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インドの味とオトコたち・・・大川 苗

インドは言わずとしれたグルメの国である。東西南北でいろいろな料理があり、毎日インド料理でも全く飽きない。よく知られたバターチキンは北インドから、カシミールは川魚やレンコンを使うし、ヒマラヤの中のダラムサラではワラビを使う。ミャンマーに近いマニプールやナガランドは竹の子や味噌、(激辛)納豆だってある。南インドはタマリンドを上手に使ってさらりとまた酸味をつかった料理に定評がある。魚や肉また野菜も地方で違い、それぞれの風土に合った料理を楽しむことができる。

「インド人にとって一番ホットなトピックは?」と聞かれたら、すかさず「食べ物の話」と答えるであろう。普段無口なやつだって、この話題には話を割って入ってきたりするくらいだ。

 デリー周辺の北インドでは「モモ」と言う餃子のようなものが定番のスナックだ。焼くのも、揚げるのも、蒸すのもあるし、蒸してから焼いたものだってある。これらは大体路上店で売っていて、それぞれのお気に入りの店がある。わたしのお気に入りのモモ屋に半信半疑の顔をしたデリーっ子を連れて行って「うわあ、めっちゃウマーい!」と言わせることに快感を覚えている。

 でもそれでも彼らの自慢は絶対に「ママの味」なのだ。ママが作る料理が誰もが一番だと思っていて、話はつきない。ホームパーティーに呼ばれると、休む間もなくとにかくたらふく食べさせられる。とある友人宅では食べさせられ続けるのに懲りて、ベッドルームに隠れていたこともあったくらいだ。スナックのパコラ、サラダ、ダール、肉料理や魚をバナナの葉に巻いて蒸したもの、ミックスベジ(カレー)、ビリヤニ、ライタ(ヨーグルトソース)、デザートなどなどが続き、来客もバラバラに来るもんだからずーっと食事の時間で、食べ終わったつもりなのに、また食べたくなる。また来客もノンベジ(肉食)とベジ(菜食主義)がいるもんだから、両方を作る家庭もある。とにかくインドのママたちは大変でも料理には手を抜かないのである。

 そんなママに育てられたオトコたちにも料理上手がいるもので、その恩恵に何度も預かった。

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