中国最大の美容医療予約サイトを運営するSoYoungの次なる成長戦略。美容クリニックのチェーン展開へのシフト
SoYoung(新氧科技)は、中国最大の美容医療予約プラットフォームを運営する企業で、2019年にナスダックに上場しました。上場当初の売上は約100億円、純利益は約10億円を記録し、初値時点での時価総額は2,000億円を超えていました。
中国の美容医療市場は、世界最大級の市場規模を誇り、SoYoung(新氧科技)は中国市場でのシェア拡大により注目を集めていました。しかし、新型コロナウイルスの影響や国内競争の激化により、2022年頃から業績が悪化。売上が減少するとともに、最終損益も赤字に転じています。この結果、同社の株価はピーク時の約1/20にまで下落しています。
※左のグラフが月間アクティブユーザー、右のグラフが有料医療機関数です
プラットフォーマーからプレイヤーへの転換
SoYoungは、2023年から新たな成長の柱として美容クリニックチェーン事業(SoYoung Youth Clinic)を本格的に展開し始めました。同社がこの事業に参入するきっかけとなったのは、2021年に医療機器販売を目的として買収した「武汉奇致激光技术」の存在です。武汉奇致激光技术は、中国で初めて上場したレーザーおよび光電子医療機器メーカーで、主に病院や美容機関向けに製品を提供している企業です。この買収により、SoYoungは美容医療分野での技術的基盤を強化し、クリニック事業への進出を具体化しました。
中国では、2021年頃から美容医療分野、とりわけ光医療美容が急速に成長していました。SoYoungは、買収した「武汉奇致激光技术」の技術的優位性を活用し、独自の光電美容機器を基盤にしたクリニック運営の構想を具体化したと考えられます。
ヒアルロン酸関連では、2023年7月に江蘇西宏生物医薬と提携することで、江蘇西宏生物医薬が開発するヒアルロン酸水溶液製剤(水光注射)と新世代のポリ乳酸微球注入剤(童顔針)の2種類の製品の独占代理権を獲得しています。同年には、韓国のDongbang Medical社のヒアルロン酸製品のAllastiや、Xihong Pharmaceutical社のウォーターライトニードルとトンファーニードルの独占契約を締結しています。
これらの買収や独占契約を活用し、ヒアルロン酸と光電技術を組み合わせた施術に加えて、再生医療美容も取り入れることで、新しいコンセプトのクリニックチェーン展開を開始しています。このクリニックは、わずか3か月で損益分岐点を突破し、既に6都市で10院以上のクリニックを開設または開設予定となっています。
現時点では、成功とまでは言えない状況ですが、コンセプトや事業の滑り出しは順調に見えます。同社の今後の動向に引き続き注目していきたいと思います。