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「失敗」という消去法

私は経営者として、頻繁に「失敗」をする。
しかし、「失敗」というのは経営者によって、随分捉え方が違うものだと感じる。
今回はこの辺りのことを書き綴っていく。


失敗してはいけないこと

私が経営者として通常業務の中で失敗してはいけないことは2つだと思っている。

・高額な設備投資
・正社員の採用

この2つは、失敗すると痛い。
設備も正社員も長く付き合うことが前提だ。
高額な設備を買いなおすことは非現実的で、失敗した悪影響を背負ったまま走ることになることが多い。
正社員は一度採用したら「間違えました」では済まない。

もちろん、上記2つの他にも、業種や会社によっては、失敗が許されないことがあると思う。

――― 取り返しがつかない要素

これが、失敗してはいけないことだ。

逆に「取り返しがつかないことはない」ということ。
これは、必要以上に恐怖を感じる必要はないと思っている。

失敗しても良いこと

失敗しても良いことは、多い。

・大してコストが掛からないこと
・自分自身の労力や時間でカバーできること
・恥をかいて終わること
・謝って許されること

他にも腐るほどあるが、要するに「失敗してはいけないこと」が重要であって、それ以外のことの重要性は低い。

自分自身の範囲で終わることは、恐れる必要が全くない。
自分以外の人を巻き込むことについても、事前に頭を下げ、失敗したら今一度頭を下げる。
これで許されることが多い。
普段から信頼関係を築いている人になら、時には甘えても良いと思う。
むしろ、そんなタイミングで自分が「応援」されるかを試すべきだ。

失敗への恐怖心

例えば、私の場合、新規事業へ10回挑戦すると、7回は失敗する。
すぐに失敗が確定することもあるし、長い目で見た時に失敗と言わざるをえないこともある。
ただ、3つは利益をもたらすものとして残る。
これが、非常に重要だと思う。
この3つが無かったら、今が無い。

もちろん、失敗への恐怖がなかったわけではない。
しかし、それに負けたら、とうの昔に会社を失っていると思う。

――― 失敗するのは当たり前

このくらいが丁度良い。
そして、子供の様にジタバタする。
これに限る。
どうも多くの人間は、大人になるとジタバタするのが嫌になるようだ。

――― 一度、全力でジタバタしてみる

それが、失敗への恐怖を克服する唯一の対策のように思える。
自分が全力でジタバタした時に、どのくらい物事が動くか?
これを知ることは、失敗と上手く付き合っていく上で大切な感覚だと思う。

失敗をどう生かすか?

私は、成功から得られるものは少ないと思っている。
逆に、失敗から得られることは多い。

タダで失敗してはいけない。
失敗と確定するまでに、多くの思考を巡らせたはずだ。
それは、確実にどこかに書き留めておいた方が良い。
反省は重要で、それを甘く見ると人間は確実に同じ失敗を繰り返す。

逆に言えば、同じような失敗に対しての耐性が身に付いてくる。
同じような失敗は、2回で十分だ。
そんな気持ちで失敗へと立ち向かえば、10回の挑戦で3回くらいは良い線まで辿り着くと思う。
そして、気づけば多くの「失敗耐性」が身に付いていると思う。

――― 失敗耐性こそ、経営者の粘り強さ

私はそう思っている。
経営者をやっていれば、どうせ予期せぬトラブルが起きる。
そんな時、過去の成功体験など、全く役に立たない。
失敗耐性こそ、心の強さだ。

もう一つ、非常に重要なことがある。
それは「スピード感」だ。
これがない経営者の会社は、私の体感的に9割ほど消えていく。

失敗を突き抜けたいなら、それと引き換えにハイスピードで動き回る必要がある。
失敗を最速で確定させ、次の失敗へ向かう。
最速で売上を上げ、それを次の挑戦に使う。

――― 思った以上にスピードを出さないと、会社は伸びない

これは、既に会社の経営をしている人は、よく知っていることだと思う。
今の位置に満足できない人は、スピードを上げるしかない。

一方、ロースピードのままだと、失敗の途中で「金」か「気持ち」が尽きる。
そうなると、残る選択肢は「小リスク・小リターン」のものだけになってしまう。
そして、その場合は「失敗をしない」ことが生存戦略になる。

もちろん、それが自分に合っていれば、それも良い。
ただ、その場合は悟りを開き、欲を捨てる覚悟を持った方が良い。
そう成れれば、きっと幸せになれる。

私個人としては、失敗をたくさん経験することを望んでいる。

――― 失敗の確定は、選択肢の消去

次は、きっと勝てる。
そう信じている。
頭が回る間は、可能な限りスピードを出して進みたい。
ただし、もう若くないので、体は大切に。


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