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OB訪問で受けた質問の回答(一緒に働きたいと思う人は?⇒支え合える人)

大学院に進学して間もない時のことである。

奨学金だけでは生活費が心もとなかったので、私はアルバイトを探すことにした。

先輩から、某巨大企業の開発補助を紹介された。期間は1ヶ月程度で仕事は簡単らしい。

私を含む4人の同期が参加した。1人辺り週2回で9時~17時くらいまでの勤務だったと思う。

面接では、頭をオールバックに固めた35歳くらいの課長が登場した。凛とした表情で「俺、仕事できるぜ」というオーラを放っていた。

アルバイト初日。

オールバックの課長は現場にいなかった。20代後半の若手4人のチームのもとで仕事を手伝った。男性3名、女性1名だったと思う。窓のない部屋で居心地は微妙だった。

4人は机を固めて向かい合わせになり、保険年金のシミュレーションソフトを他言語に移植していた。移植前と移植後で表示が同じかどうかを紙にプリントアウトして目で比較する。

私の仕事はその比較作業だった。

少しでも表示に差があると社員に報告し、社員はプログラムを修正し、またプリントアウトする。
その繰り返しだった。

私は眠気と戦っていたが、社員さん達は忙しそうだった。

仕事中は雑談をせず、黙々とプログラミングをしている。私が帰る時間になっても雰囲気は変わらない。

私が朝9時に会社に到着しても、誰もいない時もあった。10時前になってようやく出社する。その様子から、毎日夜遅くまで残っていたことが読み取れた。

その一報で、部屋の隅っこでは暇そうに新聞を読んでいるオジサン(学生から見たらおじいちゃんに近い)もいた。「こっ、これが噂に聞いた窓際社員かっ!?」と妄想したりもした。

そんな中、若手4人チームの中で、勤務中に時折、作業の手を止めて、目を閉じて胸をじっと手で押さえている社員さんが1人いた。

聞くと、胸の病気を抱えており、薬を飲みながら勤務していると言う。

心配になったが、こんな状況下でも、若手の社員さんは互いに気を遣って仕事を進めていた。学生の私にも優しく接してくれて、暖かさを感じた。

社会人になってから感じたことだが、こんな殺伐とした環境の中で仕事をしていると気が滅入ってくる。そうなると他者への気遣いが疎かになりがちになる。

しかし、若手の社員さん達は違った。苦しい環境でも仕事に向き合い、それでいて周囲のメンバーと支え合っている。

こんな人達と一緒に働きたいと思った。

一緒に働きたいと思う人:支え合える人

■編集後記
当時は大企業でもこんな働き方だったのだなあと思います。今は改善されていると信じたいものです。

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