美容室における会話
美容師としての立場で 美容室におけるお客様と美容師とのやり取りに一言。
千年一日のごとく美容サロン内で美容師からお客様に投げかけ続けている質問。その日のゴールとなる髪型が決まると、全国20万軒を超える美容室で、同60万に迫る美容師たちがこんなことをお客様に尋ねるのである。
多くの女性は友達でもない誰かとの無言の空間が苦手だ。だからその無音の時間を埋めるため、仕方なしに定型文のようなやり取りがなされているというのが現実だろう。ヘアスタイルを決めること以外の、美容師によるどーでもいいような問いかけに対し、お客様の方も気のない返事をするという、極めて表面的で無意味なコミュニケーションがここに成立すのである。
しかし最近は美容師の方もそんな女性側の事情をわかっているので、web予約する際『話してほしい』や『会話は不要』みたいな客側の要望の選択ボタンがあったりして驚く。
今回は『そんな質問に対してこう反応したら、きっとなぁんにも考えていないタイプの美容師(かなりいる)は絶句するだろうなぁ』という回答を考えてみた。
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1.お仕事は何をされてるんですか?
➡︎『なんであなたにそんなこと答えなきゃいけないんですか?』 こんな返しができたら 訊いた美容師は凍り付くだろうなぁ。でもそう答えたいお客様も少なくないと思う。その答えによってスタイルやカラーを作るのだと、聞いたような口を利く美容師は存在してそうだけど、プロならばそのお客様が最も可愛かったりきれいだったりするものをまずは提案すべきだ。それがイヤだとか、できないってのはお客様が判断すべきことだと思う。
➡︎『美容師です』。おっと。同業者の来店を嫌がる美容師。それは自分の技術にケチが付くことを極端に恐れているからだ。しかし かといって上達のため自助努力で研鑽を続ける人は稀有なのもこれまた美容師。
2.この後どこかに行かれるんですか? & お休みの日は何をされているんですか?
➡︎『なんであなたに・・・?』は上記同様。でもそれを聞いてどうするの? とマジで思う。
➡︎何の遠慮もなく美容師がお客様の休日の行動のような極めて個人的なことを聞く。お客の中には初めて会った知らない人からこんなことを尋ねられ、それに答えるというのは、ズケズケとプライベートに入り込まれることだし、気持ち悪いことだと思っている人も多かろうよ。
3.【おまけ】痒いところはないですか?
➡︎いにしえより連綿と受け継がれたこの質問は、令和の今も必要なのだろうか(既に廃止している店もあるが)? この質問に疑問を持つ人が増えてほしい。もはやシャンプーは、頭が痒いからするものではないではないと思うんだけど、今でも地方の理美容室に行くと、若いスタッフが『カイとこ無いっすかぁ?』みたいに聞いてくる。
➡︎『背中』。実際こんなことを言う客(多くは男性)は存在する。若い女性スタッフを困らせて楽しんでいるような手合いだ。これは客の方が悪い。無粋だし失礼だから冗談だとしてもしない方がいい。
➡︎『全部』。これまた実際に存在する。というか私自身の体験だ。たくさん洗ってもらわないともったいないとでも思っているのか、『てっぺんあたり』⇨そこを洗う・・・『耳の後ろ』⇨そこを洗う・・・『前髪のところ』⇨そこを洗う・・と順に指摘された部分を洗った後の『他にないですか?』の質問に対する答えが『全部』だった時には思わず笑ったものだ。
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はてさてこれらの美容師発の質問は、そろそろ根本的に考え直した方がいんじゃね? と思うんだが、どうだろう?