ふたつめ

読んだ本や観た映画、日常のことなど 日日是好日

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最近の記事

「わかるのは愛してることだけ」

「愛って。」 2019年1月に放送された、書籍紹介番組『100分de名著』の「風と共に去りぬ」特集回。 同番組のファンである私はいつもどおり、家でストレッチマットに寝転がりながらテレビをつけた。 その日は全4回の特集の最終回、読み上げられるのは物語の終盤。 主人公・スカーレットと、病で死の淵にいる従姉妹・メラニーとの会話が繰り広げられる。 メラニーの結婚相手・アシュリに長い間想いを寄せていたスカーレットは、自分と違い貞淑で信心深く優しいメラニーのことを人としては好きで

    • 読書日記: 『コンプルックス』

      ――なんて酷な造語だろう。 そう思ったのと、手に取ってレジに向かったのは ほとんど同時のことだったと思う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーールッキズムに言及する記事になるので、 気になる方や気にしちゃうかもという方は 読むのをお控えいただくか、 別の機会にお読みください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今年も半ばのことである。 他者の「いいね欄」が閲覧不可になるという改変のネットニュースがX(旧twitter)上を駆け巡った。 「寂しい」

      • 星がひとつ欲しいとの祈り

        星をひとつ持っている。 比喩ではなく、ほんとうに所有している。 正確には「買った」。 ごく狭義的にではあるが、この宇宙のどこかに、私の星がある。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「星の王子さま」の終わり方を覚えているだろうか。 ご案内の方も多いかと思うが 個人的に大好きな場面なので、ぜひ改めて紹介させていただきたい。 まず物語は、飛行機の操縦士である「ぼく」がサハラ砂漠に不時着するところから始まる。そこで出会うのがある小惑星からやってきた少年、「

        • 言葉言葉言葉

          35歳になる今日、自分で自分に贈り物を買った。 人生の後半戦に差し掛かろうとしている今 これからを生きるうえでの寄る辺になればいいなと そういう、一縷の望みをこめて買った。 いまから書くのはそんな、 自分への誕生日プレゼントという 年に1回訪れるささやかな選択についての、詮無いひとりごとです。 ―――――――――――――――――――――― ジムでいつも、ヘッドホンをつけている。 音楽を聴くためというのもあるが イヤホンでなくヘッドホンにしている理由はひとつ、会話の機

          「心あるロボット」はどうして嘘つきになったか?ーアシモフの描くジレンマとシンギュラリティー

          「多くの作品の共通点を見つけることも大切だけど 1つだけ異色な作品があったらそれは、作者の想いが強いものと思っていい。  これと思うものがあったら、作者らしくないと弾かずに、丁寧に読みなさい。」 大学の卒業研究に着手する際、教授からいただいた一言。 今日は私の記憶に色濃く残っているある作者の「異色の作品」について、書かせていただきます。 -----------------------------------------------------------------

          「心あるロボット」はどうして嘘つきになったか?ーアシモフの描くジレンマとシンギュラリティー

          髪を切った私に、違う人みたいと

             偽名を使ったことはありますか。  私は、あります。   ・・・・・・・・・・・・ ・・ ここ10年ほど、どうにも髪を切れない。  正確に言うと鎖骨より短くすることができない。 美容院に向かう前、ファッション誌のなかバツっと切った短い髪にハツラツとした笑顔の太陽みたいな女性たちをみて「かっこいいなぁ」と思い、こういうのもいいよねと参考用に画像を保存しておくものの いざ鏡の前に座り自分の姿を見据えると、それらの気持ちはふっとんで「痛んでるところ3cmくらい切っ

          髪を切った私に、違う人みたいと

          山内マリコ「あのこは貴族」を読んで―おのぼりにとっての”東京”―

          「“東京うまれ”は、それ自体が才能だよ。」 いつかネットでみたこの言葉を、ずっと眼の前にぶら下げられているような そんな物語だった。 『あのこは貴族』山内マリコ著 ▼あらすじ▼ 地方生まれの美紀と東京生まれの華子。 アラサー女子たちの葛藤と成長を描く、山内マリコの最新長編! 「苦労してないって、人としてダメですよね」――東京生まれの箱入り娘、華子。 「自分はお話にもならない辺鄙な場所に生まれ、ただわけもわからず上京してきた、まったくの部外者なのだ」――地方生ま

          山内マリコ「あのこは貴族」を読んで―おのぼりにとっての”東京”―