セグ1グランプリ
一対の小さなタイヤの間に足を乗せるステップがついた乗り物があることは、ほぼ全ての方がご存じだろう。私は一度も試したことはないから詳しくは知らないが、テーマ画像のように ハンドルがステップから屹立しているタイプと、ステップとタイヤだけのバージョン(ミニセグウェイ?)があるそうな。 しかし聞くところによると 残念ながら『セグウェイ』は製造中止になったらしい。ま、売れなかったんだね。オモチャにしては高価だし日本では公道は走れないらしいから、ビジネスとしては成立しなかったのかもしれない。
この地面を這う 搭乗型モビリティロボットも きっと自転車や原付同様、慣れて乗りこなすまでの期間、コケたりワッタッタになったりするのだろうが、調べると安全のた20㎞以上のスピードは出ない仕掛けになっていたようだ。
しかしこのおもちゃ、このまま廃れていくとしたらもったいないなぁと頭の中で妄想が膨らんだ。たとえば競技になって、F1ならぬ『セグ1』なんてのがあったら楽しいんじゃないかなぁなどと思ったり。そこで今回の投稿では 我が校教員(我々は M画伯と呼ぶ先生だ)に全面的にイラストで協力をしてもらい、バカバカしい世界を表現したものである(笑)
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このマシンは理論上 体を前傾させないと前に進まないし、乗ってる人が後方に置いてかれてしまう。速度と前傾角度が比例することは物理学の必然であろう。当然速ければ速いほど前傾角度はキツくなっていくのだが、まずは時速5km あたりから語っていこう。この速さはほぼ人が歩く速さだから、まず巡航速度といえるだろう。安定的な走行が可能であると同時に、乗っている人にも余裕があり、今にも口笛が聞こえてきそうだ。
スピードを上げていこう。当然競技としての『セグ1』に出場するからには、人が走って追いつけるような速度では話にならない。最終的な競技スピードに至るまでの途中経過として、オリンピック陸上競技の男子100m走でのトップスピードと同等の速さならいかほどのものなのかを表してみた。
トップレベルの選手がたたき出すスピードは40km/h を少し超える程だ。本当ならこのイラストみたいに軽装で乗れるわけはない。もし一般道がこんな人たちだらけなら、アチコチで転倒したりぶつかったり、ヘタすると死亡事故さえ発生しかねない。
あくまで理論上の話だが この『セグ1』という競技は、出そうと思えば相当なスピードが出せる。どうせ架空の乗り物だから、思い切って時速200kmを出した時のことを考えてみよう。ただし、ここまでのスピードになると前傾角度はほぼ水平である。顔のすぐ下は時速200kmで後ろにすっ飛んでいく地面だ。
しかし時速200kmレベルのスピードになると当然空力の問題が出る。よって上図の状態は本来あり得ない。一瞬で転倒し、回転し、衝突し、死亡するだろう。200kmなんだから。
となると、車体と体が浮き上がらないように、しかも接地もしないように保つためにカウルやフラップ、ウイングが必要になる。それら無しでその速度を達成するのは現実には不可能である(ま、あったとしても・・・だけどねw)
空力コントロールのための装置をフルに身に付けた人はこうなってしまうのではないか? と考えたのが次のイラストである。レーシングスーツを身にまとったドライバーは当然ヘルメットを装着するが、そのヘルメットは、地面に近い部分金属でカバーされている。そうでないと設置した際に脆いだろうから。またイラストではわかりにくいが ドライバーは両手で長い板状のスポイラーを持っており、体の上下動を抑えている。また太ももからはステーを立てた上にウイングを配置して、十分なダウンフォースを得られるような効果を狙う。
セグ1グランプリは世界15カ国を転戦しながら巡る。ヘルメットが地面に擦れるたびに火花を散らしながら走るドライバーは、危険度に呼応して超高収入だ。命をかけた男たちはどの国においてもモテモテであり、子供たちは皆 セグ1レーサーになることに憧れる。
夢のレース、セグ1。・・・なぁんてね。
《追記》M画伯について
ウチのアートディレクターであるM先生。今回の原稿料は化粧水で手を打ってもらった。我が学園の広報戦略が もし今よりサブカル寄りになったなら、彼はその方面でのリーダーに据えるべき人材である。