授乳日記
娘に母乳をあげる時、自分から勢いよく喰らいつくようになった。
成長を感じて感動した。
娘からしたら、おっぱいに喰らいつくだけで感動されるなんて、親というのはなんて大袈裟で単純なんだと思われるかもしれない。
思い出すと、病院で初めて授乳指導を受けた時、慣れなくてオロオロすることばかりだった。
まず、赤ちゃんを平行に抱いて胸に近づけるという体勢が、おぼつかなくて怖かった。
重さは3キロ程度でも、頭に重心があってバランスが悪く、抱っこをして同じ姿勢を続けるのは意外と辛い。
次に、赤ちゃんの口が開いた瞬間におっぱいを吸わせるのだが、新生児は目がほとんど見えていないので、おっぱいに誘導してあげなければならない。
乳頭にガブっと喰いつかれることを思うと、怖くて勇気が出なくて、娘が頭を振る力に押し負けてしまう。
見かねた助産師さんが、娘の後頭部をガシッと持って、口が開いた瞬間に私の胸に思いっきり押し当てた。
衝撃的だった。
そんなに強く押し当てるものなの?
おっぱいに顔がめり込んでますけど?
息できてるの?
娘は元気よくおっぱいを吸い始めた。思ったより痛くなかった。
深く吸いついていれば怪我もしないし、慣れれば全然痛くなくなると言われた。
おっぱいに顔を埋めても息ができているのが衝撃だった。
ちょっとエッチな少年漫画のサービスシーンでも、ここまでめり込まない。
ちゃんと深く吸わせないと、赤ちゃんが空気を吸い込んでしまったり、乳頭が切れてしまうので、顔がめり込んでいるのが正解らしい。
そのうち顔が大きくなって、めり込まなくなる。
正直、授乳の悩みは尽きない。
一度にたくさん飲んでくれなくて、昼間は1時間おきの頻回授乳が癖になっていて辛い。
哺乳瓶拒否も始まって、夫に預けて外出するのも忍びない。
でも、助産師さんに誘導されておっぱいに顔を突っ込んでいた頃と比べると、なんて大きくなったんだと感動する。
こういう小さな変化が、親の原動力なんだと思う。