おしっこをしたらメッセージが浮かび上がるおむつ
とあるメーカーの紙おむつに、おしっこをすると「ありがとう」「だいすき」などのポジティブなメッセージが表示されるものがある。
そうとは知らずに買って驚いた。
これを、何も知らずにはかされている我が子を思うと、複雑な気持ちになる。
99%可愛いと思うが、残りの1%に恥ずかしさと罪悪感を覚える。
だって、知らないうちに自分のおしっこに反応してメッセージが浮かび上がるなんて。大人ならそんな状況あり得ない。
この感覚を深掘りすると、おしっこをするとメッセージが浮かび上がることの恥ずかしさと、それが赤ちゃんからのメッセージであるかのように見えることの罪悪感という、2つのポイントがある。
おしっこに反応してメッセージが浮かぶ
ほとんどのメーカーのおむつに、おしっこを吸い取ったら色が変わる仕組みが施されていて、これのおかげで、おむつを替えるタイミングがすぐに分かるようになっている。
普通、股の部分に沿って縦にラインが入っていて、ラインの色がおしっこに反応して変わる。
これがラインではなくメッセージだとどうなるか。
大人に例えて考えてみよう。大人は普通おしっこで服を汚すことはないので、(ないですよね?)例えば、汗ならどうですか。
汗をかいたら、背中に「お母さん大好き」と大きく文字が浮かび上がるTシャツを、そうとは知らずに着用して町中を歩くことを想像してください。
すれ違う人々が微笑ましそうに振り返ります。実家に帰ると、あなたの背中を見たお母さんはいつになくご機嫌です。
あなたが本当にお母さんのことが大好きだったとしても、このTシャツの仕組みに気付いたら、「あら、素敵な服だわね。毎日着よう」と思いますかね。
私なら速攻で脱ぎます。
更に、これがパンツならどうですか。
「◯◯ちゃん命」「◯◯くん大好き」と全面に書かれたパンツを、勝負下着として履きたいなら私は止めませんが、嬉々として履く人は、そう多くはいないと思います。
これは、赤ちゃんの生活の全てが大人に委ねられているが故に起きることで、そもそもおむつに限らず、今我が子に着せている服のデザインは全て私の好みで選んでいる。娘が「この花柄、嫌なんだけど」と思っていたとしてもそれは仕方のないことだし、今のところ娘には自我がないので、そんなことは思っていないはずだ。
しかし花柄とメッセージとでは意味が違う。例えば「海人(うみんちゅ)」とか「I`m baby」などの文字なら、服の柄としての意味しかないが(そんな柄の子ども服があるのかは知らないが)このおむつのメッセージは、明らかに赤ちゃんから私へのメッセージに見える。
メッセージが、赤ちゃんの声を代弁しているかのように見える
「かのように見える」がポイント。本当に赤ちゃんがどう考えているかなんて分からない。
赤ちゃんが言葉を話さないからと言って、大人にとって都合の良いメッセージを表示させることに、小さな罪悪感を覚える。
このメッセージが「おむつを替えてください」だったら、そこまで罪悪感はない。これなら赤ちゃんからのメッセージではなくおむつからのメッセージとも解釈できるし、赤ちゃんもほぼ100%「おむつを替えてください」と思っているはずだから。
しかし、「ありがとう」「だいすき」と言わせるのはどうか。
我が子は本当に私に感謝しているのか。私を好きだと思ってくれているのか。私はそう思ってもらえるに足る母親だろうか。これは私の自己満足ではないか。こんなことを考えてしまう私は疲れているのだろうか。
でも、めちゃくちゃ可愛いからこのおむつはリピートします。
おむつ替えのたびに「だいすき」と言われたら、「私も◯◯ちゃんのこと大好きよ〜!」となって、テンションが爆上がりするから。
ちなみに、メーカーのリリース記事によると、おむつのメッセージによって育児に対する自己効力感が高まり、母親のポジティブ感情が高まることを狙いとしているらしい。
異論はない。1%の罪悪感はあるとしても、自己効力感は大事。