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足す『オシャレ』・引く『お洒落』
若い世代、特にウチに在籍している美容学生みたいなファッション系カテゴリーともいえる一群は、装いが華やかで個性的、またそれが似合うのだともいえるのだが、この『華やか』なるものは、ともすれば『うるさい』と感じる場合もあって加減が難しい。この2つは紙一重である。
たとえば生徒たちに自由課題で作品を作らせたりすると、アレが流行ってる コレがオシャレだと、全てを『足し算』でくっ付けたがる。それを放っておくと節操のない『オシャレ・流行・イケてるモノの全部乗せ』になりかねない。
サロンワークの美容師だった頃、成人式のヘアセットに 自分で買った髪飾りを持ってやってくる新成人には苦笑することもしばしばだった。アレもコレもと買い込んだ大量の髪飾り。
『コレ全部付けるの?』と私。期待度が最高潮になっているそんな若いお客に『少し飾りが多すぎるかなぁ?』とか『コレとコレを一緒に付けるのはちょっとおかしいかなぁ・・・』なんて言うと、と不満そうな顔をしながらこちらを見る。そんな残念そうな真っ直ぐな目を今でも覚えている。
いつの時代も 色んなものを無分別にくっ付けていくのは 若者の悪い癖なのかもしれないが、不調和を飲み込んで『それもアリ』にする最大のファクターもまた『若さ』なのである。だから新しいムーブメントは若者にしか作れない。
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人間歳を重ねるとどうしても見た目が変わる。いくら通販のオールインワンのクリームを使ったって、なかなかCMのように『これで◯◯歳⁉︎』とはならんのだ(笑) さらにいえば、少々整形をしたところで、同世代より若干若く見えるだけで、20代に見えることは100万%ない。しかしそんな若作り(自分では相当若く見えると信じている)の御仁が、調子に乗って若者と同じような『足し算』の装いをしたらどうなるか? その答えは火を見るより明らかである。
歳をとったら基本 装いは『引き算』で考えなければ違和感につながりやすい。美容師の立場から言わせてもらえば、とかく『足し算』をしがちなものといえば、ヘアカラー(ブリーチ、ウィービング、インナーカラー等)を一番に挙げようか。ある一定以上の年齢の方は ウィービングなんかの『2色刷り』はしない方がいい。派手だからとか年相応でないということではなく、変なのである(レアケースとして 髪そのものに艶と毛量があり、またきれいなストレートであれば、その限りではない)。オカズの多いデザインは、シンプルできれいな素材にしかプラス効果を生まないからだ。
年齢的に艶や毛量が無くなって、うねったりビビったりしている髪ならば、色々ゴチャゴチャせずに単色のままの方が合う というのが美容師としての私の考えだ。
また装いにしても、ダメージ系なんかの『要素の多いもの』は身につけるのが難しくなる。自然な調和が取れなくなるからだ。オジさんにパーカーが似合わなくなるのはそのせいである。フードがジャマなのだ。スリークな生地で無地、シンプルで『要素の少ないもの』が、年齢を重ねた方には最も親和性の高い装いとなる。若者のように『足し算のオシャレ』を自分のものにする力はないのだから。
はてさて一般論を述べてみた。しかし実は私個人はこんな理屈について、独自の価値観を持っている。場合によっては反対をいくこともある。どう見えるかはわかっているつもりだが、年齢・性別や社会的立場などの 目に見えないくびきを拒否した上で『人間性を疑われない範囲での自由』こそが私の目指すところなので。
何のこっちゃ。他人には厳しく指摘し、自分はその指摘項目に全く従わないという、老害の要素を確実に持つ私である。