【経営の勉強】なんてものは経営を始めないとできない
「今、起業に向けて経営のことを勉強しています。」
「もう少し経営の勉強してから独立します。」
こういったことを口にする人の殆どは実際に起業しない。
そもそも、経営の始める前に経営を勉強することなどできるのだろうか?
今回はこの辺りのことを書き綴っていく。
経営の勉強って、何?
経営の勉強とは、会計に関する知識なのだろうか?
それならば、不要だ。
経営をはじめて3年もすれば、必要なことは自然と身につく。
業種にもよるが、年商1億くらいまでは「どんぶり勘定」でも安定した経営はできる。
「現金」と「決算書の数値」の感覚が合わなくなった時に勉強すれば良い。
むしろ、自分が経営する会社の数値でなればリアリティーがないので、勉強しても今一つ実感のない知識になるだけだ。
起業前に人脈を形成することが経営の勉強なのだろうか?
それならば、不要だ。
起業前の人脈と起業後の人脈の質は大きく異なる。
起業後の人脈の方がはるかに重要だ。
そもそも起業前は自分の看板を背負っていない。
それなら、誰の看板を背負って人脈を形成するのか?
経営の勉強とは、部下を上手く使うことだろうか?
それならば、不要だ。
起業前の部下と起業した後に自ら雇用した部下は全く違う。
起業前は部下に対して自分の身銭を切っていない。
ラーメンが素麵のようになるくらい時間を掛けて教育をしていても自分への実害はない。
楽しく、ゆっくり、丁寧に教育すれば部下の退職率は下げられるだろう。
上司から褒められるかもしれない。
しかし、起業後に自分の身銭を使って雇った部下にそのような菩薩教育ができるだろうか?
起業後の採用・人事は、会社の生命線そのものだ。
経営の中で何よりも難しいポイントに位置する。
それを起業前に勉強できるとは思えない。
経営の勉強とは、マーケティングに関する知識なのだろうか?
それならば、必要かもしれない。
しかし、起業前に他人の商品をマーケティングして実際に販売するような経験をどのようにして積むのか?
そこが難しい。
マーケティングとは、自分の身銭を掛けて広告を打ち、その結果を受け入れるところまでが1クールだ。
身銭を失った分を調査費用、勉強代だと受け入れて、次の新しいマーケティング戦略を考えることが重要。
務めている会社の予算、つまり「他人の金」で無責任に広告を打った経験から勉強できることは少ない。
成功談を聞いても意味は無い
セミナー・講演の中で語られる成功談。
書籍の中で書き綴られる成功談。
雑誌内の特集で記載された成功談。
これらの知識は、殆どの人にとって、ほぼ意味が無い。
なぜなら、同じことをしても成功はできないからだ。
再現性があることなど、特定のタイミングで利用できる ”かもしれない” テクニックの "一部程度" のこと。
ゲームの中で「いつ使うか分からないアイテム」と同じだ。
成功談の知識を貯めて成功できるような気になっているような人は、経営者に向かない。
そのまま、おとなしくしていた方が良い。
失敗談はありがたい….が
経営者の失敗談はありがたい。
だいたいの経営者は、だいたい同じような失敗をするものだ。
事前に知識を持っていれば、避けることができるかもしれない。
避けられなくても、ダメージを減すことくらいはできるだろう。
しかし、表面だけの失敗談など、宴会のネタ程度のもの。
本当に重要なのは、失敗した原因と復帰策が思い浮かんだ要因だ。
このような話は、一般的な関係の仲では語られない。
経営者になって、同じく経営者と密な仲になってはじめて語られるものだ。
経営者は、サラリーマンに向けて経営のコアに触る密な話はしない。
実感がないから絶対に伝わらないことを知っている。
経営を続けることが経営の勉強
結局、経営の勉強というのは、経営をしてみないとできない。
起業前には実感できない。
それでも勉強しようとしていたら、アッと言う間に人生後半に突入してしまうだろう。
さらに、会社を経営していると多方面から問題が押し寄せる。
想像もつかなかったトラブルが頻繁に起こる。
どんな会社も常に課題は山積みだ。
仕事がない、人手が足らない、金がない、アイデアがない、体力がない、メンタルがないなど、経営とはビジネスの総合格闘技を連戦し続けるようなものだ。
1期が一回戦、2期にが二回戦、10期で十回戦を終える頃には、経営者として随分立派な哲学を身に纏っているはず。
私は、経営の勉強は、経営を続けていくことでしかできないと思っている。