大日本帝國海軍 《駆逐艦》
《駆逐艦》
艦船同士がドンパチ大砲の撃ち合いをするというより、強力な魚雷(水中を走る艦船攻撃用爆弾)による攻撃こそこの艦の命だ。5,000 トン程度の小型の軍艦で、潜水艦にとっては最も恐ろしい相手といえる。速いしすばしっこいし航続力もあったから、最前線においても そうでなくても、とにかく何にでも使えて どこにでも顔を出した船。110mハードルの選手だけど 42.195kmも走れるようなものだと例えようか。護衛艦としてもなくてはならない存在であり、戦艦や空母が参加しない海戦はあっても駆逐艦がいない戦いなどあり得ない。
航空爆弾が直撃しても大きな軍艦はなかなか沈むところまではいかないが、航空爆弾なんかより大量の炸薬量を内部に充填している魚雷は、1発で大艦をも沈めることができる。なぜなら魚雷の照準は当然喫水線の下にありそこは装甲も薄く、当った箇所が機関に直結する箇所なら航行は停止し、さらに火薬庫が誘爆すればその船は爆沈の運命をたどる。
縦横無尽に戦場を暴れ回る駆逐艦は、海の上を時速 70㎞ / h 以上で走る。最速の誉れ高い『島風 = シマカゼ』に至っては公試で 75.4 km / h をたたき出した。しかもその記録は今から 80 年以上も前の話である。その『島風』は最大の武器である魚雷に関しても15 発を立て続けに発射できたのだが、これは従来艦の 2 倍に相当する威力であった。
大東亜戦争においては、帝国海軍の名だたる駆逐艦群の中でも有名なものといえば、スピードスター『島風』より『雪風 = ユキカゼ』だと思う。なんせこの艦は常に最前線にガンガン出ていながら決定打となる爆弾や魚雷を受けることなく、沈没を免れた強運の船だからである(テーマ画像)。軍艦を美少女キャラに仕立てたりするなど擬人化流行りだが、私が意思を持って擬人化された軍艦になるなら、迷わず駆逐艦『雪風』になりたい。
いや美少女ではないが。