生きててくれてよかった、と思ったこと。
旅先の宿は、古民家を改装した一軒家だった。
一階の間取りはサザエさんハウスそっくりで、
居間のとなりに台所があり、宿泊部屋にあたる和室二間の周りを縁側が囲んでいる。
丑三つ時。
ポツ、ポツ、と不規則な物音で目覚めた。
部屋の蛍光灯が煌々と光っている。いつのまにかすっかり寝落ちていた。
音のするほうを見る。縁側に面した障子のほうだ。
そっと、そーっと、近づく。
障子をゆっくり開けて、のぞき見た。
そこにいたのは、ゆうに体長3センチはあろうかという羽虫だった。
のちに調べたと