同業他社と競合他社は違う
開業する時、新しい事業を始める時、「同業他社」の調査に精を出す人は多いと思う。
しかし、意外にも「競合他社」という視点が抜けている人も多いと感じている。
今回は、この辺りについて書き綴っていく。
飲食店の例
例えば、ラーメン屋を開業しようと考えたとする。
多くの人は、狙った立地周辺のラーメン屋を調査するのではないかと思う。
これが、同業他社の調査だ。
しかし、競合他社という考えからすると、かなり視点が変わる。
もし、開業予定のラーメン屋が「拘りの強い高価格帯のラーメンを出す店」と言うわけでなければ、競合他社は多岐に渡る。
・もちろんラーメン屋
・ラーメンも扱う中華料理店
・同価格帯の他品種店舗
・同価格帯の弁当販売(テイクアウト)店
・希望立地に極めて近い位置にある全ての飲食店
他にも挙げたら多くの条件が考えられる。
むしろ、飲食店の場合は、競合他社を挙げたらキリがない。
自分の店の特徴を考え、競合他社を絞っていかないと、対象が多すぎて混乱すると思う。
――― 誰が競合と成り得るか?
これが、とても難しい。
その昔、ファミリーレストランのジョイフルの社長(だと思う)が言っていた。
「競合はコンビニだと思っている」
今となっては、また違う状況になってきているが、当時のジョイフルの「低価格力」にはそのくらいの勢いがあった。
思わぬ需要
一方、思わぬ需要を掴むこともある。
自分の知らぬところで競合他社に勝っているという事だ。
10数年前、iPhoneがまだ4か4Sだった時のこと。
私はiPhoneアプリに興味があり、何かのアプリをAppStoreで販売してみたいと考えた。
せっかくだから、実用的なものをつくりたいと考え、当時、ギター教室を開催していたことから「音楽系のアプリ」を目標とした。
ギター教室のレッスンで一番実用的に使えそうなのは「再生速度を変えられる音楽プレイヤー」だった。
もちろん、同じような音楽プレイヤーは既に存在した。
しかし、iTunesライブラリから直接音楽を再生するアプリはなかった。
iTunesライブラリから、アプリ側でデータを取り込み(操作と待ち時間が必要)、その後に再生速度を調整して再生する。
そんな面倒なものしかなかった。
上記の理由と、さらに私の実験的なことを加えて、以下の条件でアプリをつくることにした。
・音楽の再生速度を変えられる
・iTunesライブラリから直接再生できる
・世界中で売るため、言語は簡単な英語しか使わない
・最小限の機能を 1フィー(最低単価)で販売する
そして、アプリをリリースした。
すると、その後半年程で100万円分以上、売れた。
やがて販売数は減り、iOSのバージョンアップと共に消失した。
しかし、3日ほどで開発したアプリが合計200万円近く売れたのには驚いた。
これは、私自身が全く想定しなかった需要を掴んだためだった。
AppStoreのレビューを眺めていて思った。
――― 殆どの人は「語学」の勉強のために使っている
想像もしていなかった。
この結果を紐解いていくと、当時はCDが主流であった語学の勉強教材は、音楽のトラック(チャプター)数が多いことが殆どだった。
これをトラックを変更する度に、アプリにデータを取り込んで再生速度を変える手間と時間は非現実的だ。
だから、私が開発したアプリが売れたようだった。
簡単な英語しか使わなかったことは、狙い通りだったと思う。
韓国、カナダ辺りでたくさん売れたようだ。(なぜかは分からない)
――― 思わぬ需要、思わぬ競合
これを実感、体感する良い出来事だった。
以下、私の無人店舗開発記録。
私の目指す無人店舗に対しての競合他社について考えていく。
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