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経営者の”えこひいき”は悪なのか?

私は、経営者として特定のスタッフを”えこひいき”することはない。
しかし、1名だけ、他のスタッフに”えこひいき”の疑惑を掛けられたことがある。
今回はこの辺りについて書き綴っていく。


評価と待遇

私は、経営者として各スタッフの成果的な数値を把握している。

売上から各担当に分配する要素を大雑把に示すと、50%が研究・開発、10%が営業・広報、10%は総務・事務の他、何かに消えていく諸経費と考えている。
つまり、残りの30%から、会社の運営費と役員報酬を賄い、残った分が営業利益となる。
(実際には、必ずこの通りの結果になるわけではない)
会社自体が少人数で営業チームも持っていないので、比較的利益率は高く保てていると思っている。
そして、上記ルールを基本指針として、スタッフの成果を数値化しやすい。

数値化しやすいので、評価もしやすい。
味気ないが、数値をベースとして給与や賞与の査定を行う。
実際の給与額は各自の諸事情や前年との差などを考慮して「人間的判断」を行うが、そこに”えこひいき”というレベルのことは存在しない。

――― と、思っている。

上記ルールは、各スタッフも把握しており、納得している。
少なくとも、私が何かおかしなことをしでかしたり、絶望的に仕事が受注できないことが続かない限り、このルールで成り立つと思っている。

”えこひいき”スタッフ

該当の”えこひいき”スタッフは、私より4つほど年上の女性。
元々は、フリーランスのデザイナーだった。
そして、彼女は、私の会社への「出入り」を繰り返している。

以下、大雑把な彼女の経歴。

2006年頃から、3年程は外注として一緒に仕事をした。

その後、弊社へ入社。
2年後、産休。
1年後、復帰。

さらに2年後、産休。
1年後、復帰。

さらに1年後、弊社を退社。
そして、海運会社へ入社。

さらに2年後、海運会社を退社。
そして、弊社へ入社。

なんと、2年後、弊社を退社。
再び、フリーランスへ戻る。

そして、3年程前、再び弊社へ入社。
現在に至る。

こんな経歴の持ち主なので、彼女を再々雇用する時、”えこひいき”の疑惑を掛けられたというわけだ。

数値に表すことができない価値

彼女は、弊社では唯一のデザイン担当だ。
社内スタッフとして、外注先として、常に一緒に仕事をしてきた。
しかし、産休中と海運会社で働いている間は、彼女に仕事を依頼することができないので、多くのスタッフが困った。
やはり、他への外注だと、どうしても一定の手間が各スタッフへ戻ってしまう。

残念ながら、弊社の業務は、常にデザイン要素が必要とされるわけではない。
タイミングによっては、彼女が担当するべき業務がないこともある。
そんな時は、社内資料の改善や整備をしてもらっていた。
弊社では多数派の「根っからの技術オタク野郎」どもと違い、デザイナーである彼女がつくる資料は美しい。

例えば、一部の社内マニュアル。
動物のイラストアイコンに吹き出しをつけて、そこに第三者目線のコメントを記入する。
そんな工夫が施されている。
これなら、弊社では多数派の「せっかちな結論ファースト信者」どもも、真面目に読む。

こういった数値に表すことができない価値。
私は、それを高く評価している。
だから、決して”えこひいき”ではない。

――― と、思っている。

何よりも、もう随分長い間一緒に仕事をしてきた。
空気のように自然に、少ない情報伝達でスムーズに成果を出してくれる。
会社にとって、そんな人材は早々簡単に育たない。

――― 貴重な人材は何度でも再雇用する

それが私の考えだ。
これが”えこひいき”というなら、もうそれで良い。
それなら、”えこひいき”は、悪くない。

ちなみに、社内では「彼女が次はいつこの会社を飛び出すか?」というノストラダムス的な話題がしばしば盛り上がる。
半年程前、彼女自身は「2025年くらいかな?」と言っていた。
皆、思わず笑ったが、私としては笑っている場合ではないのかもしれない。


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