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「猫は可愛い」だけでは済まされない。
ある動物保護活動をしている有名な人が言っている言葉が印象的だった。
「野良猫は命がけで生きているのに、のんびりとした写真集なんて出すなよ」
世の中には、たくさんの猫の本、写真集などがあふれている。
「猫ブーム」はいつからだっただろうか?
単純に「猫グッズ」を買い集めたりするだけなら、何の問題もない。
そういうブームに好きなだけ乗っかればいい。
問題なのは、改めて言うまでもないが
一時の感情で猫を飼いそして、捨てる人間がいる事だ。
そもそも「飼う」という言い方も私は嫌いだけど。
「暮らす」でしょ。「一緒に暮らす」なんだよ。
だから、そんな「のんびり」とした写真集ではない、この本をお勧めしたい。
一見「のんびり」してそうに見えるけど、かなり突き刺さる2冊。
だから、見て欲しい。
【やさしいねこ うちのぽー】
どんくさい野良猫の「ぽー」
捕獲機に二回入っちゃうウッカリやさんの「ぽー」
町内最弱猫の「ぽー」
律儀にご飯の順番が来るのを永遠に待っている「ぽー」
長老猫のミヨコさまに怯える小心者の「ぽー」
新巻鮭がはいっていた発泡スチロールの箱にすっぽりハマる「ぽー」
お年寄り(猫の)や女性(猫の)にやさしい「ぽー」
婦人用日傘がなんだか似合う「ぽー」
争いごとが嫌いな「ぽー」
ついに家猫になった「ぽー」
家猫になっても最弱猫の「ぽー」
保護子猫の世話を焼くおじさん「ぽー」
愛しいヘタレ猫の「ぽー」
「ぽー!」
「ぽー?」
「ぽー・・・・」
呼ぶと必ず振り向いてくれるやさしい「ぽー」
写真家の太田康介氏の近所に現れた野良猫、それが「ぽー」だ。
特徴的なしっぽをしていることから「しっぽのぽー」で「ぽー」。
他にもいる野良猫や自宅にいる猫の話の中心にはいつも「ぽー」がいる。
はじめは地域猫として見守るつもりだったらしいが、「ぽー」は、だんだんと近づいてきて・・・
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ぽーに優しく語り掛ける章扉の言葉の一つが心に残っている。
それは、ずっとずっと、わたしも感じていた事。
猫にとってあれこれよくしてあげたつもりでも、それは人間の考える「よい」ことな訳で、本当は何がいいのか、ずっと考え続けているから。
ねえ、ぽー。
本当の自由ってなんだろうね?
どんな状態なら幸せなのかな?
安心安全と引き換えにして 君の自由を奪ってしまったことは、
気ままが好きな猫にとって幸せと言えたんだろうか?
君にとっての幸せを、私たちは勝手に決めてしまったかな。
【しろさびとまっちゃん 福島の保護猫と松村さんの、いいやんべえな日々】
太田康介氏関連本で引き続き、紹介したいのはこちら
![](https://assets.st-note.com/img/1655947436384-bOMzEHK0Rc.jpg?width=1200)
写真家である著者は東日本大震災でも、福島第一原発20㎞圏内で、動物ボランティアの傍ら、取り残された動物たちを撮影し現状を伝えている。
そんな時に出会った、震災後も地元にとどまり見捨てられた動物たちの世話をする、一見コワモテの「まっちゃん」
ほとんどいつも作業着を着て、贅沢は好まず、日本酒と納豆があれば生きていけると語り
見棄てられた動物たちを「かわいそうだっぺ」「誰も殺させねぇ」と次々と引き取る男前なまっちゃん。
「福島のラストマン」として日本よりも海外で有名なまっちゃん。
![](https://assets.st-note.com/img/1655985441287-nCLghiVWsk.jpg?width=1200)
しろとさび、二匹の仔猫は保護施設の前に捨てられ、保健所行きになる手前でまっちゃんに救われました。ただただ可愛がるだけでなく、仔猫だった二匹にまっちゃんは親猫のように、木登りの仕方、屋根への避難方法など、自然界で自分を守る術をまず叩き込む。
本当に我が子を育てるように時に厳しく、でも遊ぶときには精一杯一緒になって遊ぶ、毎日の散歩も欠かさない。
仔猫たちや犬、牛、ダチョウ、イノシシ、ポニーまでいるまっちゃんの暮らしは、何も考えずにただただ写真で眺めている分には、癒しの風景。
だけど、ここは他に人もおらず放射能汚染されているかもしれない危険区域。それでも、そこで生きていくと決めた彼らの暮らしには、言い知れぬ幸せが垣間見える。
だただた癒されたいだけなら、この本はお勧めしない。
ハッキリ言って「癒し」ではない。
「優しい人に拾われてよかったね」と単純な思考で、ハイ終わりではないのだ。
これは、突きつけられた現実から目を背けて、日々を忙しく過ごすふりをして、見て見ぬふりをしていると、とてつもなく深く突き刺さる話。
この場所で多くの動物の命が失われたのは、国や原発だけのせいではないということ。
私を含めた、人々の動物に対する意識の低さが招いた悲劇だと感じています。すべては、「もうどうしようもない」「可哀そうだけど仕方ない」とあきらめ、動かなかった人間のせい。みんなに目の前の一匹を救う意思があれば、助けられた命だってたくさんあったと思うのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1655985177259-3JUReh9Dxs.jpg?width=1200)
暮らしは続く。
本は、一時期のまっちゃん達の暮らしを切り取ったあくまで「一場面」であり、現実は続いていく。もちろんその後の暮らしも著者は追っていて、ブログにはその後のまっちゃんたちの様子もでている。
それを知り、またこの本を是非読み返してほしい。
ここからは、ちょっと毒の吐き出し・・・
私の暮らす山にも、なぜか毎年と言っていいほど野良猫が現れる。
山の中でまさか野良が野良を産んでるのではない。
あらわれた時にはもう成猫なのだから。
そこには必ず人間が関わっている、はず。
だから、言いたい。
世の中には、想像しない人、考えない人が多すぎる。
それは頭のいい悪いには関係ない。全くない。
難しい事を言っているわけではない。
行動の先に何があるのか、想像して欲しい、考えて欲しい。
猫は可愛いよ。
そう思うなら、
もっと想像して。
「一緒に暮らすとはどういうことか」
もっと考えて。
「なんで世の中にはこんなに野良猫が多いのか」
それは、命を無駄にする人間を減らす事に少しでもつながると思うから。
法律は、動物を守ってくれない。
情に訴えても、届けたいような人には届かない。
だから、
人間は他の動物より何が勝っているの?
何が違う??
「想像する事」「考える事」ではないの?
それを駆使して欲しいだけ。
きっとこれも、気にもかけない人たちには少しも届かない願いなのだけれど・・・・
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