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和菓子で鹿嶋を面白お菓子くしたい7代目  ~番外編その3~ 

皆様ご存じの通り都内出店などで3月下旬からかなりバタバタで、すっかり更新が遅れてしまいました…。
実際にはいろいろとあって、まだ都内店舗はバタバタですが、丸三老舗のGW~母の日の繁忙期につき、奥様が毎日お仕事=若旦那はずっと子守りで多少PCに向かう時間もあるので、ここらで書いてみます!

間もあいてしまってますので、まずはおさらいからどうぞ。

若旦那が丸三老舗の経営を継いでから、前経営陣による杜撰な経営による倒産の危機からの立て直し、次は東日本大震災による危機からの立て直しと、基本的には尻拭いとトラブルシューティングの日々を送り続けていました。

ヒト・モノ・カネといったリソースは常に限られていて、打ち手を考えてもその中の最善の手を打つことはできず、できる範囲内でやれることをやるしかない…。
当時は、それが辛いなぁ…ストレスだなぁ…もっと自由に思いつくがまま経営をしたいなぁ…などと思っていましたが、今になって思えば、打ち手が限られている≒自分で考えるべき範囲も限られているため、経営者としてはすごく楽な状況だったんだなと…。
まぁ、これまでのnoteで書いた通り、経営の状況的には超ハードモードであったことは事実なんで、銀行の人や取引先の人にこういう話をしても「またまたぁ…」みたいな感じであまり信じては貰えませんが、経営者としての悩みは当時よりも今の方が圧倒的に深いです(笑)

左右両側が切り立った崖になっていて真っ暗で何も見えない一本道を、踏み外さぬよう一歩一歩前に進み続ける。確かに怖い状況ですが、考えることは目の前の一歩のことだけでした。そこにチャレンジや雑念が入り込む余地はなく、あらゆるリスクを避けながら、自分なりに二歩先の道の姿を想像しつつ前に進む。そして前に進めば進むだけ明るい出口が近づいてくる。

それが今や、前後左右に広大な明るい土地が拓けていて、自由に動けるしチャレンジもできる。ただ、自分が動いた先に正解があるかどうかは実際に行動し、目的地まで行ってみるまでは分からず、下手すれば大きな落とし穴や罠にハマる可能性がある。何をするもしないも自由だけれども、その自由には大きな責任がついて回る。

このどちらに対し楽しみ/ストレスを感じるかは、人それぞれでしょう。
ゲームでも、何度も死んでゲームオーバーを繰り返しながらクリアにつながる細い細い攻略ルートを見出す、いわゆる死にゲーにやりがいを見出す/苦手な人もいれば、ゲームの世界の中で何でもできて、そもそも攻略やクリア自体を目標にしなくてもよく、自由に生きられるオープンワールドゲームが楽しい/つまらないという人もいます。

幸い、どちらのゲームもイケるクチの若旦那(笑)は、それなりに悩みつつも前向きに楽しく経営に携わっていますが、兎にも角にも今現在はオープンワールドゲーに近い経営状況でして、そうそう簡単には正解が見つからない中で、最善の一手を模索しながら日々経営に取り組んでおります。

で、肝心の震災後の丸三老舗ですが、以下のような取り組みに力を入れてきました。

ギフトが軸足になりすぎていて、地域住民の皆様的にちょっと敷居の高いお店になっていたので、朝生菓子(お団子や大福やお饅頭など、その日の朝に作る日持ちの市内生菓子)の開発や販売に力を入れる!

今思えば、これが結構なターニングポイントになっていた(後述)わけですが、当時話題になっていたかりんとう饅頭、地元産の素材を使ったいちご大福、鹿嶋市産のコシヒカリを使った純米団子などが次々に誕生し、自分で言うのもアレですがなかなかのヒットを飛ばしました。
かりんとう饅頭はブームだったこともあり、他店でも始めてましたが、うちは揚げたてを提供するようにしたり、カリカリ感を持続させるために配合を調整したり、芋餡+黒蜜のオリジナルかりんとう饅頭(※既に販売終了)を開発したりで他店より少し手間をかけ、多い日には神宮駅前店&神栖店の2店舗で1日1000個近くを販売。年間数十万個を売るヒット商品になりました。

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特に、屋外で揚げたてを販売するイベント出店などでは大人気で、鹿嶋まつりのような集客力のあるイベントでは1日に2000個以上売れましたねー。それまではギフト用の日持ちのする商品ばかりだったため、たまにイベント出店なんかしても全く売れず、店頭販売とネット販売でしか稼いでませんでしたが、こういう出来立てのおいしさやしずる感の伝わる商品を、丸三老舗としてこだわったクオリティで作れば勝負できるな…!という知見が得られました!

