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自作ゲームBGM使用クラシック曲を語ってみる

こんばんは。まるきです。ヘッダーのイラストは吉島様作(@yoshijirna_cms)

今回は乙女ゲーム風近未来SFノベル『終末、執事と星に歌う』に使用したクラシックのBGMを一部つらつら語ろうかなと思います。
ストーリーのネタバレはないので、プレイ前に読んでも基本的に問題ありません。
BGMのバレが含まれるので、事前情報ゼロでこれからプレイしたい方はご注意ください。

あと初めに言っておきますが、私は全然クラシックに詳しくありません。たまに気分で聞いたり逸話をちらっと聞いて面白いなーと思う程度です。ここに書いてることも余裕で間違えている可能性があります。

そもそもなぜクラシックを使ったかというと、『終末執事』のジャンルが乙女ゲーム風SF で舞台が宇宙だからです。まあ地球の回想もかなり含まれるのですが、そこは置いといて。
宇宙はクラシックと相性が良い。せっかく宇宙が舞台の話を作ったんだから、ここぞとばかりクラシック流すぞ!と思ったわけです。
しかしノベルゲームのBGMで交響曲なんかをドコドコ流すとプレイの邪魔になる可能性があるし、ロマンチックさも欲しいし、素材の関係もあるし……というわけで、基本有名どころで大人しめのピアノ曲やそのアレンジが選ばれました。

そんなわけで一曲目。
フランツ・リスト『愛の夢』第三番

ゲーム中ではオープニングなどのシーンで使わせてもらいました。知る人ぞ知るピアノの魔術師、リストの曲。でもやっぱり聴いてて思うのはリストってズルいってことです。なんかもうね、魅せ方を心得てるというか…。一番と二番も好きです。
整った顔だけでなく体格にも恵まれ、手が大きかったことで知られます。もしも乙女ゲームにいたら俺様キャラ&取り巻きの妨害イベント待ったなしのアイドル音楽家リストですが、一方信心深い面もありました。
このロマンチックな『愛の夢』の愛も恋愛というよりは、もっと宗教的な神への愛や人類愛に近いようです。ちなみに、この曲には作曲の元となった詩があります。それがこちら。

おお愛せよ、お前が愛しうる限り!
おお愛せよ、お前が愛したいだけ!
その時は来るのだ、その時は来るのだ
お前が墓の前に立って歎く時が

だから心せよお前の心が燃え立つことを
愛をはぐくみ、愛を携えることを
その愛がなお他のひとりの心と
愛の中で 暖かく共に脈打つ限り

お前にその心を開く者に
おおお前は彼に、できうる限り、優しくあれ!
彼をあらゆる時に幸福にせよ
彼をいかなる時にも悲しませるな!

そして気をつけるのだ お前の舌には十分に
間違ったことを言ってしまったあとですぐにああ神様、そんなつもりではなかったのと言っても彼は去って行ってしまうだろう 嘆きと共に

おお愛せよ、お前が愛しうる限り!
おお愛せよ、お前が愛したいだけ!
その時は来るのだ、その時は来るのだ
お前が墓の前に立って歎く時が

フライヒラート
「おお愛せよ、お前が愛しうる限り」

シューマン 子供の情景より 『見知らぬ国から』『トロイメライ』

幸せになってほしい系音楽家シューマン。友人リストとは曲を捧げ合ったりする関係で、リストもこの曲がお気に入りだったとか。
シューマンの曲はわかりやすい華やかさとは違った、個人的で情緒的な良さがあるように思います。上の2曲はピアノ曲集「子供の情景」からで、トロイメライは夢という意味。
タイトル的に子供のために作曲したのかと思いきや、父親に反対されて大好きな婚約者クララと会えない間に、彼女を想って作曲した曲らしいです。シューマンいわく「子供心を描いた大人のための作品」らしいので、シューマン流大人向け絵本といったところでしょうか?
この辺りのスケール感の差もリストとは対照的でなんか好きです。「詩人の恋」も好き。

エリック・サティ『ジムノペティ』第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」

宇宙船のシーンで使われた曲。1番の方が圧倒的に有名ですが、宇宙の雰囲気には2番の方が合っていたのでこちらに決定。
作中で宇宙の描写はそんなに書いていないのですが、この曲のおかげで大分なんとかなってる感はあります。
サティは「家具の音楽」という「聞き流されるための音楽」を提唱し、後の環境音楽に影響を与えた人。なのでもはやBGMとしての使いやすさは仕様と言えます
もともと酒場で演奏をしていたサティなので、自分の曲をBGMに人がワイワイしてるのが好きだったんでしょう。後世でゲームのBGMに曲を使っても、サティならきっと許してくれる…と勝手に思っています。

サン・サーンス 動物の謝肉祭より『白鳥』

「動物の謝肉祭」は、元々サンサーンスが身内向けネタとして作曲した曲集でした。
というのも動物の謝肉祭は、他の作曲家の曲のパロディが多分に含まれていたから。さすがに怒られるのが怖かったのか、サンサーンスは動物の謝肉祭を自分が生きている間は演奏禁止にします。しかしサンサーンス没後にこの曲集は出版され人気に。人気作家の二次創作同人誌が、死後に発掘されてベストセラーになったみたいな話ですね。
なお動物の謝肉祭の中でも、『白鳥』だけはサンサーンスの完全オリジナルだったため、白鳥だけはサンサーンスの生前から羽ばたいていたようです。ゲーム中では、キャラのイメージBGMとして使わせてもらってます。

ヴィヴァルディ 『四季』より
夏 第3楽章(嵐の季節) 冬 第1楽章

ヴィヴァルディの『四季』は春が有名ですが、この2曲もとにかくカッコいい名曲。特に冬の第1楽章はロックやテクノとも相性がよく、どうアレンジしても大体カッコよくなります。原神のPVにも使われたらしいですね。ゲーム中でもアレンジ曲素材を使わせていただきました。

終わり
BGM全部は紹介しきれませんでしたが、長くなったのでこの辺にしておきます。本当はもっと他にも入れたい曲はあったのですが…。まあ今後のゲーム制作で機会があれば…!と思っています。クラシックはいいぞ。

乙女ゲーム風近未来SFノベル『終末執事』プレイしてくれると嬉しいです!応援よろしくお願いします!

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