経営者はAIから逃げてはいけない
最近は「生成AI」の話題が尽きない。
一方、どうもAIを正しく理解していない経営者が多い気がする。
しかし、AIは間違いなく今後は日常的に利用するインフラの一つとなっていくものだ。
だから、経営者はAIから逃げず、正しく理解した上で全力で活用しなければいけない。
今回はこの辺りのことを書き綴っていく。
イラストレータは震えている
まずはこれを見て欲しい。
Google製のAIで作成したイラストだ。
私の特徴を伝えたところ、かなりの忖度を含んだ画像を生成してくれた。
私とAI、合わせて10分程度で完成だ。
このレベルのイラストを1万円で描いてくれるプロのイラストレータはいないはずだ。
10分程度で完成させる人類も存在しない。
――― イラストレータは震えるべき
イラストは、アイデアや付加価値のみが評価される時代へ突入する。
そして、イラストレータの仕事は、確実に減る。
AIを活用できる人が増えないことを祈るしかない。
一方、経営者としてはどうだろうか?
AIを活用することで、今までは当然のように外注していたことを内製化できる。
社内の各スタッフがAIを使えるようになれば、細かなコストを膨大にカットすることができる。
そのくらいの破壊力がある。
音声からの文字起こし、文章校正、翻訳、画像作成、音楽生成、動画作成、プログラミングなど、生成AIの破壊力は、その標的を拡大中だ。
――― ただし、これは生成AIの話
AIは、生成AIだけではない。
そして、生成AIだけでは十分とは言えない。
だからこそ、経営者はAIについて理解を深める必要がある。
経営者はAIの理解からはじめること
AIは、万能なものだと勘違いしている人が多い。
特に「ChatGPT」の噂を聞くようになって、それが「万能なAI」だという勘違いが加速した気がする。
つい先日、肉の製造・販売をしている知人の社長から電話があった。
彼の言い分は、以下の通り。
・AIで商品の販売予測をしたい
・この分野を専攻していた従業員から簡単にできると聞いた
・ChatGPTなら月3000円程度で実現できると聞いた
彼は、年商20億を超える会社の三代目社長だ。
しかし、突っ込みどころが満載である。
そもそも、AIの定義は何だろうか?
これがはっきりしない。
しかし、「AIを売る側」は何でも「AI」と謳って売ろうとしていることが多い。
・単純なプログラムロジック
・複雑なプログラムロジック
・機械学習
・深層学習
上記の何を採用すればAIと呼べるのかは難しいところ。
しかし、口の巧い業者は「単純なプログラムロジック」を「AI」と謳い、それを導入した人も「自社のAI」と謳ってしまう。
まずは、この辺りを理解することが必要だ。
AIを実用化するために必要なこと
アルゴリズムやチューニングといったテクニック的なことが重要なのは言うまでもない。
AIのエンジンとなるものにも種類があり、最適なエンジンを選定しなければいけない。
しかし、これらは業者の仕事と言える。
信頼できる業者に任せれば良い。
AIを導入する側にとって、最も重要なのは以下の3つだと思っている。
・データの種類
・データの量
・データの質
実はこれ自体は、AIだろうと、旧式の業務システムであろうと変わらない。
例えば、データの種類とは「どんなデータを分析に使うか?」ということ。
販売予測で言えば、販売数はもちろん、販売時間、来店人数、天気、気温など。
さらに言えば、周辺のイベント情報や周辺のホテルの変動価格まで、データとして利用しているケースもあるらしい。
こういったことは、業者に任せるのは危険だ。
導入する側も積極的に考える必要がある。
次に、データの量。
基本的に、データは多ければ多いほど良い。
逆に、データが足りなければ、AIはまともな仕事をしない。
数カ月や半年分のデータで足りるとは思えない。
少なくとも、数年分。
販売予測で成果を出すなら、5年分は必要になるだろう。
そして、このデータの量は、業者に期待できない。
導入する側が用意するしかない。
さらに言えば、必要なデータを取得し、蓄積する仕組みがなければ、話にならない。
最後に、データの質。
いい加減なデータの割合に応じて、AIの判断もいい加減になる。
データは正確に取得し、ミスやイレギュラーなデータを可能な限り排除しなければいけない。
この辺りも業者単独で全てを行うのは難しい。
導入する側の知恵が必要となるだろう。
――― まずはデータを獲ること
これが最初であり、最大の難関だ。
今日まで、順当にIT化を進めてきた会社は問題ないだろう。
しかし、AIをまるで「魔法」かのように勘違いしている経営者は、危ない。
おそらく、AI導入に必要なデータが揃っていない。
ちなみに、そんな勘違いした人にAI業者は冷たい。
知人にその業者がいるが、彼曰く「まともに相手をしない」そうだ。
そんな相手は、ほぼ100%の確率で導入までに至らないとのこと。
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