自分の服装がヤバいと気づいたら、どうしたらいいのか? 〜「35歳女オタクが幼馴染から服装のダメ出し食らった話」へのアンサーソング〜
Twitterでバズっていた「35歳女オタクが幼馴染から服装のダメ出し食らった話 」を読んだ。
すごく自分に刺さったし、たくさんの人に刺さる文章だけど、抵抗を生むものでもあるよな、と思ったので、自分の考えを整理するために書く。
おしゃれや身だしなみは、マナーとかルールとかあるにはあるけど、大多数の人が作り出した「空気」によるところが大きい。
変えたくなければ変わらなくてもいい。自分の心を守ることが一番大事。
でも、世界は自分の外側にも広がっている。
他人の気持ちを気にしてやってもよい、と思う余裕がある人は、「好きなものを着て、他人からも不快に思われない(むしろ素敵だと思われる)」を目指しても良いと思う。
私自身は「昔は服装ほんとにヤバかったけど、変わってよかったな」と思っているタイプの人間なので、これから述べることも「変わるならどうすればよいか」という方向性の話になる。
他人にどう言われようとも今の自分を愛していて、自分を変えたくない人は、これを読まずに自分の好きなものに突き進んでほしい。
以下、いくつかのポイントについて、私の考えを述べる。
■他の人の気持ちについて
・一緒に行動する人(友達)、同じ場所を共有する人(アフタヌーンティーをするホテルのラウンジにいる人たち)の気持ちを考える(嫌な思いをさせないように気を配る)必要がある。
・服装は、意図する/しないに関わらず、周りの人にメッセージを与える。
・服装は、顔つきや身体つきと違い、自分で選ぶことができる。そのため、服装が発するメッセージは、着ている本人からのメッセージと捉えられる。
その場にふさわしい格好をしている→安心感、好感
していない→「場」への反発を感じる。不安、不信感
・人を見た目で判断するのは良くないことだ←わかる
だから見た目には気を使わなくていい。大事なのは中身←「見た目に気を使わなくていいと考える中身の人なのかな、もしくは見た目に気を使えない事情があるのかな」としか思われないのでそれはどうかな
・でもそもそも「35歳〜」の筆者さんの場合、気を使わなかったわけではなく、自分ではおしゃれをしてきたつもりなのにその格好を否定されたので強いショックを受けてるんだよな・・・
■「年相応の格好」について
・「年相応の格好をする」とは、好きなものを我慢することではない。その年齢になった自分と好きなものの両方を素敵に見せられる(似合う)着方・選び方をすること。
・マヨネーズが好きだからといってショートケーキにマヨネーズをかけないのと同じ。好きだからこそ、かけて美味しくなるものにマヨネーズをかける。
■オタクグッズの着こなしについて
・オタクグッズ(コラボアクセサリーなど)は多くの場合、クセの強い調味料。
・アクセサリーとして・衣服としての機能の一つである「身につけた人に馴染み、素敵に見せる」ことを優先しているものは、ファッションとして使いやすい。
・グッズとしての側面が強いものの機能は、「作品の世界観を現実世界に拡張し、身につける人のテンションを上げる」ことに全振りしており、それがアクセサリー・衣服の機能とは喧嘩する(=クセが強い)。
・クセをうまく馴染ませるテクニックがないと、普段着として使いこなすのは難しい。
■流行遅れのアイテムについて
・商品は流行に合わせて作られる。流行に左右されない服だと思って着ているものは、大抵「物心ついた時に流行ってたからよく親に着せられてたやつ」= 一昔前の流行。
・身体に馴染んでいるので気づかないが、ある時代の流行が染みついてしまっている。
・筆者さんの服装で、幼なじみさんから指摘されていた流行遅れのポイントが2つある。
ミニ丈→Y2K(2000年代)ファッションのリバイバルで流行り始めているが、そういう文脈で着るのでなければロング・マキシ丈が主流。中途半端な丈だと「一昔前の人」もしくは「OLさんの制服」っぽさが出てしまう。
シュシュ→流行していない。「ポニーテールとシュシュ」の頃ですら残念ながらダサかった。実はビッグリボンシュシュは流行ってるんだけど、シアー素材で大人っぽくてシックなやつ。筆者さんのはおそらくそういうのではないっぽい。
・流行でないもの、年相応でないものを身につけるなら、それを身につける必然性がないと違和感を生む。筆者さんの場合、「自分は童顔で小柄だから」と思っていたが、残念ながら幼なじみさんから童顔でも小柄でもないと指摘されていた。
■服を買う店について
・年相応の、流行を意識したショップで買うのが一番楽にダサくなくなる。
・ユニクロは10年前、20年前とはかなり変わっている。ベーシックで、流行のライン(シルエット)で、品質が良いものを、お手頃価格で買うならまずはユニクロ。
思いの丈はこっちに綴ってあるのでお暇があったら読んでほしい
流行りものどこで買ったらええんじゃ問題2021
■経済観について
・「いい歳してプチプラはイタい」というのは、プチプラでもいいものはあるとか、プチプラしか買えない人のことも考えろとか、そういう反論は当たらなくて、「経済的にはもっといいものを購入できる余裕があるにもかかわらず、プチプラで、かつ特に品質が良くないものをわざわざ選択すること」への批判(プチプラだけどいいものだと思ってるのに言われるとショックを受けるけど・・・)
・それが良いか悪いかはさておき、経済観(何にどのくらいお金を使うか・使わないか)によって「自立して生活する大人としてちゃんとしているか」評価される。
・「35歳〜」を読んで、経済観の違いが、「友人として付き合いを続けられるか」の評価軸の一つにもなり得ると言うことに気づいた。幼なじみさんの場合、アフタヌーンティーの料金だけでなく、そこに似つかわしい身だしなみを整えるのにかかるお金を使う余裕や感覚があることを筆者さんに期待していた。ところが筆者さんは(幼なじみさんから見て)そうではなかったので、一緒に過ごすならお金を出してでもそれなりの身だしなみになってもらおうとした。「合わないからと関係を切るのでなく、ここまでして友達を続けようと思える関係性が築けていた」とも言えるし、「関係を存続するために相手の価値観を変えようというのは横暴だ」とも言える。友達やめるかやめないかの瀬戸際の問題。それはいろんな意見が出ますわ。
■終わりに
Twitterにも書いたけど、私は「35歳〜」の筆者さんのように好きなものを好きなように身につけてきた人が他者の視点を得て「変わらなければ」と思った時、お手伝いができるようにスタイリストを始めた。
「変わる」ためにそれまで好きだったものを全て捨て去るような悲しいことは求めたくなくて、好きなテイストをどんな風に落とし込んだら他の人からも素敵に見えるか、ワクワクしながら一緒に探索することを目標としている。
「35歳〜」の筆者さんのクローゼットの中は、リボンやフリル、キャラクターTシャツなどでいっぱいだという。それらを気に入って買った時の幸せな気持ちと、幼なじみさんから指摘を受けた後に眺めた時の落差を想像すると胸がぎゅっとなる。
どうか多くの人が、過去の自分を強く否定する(される)ことなく、自分から見ても他の人から見てもすてきになれますように。