本当に必要な検定の提案
在学中の資格取得は我々専門学校の特徴であり その合格率は広報上重要なファクターであるともいえる。しかし民間団体が設置する資格のなんと多いことか。しかも今でも次々に新しく設立される団体や、それにともなう資格・検定も少なくなく、学校としては生徒たちにどれを選択受検させるかをいつも考えておく必要がある。生徒たちが学ぶカリキュラムやシラバスを決定する際には、検定の種類と難度、また今現場でいかほど求められているのかを総合的に判断しないといけないからだ。
しかし暴言のそしりを覚悟にあえて言えば、美容関連をはじめ ほとんどの資格は、持っていたからといって その人のプロとしての実力を的確に表すものではない。確かに一部技術レベルとリンクするものもなくはないが、飾りに過ぎないものも多いといえば 噛み付いてくる人(特にその資格や検定制度で食ってる人なんか)もいるだろうか。
私の知る限り介護の資格などは『その資格がプロとしての実力を表さないもの』の最たるものだと思う。私自身 妻の介護のために休職していた時期に、スキルがあれば今後役に立つのではないかと思い立ち、民間団体の講座を受け 福祉施設での実習などもこなして資格を取ったが、残念ながらそれだけでは高齢者の着替えひとつできない。これは美容師の国家資格を持っているのに シャンプーも満足に出来ないような 半端な人材よりさらに酷い。結局現場でやってみて失敗しながらでないと、知識も技術も身につかないというのが世の常なのである。
人が生きていく上での本当に必要な能力について、ちゃんと考えて資格を作るべきだと私は心から思っている。以下に挙げた数種の検定実施の提案は、8割はお遊び、しかし残りの2割は心の声でもある。
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《モチ検》ヤル気を持ち、保つ能力
言わずと知れたモチベーションの検定。その場の誰もの顔に疲れの色が見えてきたタイミングで重宝する能力だ。段位を持つ達人になるとモチベーションを高めるだけではなく 0から生み出すこともできるから、上級資格保持者は 軒並み高給取りだ。
《ポカ検》顔や態度に出さない能力
ポーカーフェイスから命名。すぐ顔や態度に不満や怒りが出てしまう若者に、この資格取得は職業を問わず広く求められる。そして部下を持つようになったら改めて必要になる能力でもあるが、なかなかその取得は難易度が高い。
《フカ検》周囲を不快にさせない能力
コミュニケーションにおいて、相手にイヤな思いをさせない能力。バーバル、ノンバーバルがある。しかし指摘しないわけでも主張しないということでもないので、上級資格保持者はどこの企業からも引くてあまたである。
《カマ検》かまってもらわなくてもすねない能力
初級は自分が「かまってもらわなくても生きていく」ことがテーマであるが、上級になると他人に対する更生の手腕も問われる。しかし初級の資格取得さえ困難な「かまってちゃん」が、ええ歳をした人の中にも存在することは、全国の役職者を悩ませる由々しき事態でもある。
《トジ検》常に当事者意識を持てる能力
他責傾向が強く文句ばかり言っている人とは対照的に、周囲で起きている事象について、自分にも関係があると思えること。これは後天的に学習することもできるが、家庭環境に根差した資質がものをいう。一人っ子や金持ちの子供にありがちな、他人の思いに気づかず当然感謝もしない「坊ちゃん・お嬢様体質」の人は、そもそも自分のために周囲が動くことについて特別な感情を持たないから、この上級資格の難易度は難関中の難関である。
《モク検》目的の達成をブレさせない能力
目的は大事だ。しかしその大事なことがしばしば行方不明になるのが人生だ。ビジネスもしかり。目的を外さず、今取り組める最善の方法を選択した上で実際にやることを計画 立案できる人材は、役が付いた後には いよいよ必要とされることになる。
《ジョシ検》上司としての総合的な能力
女子力の話ではなく上司力だ。部下にやる気を出させ 成果に繋げるための様々な取り組みを断行する力をTOEIC同様、点数化する(名称はJOESIC=ジョーシックだ)。800点以上の高得点達成者は 要するにその実力とともに威厳ある存在感を周囲や部下から認められているということだ。当然そんな人材は強力なチームを作れるし 誰からも慕われる。
あ〜こんな人が欲しいなぁ・・・。
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とかくビジネスにおいては 技術的なスキルばかりが取り沙汰されるが、いくらAIが進化しようと、仕事をするというのは 人と交わるってことだ。そしてその能力が絶望的に乏しい人が増えてきた。今回は 議論一つできない人たちを量産し続けるこの社会を、自分のことは棚に上げて皮肉ってみた。
お後がよろしいようで。
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