また、今や冬~春の丸三老舗の稼ぎ頭と言っても過言ではない極いちご大福についても、父の代では「あんな和菓子は邪道だ」といってやっていなかったらしいんですが、そういったものに一切こだわりのない若旦那は、当時地元で美味しいと評判だった農園さんにいちごを卸して欲しいと直接直談判に行きまして、商品化。

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販売し始めた当初は1日50個ほどしか売れてませんでしたが、ただでさえ美味しいと評判のいちごを収穫されたその日に直接農家さんから仕入れ、フレッシュな状態のうちに大福に加工して販売する大福の味の評判は良く、おかげさまで毎年のように売数を増やし続け…。今では多い日には1日数百個が早い時間には完売になってます。その後チャレンジした催事出店などでも、いちご大福だけで20万円~30万円売れるほどの人気商品ですが、やはり手間暇もかかり作り置きできない職人泣かせなお菓子ということで、うちの工場の製造能力の限界まで作ってる日が結構あります…(笑)


そして、そういった商品開発以外に平行して取り組んでいたのがこちら。

不採算店は閉店し、神宮駅前店と神栖店の2店舗に集約する!その代わり、オンラインショップに力を入れて、新たな収益の柱を作る!!!

こちらも、今に続くターニングポイント(後述…笑)ではあったんですが、まず自分が丸三老舗に戻ってきた時点で楽天市場などに出店して若旦那が片手間でショップ運営してまして。ただ、自分が忙しいと発送も遅れるし、そもそも売上が年間数十万円程度のお小遣い稼ぎになっていたので、一度まるッと外部委託して一気に売上を伸ばそう!ということで、常にお金の無かった当時としては清水の舞台から飛び降りるつもりで工面した80万円ほどを業者さんに支払い、運営を委託したわけですが、結果は惨敗…。

これも今思えば当然の結末ではあったわけですが、さも「それっぽい」感じの過去の実績だったり、紙や画面上の数字ばかりを吹聴して、ECコンサルだのマーケティングのプロと称し、「お菓子に対する想い」であったり「作り手へのリスペクト」の無い頭でっかちな人たちに丸投げしてお菓子を売らせて、それでバカバカ売れるほどお菓子の世界は甘いもんじゃあないんだなぁ…って←お菓子は甘いけど

とまぁ、ここに関しては反省しきりだったわけですが、そうこうしているうちに奥様が丸三老舗に入社し、ネット販売の専属担当者に就任。楽天大学という楽天市場で売上を伸ばしたい人たちの集まりにも参加してもらいまして。

その結果!

1年目から売上を3倍ほどに伸ばしてもらい、翌年以降も毎年のように前年比150%くらいのペースで伸び続け、気づけば楽天でウン千万円を稼ぐように…!

もうね、これはめちゃくちゃ助かりました。単純な売上としてもありがたかったし、例えば金融機関なりと対峙する場面でも、過去の債務のせいで経営状況が芳しくなかったとしても、この実績があるんで比較的強気で行けました(笑)
丸三老舗は成長してますよ!儲かってないのは、あくまで過去のむちゃくちゃな経営陣とそいつらが作った負債が原因なんですよ!と堂々と言えるようになり、ずっと尻拭いばかりの若旦那の精神衛生上も非常に頼もしい出来事でした。

…ということで、お待ちかねの後述!


勘の鋭い読者諸兄はすでにお気づきかもしれませんね…。

そう!

これらは全て!

今現在のコロナ禍で、会社全体を支えてくれる大きな土台になってくれてるんです…!!!


ご存知のように、コロナのせいであらゆる経済活動は停滞。「他人と会う」という行動も不要不急のものに関しては悪となり、当然、手土産や贈答といった目的のお菓子はほとんど動かず…。もしギフト用商品がメインのままであれば、それに伴い大きな影響があったはず…。

ただ、おうち時間を楽しく過ごすための生菓子系は、ギフト系のお菓子の売れ数と反比例するよう伸び続けました。

もちろん、丸三老舗として、贈答商品はある程度の売上のボリュームは残っていましたので、打撃としては大きかったんですが、その凹みをいちご大福をはじめとした生菓子たちがしっかり埋めてくれました。

さらに、ネット販売についても、1度目の緊急事態宣言以降は例年の2倍以上のペースで伸び続け、コロナの影響で神栖店を閉店したこともあり、今や丸三老舗の全売上の4割ほどを占めるように!!

コロナ前の数年は、ECの過当競争、レッドオーシャン化のあおりをモロに受けて売上のボリュームはピークアウトした感じもあったんですが、コロナの影響でECのすそ野自体が一気に広がり、震災以降のECでの経験の積み重ねのおかげで、その恩恵を逃すことなくフルに受けられたなと…。

いやもう、自分自身の先見の明が………ってことじゃなく、そういう体制を作れるように協力してくれた工場や店舗やネット販売のスタッフさんたち。
そして、お菓子と農産物という垣根を越え、広義の「作り手」としてお互いにリスペクトし合い、おいしいお菓子作りに協力してくれた生産者さんたち。
まだ予断を許さないものの、そういった皆さんの努力とご協力のおかげで、丸三老舗はコロナ禍を何とか生き残れそうです。ありがたやありがたや…。

ということで、今回はここまで!

次回のキーワードは、「TOKYO」!

お楽しみに!

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