えるよういなったそうです。自分の頭がよいという評価が崩壊の機器に瀕しているのですから、当然です。
努力を褒められたグループは、難題を出されても嫌になったりせず、むしろ難しい問題の方が面白いと答える子の方が多かったそうです。
そして、その後の成績の推移をみると、
能力を褒められたグループは、難問の後成績はガクンと落ち、その後再びやさしい問題が出されても成績は回復しなかったそうです。
一方、努力を褒められたグループは、どんどん良くなっていき、難問に挑戦したことで、スキルに磨きがかかり、再び難問が出題されたときは、すらすら解けるようになっていたそうです。
この調査は、知能検査を用いているので、能力を褒めると知能は下がり、努力を生徒を褒めると知能が上がったことになります。
さらに、ショッキングな結果があります。
この問題を他の学校に紹介しますので、「どんな問題が出たか教えてあげてください、そして自分のスコアも記入してください。」
という用紙を渡したところ、能力を褒められたグループの4割近くが自分のスコアを実際より高く記入したそうです。
子供に「あなたは頭がよい」と言ってしまうと、その子は自分を賢く見せようとして愚かなふるまいに出るようにるということです。
ですので、なるべく「努力」の部分をフォーカスしてあげるとよいと思います。