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仏談 - 地獄 1-
地獄だ・・・。
日常よく使うこのフレーズは状況がすこぶる悪い時に使う。しかし考えてみれば地獄に行った奴などいないのである。いや、行った奴はいるかもしれないが、その人は死者でありもはや我々の世界との接点はないので『こんなんやったでー』と体験談を伝えることができない。じゃあどうして地獄の様子が描かれていたり語られていたりするのだろうか。
平安時代に『往生要集』という人の死後についての解説書(?)が、源信という僧侶によって表された。往生した(亡くなった)後に人はどうなるのか?ということをつぶさに表した、当時の人々にとっては自分の行く末を震撼させる、心底恐ろしい内容だったのである。ナクヨウグイスで始まった平安時代は、今から1000年も前の貴族文化華やかな時代ではあったが、人が死ぬときには貴賤を問わず病院で最期を迎えるわけではなかった訳で、死というものがずっと身近で関わりも濃かったはずである。
人は死ぬと物理的な現象としては、肉体は朽ち、腐り、犬に食われ、虫が湧き・・・と変化していくが、他方死後の目に見えないスピリチュアルな領域である四十九日のことについては『赦して!閻魔様!1〜3』に書かせていただいた。そこで今回は忌明けである四十九日以後、生前悪事や殺生をした人間(ほぼ全員そうだ)が次に住まう世界である地獄というところの話である。もちろん私とて行ったわけではない。仏教の経典などの中に書かれてある地獄という所を紹介するだけ(いや、ちょっとアレンジはしてるなw)である。
そもそも地獄とは死の直後から四十九日間に及ぶ、7つの裁判の後に決定する行き先である6つの世界(天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)の内の1つである。輪廻や転生のことを説明し始めるとそれだけでかなり記述しなければならない項目があるので、ここでは地獄という世界のことだけについて極々シンプルに語ってみたいと思う。
『往生要集』にも記された地獄の描写は微に入り際にわたるものであるが、8つに分かれた地獄というものを一覧に並べてみると、こうなる。
ー 地獄の8階層 ー
①等活(とうかつ)地獄
②黒縄(こくじょう)地獄
③衆合(しゅうごう)地獄
④叫喚(きょうかん)地獄
⑤大叫喚(だいきょうかん)地獄
⑥焦熱(しょうねつ)地獄
⑦大焦熱(だいしょうねつ)地獄
⑧無間(むけん)地獄 →阿鼻(あび)地獄とも
地獄は地下深くにあり、上の8つの地獄世界が縦に積み重なるように並んでいる。その1つ1つの地獄世界はそれぞれ1辺が1万由旬(約10万㎞)の立方体をしているというからそれが8層あるとなると相当な規模である。人は死ぬと7週7回の裁判の後、次に生きる世界に行く。四十九日が明けた時点(忌明け)から地獄に落ちる際、一番上の層である等活地獄まででさえ、地表から地下に1千由旬(1万㎞)のところにある。最下層の無間地獄に至るまでには、フリーフォールで落ちていってもおよそ2千年かかる計算になるらしい。死ぬやん(笑) イヤ死んでるか。
しかしそこまでの距離は、ゆうに地球の直径より長く、日本から見れば地球の反対側であるブラジルを突き抜けてまだ遥か向うにあるのだが、ここは精神世界ということで、リアルな世界にあてはめず、あくまで地中奥深くに存在するものとしようではないか。でないとこの後話ができないのよ。