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持ち家か?賃貸か?浅い議論にトドメを刺す

しつこい風邪のようにぶり返す「持ち家か?賃貸か?」という論争。
私は持ち家に住んでいるが「持ち家派」でも「賃貸派」でもない。
今回はこの論争の不毛さについて書き綴っていく。


賃貸派に欠けているもの

賃貸のメリットというのは、気軽に引っ越せること。
転勤を言い渡されたとしても安心だ。
家族が増えても引っ越しすれば解決だ。

部屋の価格も選べる。
その時の自分の給料に応じた部屋を探せば良い。

しかし、仕事をリタイアした後も家賃を払い続けなければいけない。
これは想像しているよりも大変なことだ。

安いところに引っ越せば良いと考えている人も多いと思う。
しかし、歳をとり体力も落ちた段階で「安くて不便なところ」に引っ越して満足に生活ができるか?

部屋の改装を勝手にすることもできない。
本当に満足して穏やかに生活する場所を手に入れることができるのか?

持ち家より賃貸の方が得なのであれば、なぜ世の中には賃貸として貸し出すオーナーがいるのだろうか?
わざわざ赤字になる賃貸価格を不動産オーナーが設定するだろうか?

持ち家派に欠けているもの

持ち家は、ローンが終われば家賃のように毎月金が出ていくことはない。
賃貸では何年家賃を払っても、その部屋が自分のものになることはないから、持ち家の方が得に思える。
そう考える人は多い。

転勤で引っ越すことになったら、売る。
その時、残りのローン分で売れれば良い。
そう考えている人もいる。

しかし、ローンを組んでいる時点で、その金利を支払い続けていること忘れてはいけない。
また、持ち家を買った金額には、関係者の経費と利益も含まれている。
仮に、納品後、すぐに売っても絶対に残りのローン分にはならない。
やがて、長い間住めば、売る時には土地分のみと価値となる。

固定資産税も馬鹿にはならない。
地味に毎年、課税され徴収される。
それだけで1DKの部屋くらい借りられるのではないか?

経年劣化でメンテナンスも必要になる。
最初の10年、トラブルはないかもしれない。
しかし、15年、20年と住んでいると様々なトラブルに対応するメンテナンス費用が増えていく。
面倒な水回り、雨漏り、電気関係のトラブルはもちろん、外壁塗装やガス設備など、定期的に金を掛けなければ良い状態は維持できない。

ライフスタイルが変化すると、家に手を加えたくもなるだろう。
買った当初の仕様が生涯に渡ってベストな仕様とは限らない。
こういった時には、まとまった金を必要になる。

隣人の存在も無視できない。
もしも、迷惑な隣人が登場したら?
その怒りは誰に向けても空振るだけだ。

そもそも、その持ち家は、何年住めるのだろうか?
例えば、30歳で35年ローンを組むと65歳でローンは終わる。
しかし、築35年の家に65歳のあなたは住み続けられるのか?
80歳、築50年を超えても住める家なのだろうか?
建て直したい、引っ越したい、リフォームしたい。
そんな気持ちになることをイメージできないだろうか?

ローンを組んで、終わったらまたローン。
これでは、賃貸と何が違うのだろうか?

一発で決めようとするな

私は、持ち家か賃貸かなど、どちらでも良いと思っている。
ライフスタイルやビジネススタイルが頻繁に変化するような人は、賃貸の方がメリットが多い。
自由に設計して、自由に改修できる持ち家の良さも十分に知っている。
その上で、あえて以下の提案をする。

若いうちは賃貸が良い。
若いうちは転職や引っ越しを覚悟してでも、仕事を優先した方が良いと思うからだ。
今の世の中、30歳程度では、定住する土地を決めない方が良い。

賃貸の生活の中で、十分に金を貯めなければいけない。
貯めることができないなら、持ち家は諦めた方が良い。

40歳を超えて、十分に金が貯まったら、持ち家に目を向けても良いかもしれない。
ライフスタイル、ビジネススタイルは十分に安定していて、資金も十分にあるのであれば、可能な限り短いローンで家を買えば良い。
但し、40歳で家を買うなら、人生でもう一度、家を買う、もしくは建て直す覚悟を決めた方が良い。
現代の老後は長い。

50歳を超えて十分にキャッシュを持っているなら、自由に家を建てれば良いと思う。
良い家を建てれば、その家に一生を暮らすことができるはず。
ケチらずに良い家を建てるべきだ。

論争へのトドメ

持ち家か、賃貸かのどちらか一方を選択するのは、あまりに不毛だ。
持ち家にも、賃貸にも良い所と悪い所はある。
しかし、どちらか片方の選択を永遠に維持しなければいけないというルールはない。

お金を十分に持っている人は、いつでもどちらでも好きな方を選べば良い。
しかし、まだお金を十分に持っていない間は、賃貸をおすすめする。
持ち家の資産価値など考えなくても良い。
キャッシュフローだけを考えるべきだ。

そして、若くして家を買うのであれば「家は一生で一度の買い物 ”ではない”」ということを知っておくべきだ。
これは業者のセールストーク。
ローンの支払いに全力を尽くす人生は、なんとも面白くない。

今日の「賃貸派」がある時に「持ち家派」に成っても良い。
しかし、「永遠の持ち家派」がある時に「賃貸生活」を余儀なくされることだけはあって欲しくないと願う。


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