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あっという間に一年。

去年の今頃は、実はパートナーとパタゴニアを旅していた。ゆっくり振り返る間もなく、帰国してからすぐに新しい仕事が始まり、気づけば1年が経っていた。

自分一人だったら、選ばなかったかもしれない旅先ばかり。

福島時代に覚えた山の知識や、集めた山道具が全部役に立って、地球が創り出した、こんなにも素晴らしい景色の数々を見ることができた。

写真では伝わらない圧巻のスケール、ペリト・モレノ氷河

どんなにお金をかけて造られた巨大な人工物よりも、やはり自然は圧倒的なスケールで、計算されていない雲や風の流れ、季節ひとつで姿形を変えていく様が美しい。

パタゴニア社のロゴにもなっている、フィッツ・ロイ(左上)を目指す

昔はずっと都会が好きで、実は山や自然は嫌いだったのに、こんなにも自然の素晴らしさを心から感じられる人間になれて本当に良かったと思う。

ありがとう、安達太良山。そして、私に山や自然の楽しみ方、共存の仕方を教えてくれた福島の皆さん。

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こんな広大な地球の姿を目の前にした時、私たちの生活はどんどん進化を続ける一方で、ここまでの発展は必要なのだろうか、と思ってしまう。

目の前の便利さや見たこともないデジタルテクノロジーの新技術に関する情報よりも、46億年前から地球が創り出してきた大地の成り立ちや環境、そしてその中で偶然にも生まれた私たち人間の本質的な生き方とは何か?という答えのない問いに、つい自分のアンテナが向いていってしまう。そんなことを考えていると、世間体など気にせず、自分に正直に生きたいという思いが今まで以上にまた、強くなってくる。

しかし同時に、私はこの社会で自分の想いに対して真に正直に生きることは、時に苦しいことだとも感じる。

いわゆる”幸せ”の型が出来上がり(それにハマったからといって幸せなのかは別の問題だと思っているが)、メディアやSNSの発展によって人と比較すること、何かを消費することを無意識のうちに強要すらされてしまう社会では、悩みや不安を抱えてしまいがちだ。

何か決断しようとしても、人からどんな風に思われるだろうと不安を感じて、見えない鳥籠に自分を閉じ込めてしまったりすることもある(もしかしたら単に私が小心者なだけなのかもしれないが)。

そんな自分を他所目に、年を追うごとに、社会や地球の課題は多様になり、また複雑化しているように思える。そんな現実を目の前にすると、何から手をつけて良いかも分からないが、もう居ても立っても居られない気持ちになってくる。

自分はこの混沌とした世界の中で、どんな価値観を持って、何を最も大切にして、これからの未知なる世界に向き合っていくのか?

決断の時がまた近づいてきているように感じる。

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表紙はちょうど今読んでいる、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードの著書。彼の地球規模の課題への挑戦とブレない芯の強さ、そして地球に対して誠実に向き合う姿勢には脱帽する(私がそんなことを言える立場では全くないが)。

マーケティングに誘導するための本ではないのに、読めば読むほど、こだわり抜いて作られたパタゴニア製品が欲しくなるから不思議である。ぜひ気になる方は、ご一読を。

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