ミルクとうんちの臭い

赤ちゃんのお腹あたりを嗅ぐと、ミルクとうんちの、両方の臭いがする。
上からミルク、下からうんち、といった具合で、混ざり合っている。
これが絶妙に癖になる。

うんちと言っても可愛いもの。
大人みたいに色々なものを口にしないので、酸っぱい臭いがするだけ。
良い香りではないけど、いわゆる汚物の臭いではない。

嗅ぐタイミングは、おむつを替えた後がベスト。
おむつを替える前だと、赤ちゃんに「早くおむつ替えろ!」と顔を蹴り上げられるので。
おむつ替えの後、自分へのご褒美に、お腹に鼻を押し付けて堪能する。

しかし最近、娘が周囲の変化に気付くようになってきた。
「ママが離れて行っちゃう!」とか、「おや、パパが来たぞ」とか。
周囲を見回して、反応を示すようになってきた。

で、お腹の臭いを嗅いでいると、めちゃくちゃ嫌がられる。
眉間にしわを寄せて、「ゔゔーーーーっ!!!」と唸られる。
そんな顔も可愛いのだが、夫に「どこからどう見ても一方的にいじめている」と言われた。

たしかに、自分よりも何倍も体の大きな巨人に、自分の腹に顔をうずめられて臭いを嗅がれるのを想像すると、嫌だな。

仕方なく、寝ている娘の足の方に這いつくばって、視界に入らないようにこっそり嗅ぐことにした。
おむつが近いから、うんちの臭いしかしないけど。
今度は「どこからどう見ても変態」と言われた。

たしかに、脚の間に顔を挟む形になるから、これはどう見ても変態。
しかし、その汚名を被る価値はある。
離乳食が始まったら大人と同じ臭いになるって聞くし。

幸せなことも辛いことも、子どもが成長するとできなくなる経験がたくさんある。その時に後悔したくない。
既に今、生まれた日にもっと写真を撮っておけば良かったと、少し後悔している。もうあの日には戻れない。
泣き止んでくれなくて辛い時も、「いつか抱っこできなくなる日がくるんだ」と思うと、今の時間を貴重だと思える。

つまるところ、この臭いは今しか堪能できないのです。


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