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初めてマッチャー(matcher)でOB訪問を受けた時のこと


OB訪問アプリに登録して間もない頃、早速学生から申し込みがあった。業界内容について相談があるそうである。

学生のプロフィールを見る。都心から電車で2時間以上かかる大学に通っていた。一方で私の会社は山手線沿いにある。大丈夫かなと思いながら会社近くのカフェで待ち合わせを提案したところ、快諾してもらえた(※コロナ禍前の話です)。

余談だが私は心配性なところがある。待ち合わせに遅れるのを極端に恐れ、幼い頃から最低でも15分前には到着していた。また、早く到着したことを見られたくないため、その辺をわざとぶらついて5分前に到着したように見せかける、なんてこともしていた。

当日を迎え、私は約束の30分前にカフェに到着した。席が埋まるのを恐れ、早めに確保しておきたかったからでもある。幸い席は少し空いていた。

2月だったこともあり、防寒具を着こんだ状態で学生さんは現れた。簡単に挨拶を済ませると、彼はA4サイズのノートパソコンを取り出し、開いた状態でテーブルの上に置いた。

私が働いているシステム業界の仕事内容を中心に質問が始まった。彼が質問し私が回答する。その回答がノートPCにカタカタ書き留められていく。書き留められている間は沈黙が続く…

どうしよう、何か話しかけるべきだろうか……いや、記録に集中しているから邪魔をしては悪いか。

私はこの微妙な沈黙が気になってしまうタチである。心理学的には嫌われたくないという思いが強すぎるためだそうだ。相手も沈黙を気にしない人ならば緊張感が解けてリラックスできるのだが、初対面なのでわからない。

こんな感じでやり取りが続き、一通り質問が終わった。なんだか取り調べを受けている感じであった。彼は参考になったのだろうか。

その後は彼の進路についての相談を受けた。ここで知ったのだが、彼は現在休学中でNPO法人で活動しており、就職活動を行うのは来年だった。

教育業界に興味があり教職を目指していたが、現場の過酷さを知り躊躇していること、IT業界も視野に入れていること、まだ方向性が決まっていないこと、色々な話を聞いた。彼の話し方や質問の仕方、理解力が優れているのがわかり、どの業界でも活躍できそうな印象を受けた。

最後は私なりのアドバイスをして終わった。1時間があっという間だった。

四日後に彼からレビューがあった。良い意味で恥ずかしくなるくらいに私のことが肯定的に書かれていた。彼は文章力も高く、2年経った今もそのレビューは一際輝いている。決してテンプレに沿った社交辞令的なレビューではない。彼の言葉で書かれている。

いや、テンプレに沿ってレビューを書くなというわけではないのですよ。私も学生だったらOBのレビューを書くのに一苦労しているでしょう。またまた話が脱線しますが、私は目上の人と接するのが滅茶苦茶苦手であり、相手が良い人であろうと心理的バリアを張ってしまうため、テンプレに頼って無難にまとめたくなる気持ちもわかるのですよ。

わずか1時間の対面だったため、彼の人となりを全て知ることはできなかったが、また会いたいと思いたくなる学生さんであった。

彼は今、元気にしているだろうか。

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