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和菓子で鹿嶋を面白お菓子くしたい7代目  ~番外編その1~ 鹿島立

先日、こちらの記念すべきnote一発目の記事を上げましたが、Twitterなどでの反応を見ていると、丸三老舗の知られざる歴史や若旦那の苦労談への需要が大きいようなので、今回はそちらについて赤裸々に書いていきます!

~若旦那の鹿島立ち~

鹿島立ちとは…旅に出発すること。旅立ち、門出。奈良時代、東国から筑紫、壱岐、対馬などの要路の守備に赴いた防人(さきもり)が、任地へ出発する前に鹿島神宮の前立ちの神たる阿須波神(あすはのかみ)に道中の無事を祈願したことに始まり、のち武士にもこの習慣が伝えられたという。              出典: 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ

そんなこんなで、十数年前のとある夏の日。都内でのサラリーマン生活を捨て、歴史ある丸三老舗の経営者という新たな旅を始めることに…。


その当時の丸三老舗の経営状況はかなり厳しいということは、鹿嶋に戻る前から母や一部役員(叔父)、税理士さん経由で事前にわかっていましたが、かな~りオブラートに包まれた感じで部外者として見聞きする「厳しさ」と、当事者として全てがストレートかつ隠し事なしで体験する「厳しさ」には天と地ほどの差がありました。

なかなかパンチの効いた状況でここまで書いていいのかな…という気もするはするけど、ここら辺をぼやかしてもその面白さ(?)は伝わらないとは思いますんで、まず、その当時の丸三老舗のお金周りの具体的な状況を事実のみ羅列します!盛り上がってきたぞおお←

①当時は本店、神宮駅前店、三笠店(市役所前)、成田店と4店舗展開していて、各店が年々売り上げを落としてはいたものの、単純な売上高としては2021年現在より多かった。…にもかかわらず、最初の月末に手元の現金が店舗の釣銭を含めても90万円しかなかった。               (※参考までに、毎月の取引先への支払い、スタッフさんへお給料、普通に支払えばともに300~400万円ほどずつ出ていきます。)

②事務所にかかってくる電話10本中9本がカードローン、システム金融、日掛け金融、商工ローン、闇金からの督促。(たまに闇金のチンピラが事務所に凸してきて、闇金ウシジマくんの世界を体感できる。)

③取引先は長く取引してる会社ほど買掛金が溜まっていて、多いところで1社あたり500万円以上。納品のたびに催促されていて取引停止もチラつかされている。

④金融機関への返済は元利ともに完全に返済ストップ。国/県/市への税金や社保も数年に渡って滞納し、おそらくまともに対応していなかったために重加算税も発生。

⑤金融機関、取引先、税金などを後回しにしながらでも社員の給料は最優先で払っていたようではあるが、それでもなお遅配が常態化。一部役員の方々が「うちはずっと給料もらってないんだから」と開き直って、レジから売上金を抜いていってしまう。秩序崩壊で企業としての体をなしていない。   

⑥どう頑張っても若旦那まで回ってくるだけのお金がなく、2年ほどは無給(笑)                               さらに、社内で思い切ったルール変更をするたび、役員として残っていた親戚の方々から突き上げをくらい、また、事あるごとに金を無心され続ける。

とまぁ、ザックリこんな感じの旅の始まりではあったわけです。

万が一、若旦那が超真面目で、すべてを真正面から自分事として受け止めるような「できた人」で、なおかつ社会の荒波に揉まれずに丸三老舗内で純粋培養で育っていたら、間違いなく精神を病んでいたか、最悪冬の鹿島灘に飛び込んで海の藻屑になっていただろうな…とはいまだに思いますが、幸い都内で一番際者に勤めた超絶ブラックなコンサル会社で一度完膚なきまでに叩き潰され、身体も心もボロボロの状態からスーパーサイヤ人よろしく華麗なる復活をしていた若旦那は、自分の限界を知っています(笑)

「これは本気でやったら、また身も心もダメになるやつだ…」と直感的に悟り、「まぁ俺が作った借金でもないしwそんな真面目に返す必要もないかw」と開き直り、以下の自分ルールを制定しました。

(特にお金に絡む話では)できる範囲の約束しかしない!たとえ1%でも守れない可能性のあるような話についてはキッパリと断る。
ただし、約束したことは死んでも守る。

金融機関、税務署、社会保険事務所、税務課、買掛の溜まりまくった取引先などなど、その気になればうちのことを潰せるようなステークホルダーはウヨウヨいるわけで、その中で1社でも、1団体でも納得しなければ、すぐに身を引くつもりで経営の舵取りをやってました。

不義理の連続で怒り狂ったり呆れ果てる債権者の皆様と相対しながら
「前経営者である叔父を始め、経営陣が大変ご迷惑をおかけしました。彼は責任を取って辞任させ、他の役員も全員降格させました。以後自分が中心となって丸三老舗を立て直します。そのうえで、丸三老舗としてお約束できるのは●●●のラインまでで、それがうちとしての精一杯です。前社長のように、その場しのぎで出来ないようなお約束するわけには行きませんが、言ったことは必ず守ります。もしこの条件がご納得頂けないということであれば、今すぐにでも回収に動いて下さい。おそらく1社が動き出せば連鎖的に他の取引先や金融機関も動き始めるので、うちは間違いなくあっという間に潰れます。ただ、それは我々自身で蒔いた種ですし、御社を恨むような筋合いはありませんので、どうぞ遠慮なく丸三老舗を潰して下さい。」
と、何度啖呵を切ったことか…。

と、まぁ、こうやって文章にすると背水の陣で腹をくくって交渉して、気迫で押し切った…的な感じにも見えますが、実際には、サラリーマン時代にお世話になってた取引先の社長さんたちから「実家の立て直しやってみて、ダメなら東京に戻ってきなよ!いつでも雇ってあげるから!」という話はいくつか頂いていまして。
丸三老舗が想像以上に酷い状況だったんで、鹿嶋にどっぷり浸かってしまう前に、どこかが引き金引いてくれないかなぁ…という思いも心のどこかにあったような気がします…(笑)

すったもんだがありつつも、大変ありがたいことに、金融機関や取引先、その他多くのステークスホルダーの皆様にキチンとご納得いただき、今の丸三老舗の復活につながるわけです。
上記①~⑥の問題についても、それぞれの解決策や対処法、ドラマチックな展開などもあったわけですが、それらを事細かに書くといくらでも長くなってしまうのでこちらでは割愛します。
が、そのうち物好きな方だったり、実際に似たような境遇で苦労している方向けにまとめたいものです(願望)

ということで、本日はこのあたりで!


次回予告!
『みんなにキチンとゴメンねして、何とか丸三老舗の営業が継続できることになったんだけど、そのあとも毎日のようにトラブルだらけで若旦那は毎日モー大変☆…そんな中、リーマンショックを超える一大事件が勃発…!マグニチュード9の揺れが丸三老舗の屋台骨を大きく揺るがす…(物理)』

                                                                                               to be continued...

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