ULTRA CELL 返詩 3月
もちろん愛が欲しかったが
君の心は手に入らなかったし
それを言うならば
誰の心を手に入れることもできなかった
君は僕を好きだと言ったけど
それは僕ではなく
本当は誰か別の人のことだって
君はまだ分かっていない
ぎゅっと手を握る
そこに、そっと口づける
もう片方の手で唇をなぞった
神様このまま全部
手に入れてもいいですか
貴方が好きなのは自分だと
騙したままでもいいですか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
君が別れたいと言うのなら
もちろんそれでいいのです
でも本当は大丈夫かなって
君のことを心配してる
悲しいことがあった時
なぐさめてあげなくて大丈夫かなって
それから
自由に自由に泳いでいても
君は満足するかなって
ちょっとだけ苦しくさせられるのが
癖になってるんじゃないかって
ああそれから僕がつけた傷
時々痛いんじゃないかって
君が別れたいと言うのなら
もちろんそれでいいのです
でもぎゅっと抱きしめた
君の一部分を
離してあげるつもりはない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
孤独で寂しかったので
誰が来ても僕は歓待した
それでも興味はなかった
現実以外には
現実以外に生きていない人間には
また会いにくるねと行って
去って行ってしまった
あなたのことを
流れる水のような華奢なブレスレットをして
それをそっと自分に触れさせて喋る
あなたのことを
僕は自分ができる限りのことをして
ただ一つ自分ができることをして
待っていました
皆僕を愛していると言った
なぜなら僕はそうやって自分の中にあるのと似ている
空洞と
その空洞に焦がれる欲が
はっきり見えたから
その気になれば
それに触れることさえできたから
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時々あなたはそっと
私の肩を抱き
いいからと言って私の進むべき方向に誘導した
何かから守っていてくれたのか
どこかに連れて行こうとしていたのか
わからない
そのような従うことの退廃に
だんだんだんだん抗えなくなる
私の好きだった飴色の鞄
よく意味のわからない女の子が出てくるフランス映画
スーパーヒーローが出てくる漫画
全てが囁きの中に霧みたいに遠のいてゆく
どこに行っても大丈夫
どんな状態でも大丈夫
あなたは私の肩を抱き
甘やかに囁く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Twitterの自由詩作集団『ULTRA CELL』の企画に参加させていただき書いた詩です。ありがとうございます。お題の詩に返詩するという趣旨で、お題の素晴らしい詩はTwitter(以下のリンクの記事に詳細の説明があります)から読むことができます。