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#9 Best of 郷愁 台湾映画「台北暮色」
・中心経済を感じたいならアメリカ
・世界最先端を感じたいなら中国(深セン)
・勢いを浴びたいならインド
・ただただ明るい人柄に囲まれたくなったならフィリピン
・常識に囚われたくなくなったらオランダ
・エモさを感じたくなったら台湾
自分は日本以外なら今どこに身を置きたいか考える時があるが、なんとかなく上記の具合に分けている。映画も選ぶときも一概には言えないが、現代映画ならば今の社会背景や国民性が如実に現れるので、だいたい上記のようなイメージで選択している気がする。
今作品は、台北という街で孤独を感じながら生きる20〜30代の3人の若者をそれぞれ映している。最後に劇的なクライマックスなどの展開は一切ない。台北の若者たちの乾ききった感情を日常生活から映し出し、感情とは裏腹に台湾の美しくノスタルジーな風景と合わせていて、余計に現代人の孤独を演出している。現代のInstagramにおけるユーザー心理のように、華麗な写真や振る舞いと、スマホ画面美しさの奥に秘めた確かに存在する虚無・孤独をこの演出で表現しているのかと。
台北は技術的な利便性で言えば東京となんら変わらないのも作中で生活風景を観てとれる。我々と同じく多様な選択肢・ゆえの情報過多、悪しき慣習やしがらみ、そういった類からの防御作用が国は違えど同じように働いているのだろう。地方都市(名古屋)と首都(東京)で生活した自分としては、かなり東京に近い若者の感情だと思う。
台湾映画の巨匠、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)も「これほどまでに台北の家庭を上手に描いた作品は見たことがありません。」と映画公式HPでコメントしている。
タイムリーな話題として日本の若者の"読解力"が話題に持ち上がっていますが、この映画のラストでも"何を思うか"が問われているような気がします。