初めての1人旅、世界が変わった1人旅
どうしようもなく旅が好きだ。
私を旅好きに変えてしまった宝物のような旅の思い出がある。
大学3年生の夏、初めて一人旅をした。行き先は北海道。当時、彼氏に振られ悲しくて仕方なかったので一人で出来るだけ遠くへ行き行来たいと思ったのだ。今では笑い話だが傷心旅行だった。初めての1人旅で海外に行く勇気はなかったので九州から1番遠いであろう北海道を選んだ。
10日間で北海道を巡った。
1日目は札幌のビジネスホテルに泊まった。方向音痴な私はGoogleに頼ってもホテルに辿り着けずしばらくすすきのの街を歩いた。途中で「無料案内所」の看板が見えたので、ここで道を聞ける!と思い嬉しくて店内を覗いたが全然私の求める案内所ではなかった。こんな世間知らずが10日間で色々な体験をし、人に出会い、心の底から旅が好きになったのだ。
2日目は朝一で電車に乗り宗谷岬へ行った。遠くにサハリン島が見えた感動は一生忘れないだろう。いつかあの島に行きたいと思った。
その後旭川まで戻り、人生初のゲストハウスに
泊まった。とても緊張した。その日は宿泊客が少なく、出張中のおじさんと雑談して1日が終わった。
3日目から5日目は美瑛・富良野・帯広市の北海道王道コースを巡った。大自然に心が癒された。ランチの人気店では知らないおじいさんと相席する事もあった。その方も1人旅をしていた。娘さんと私が被ったようで、落ち込んでいた私を励ましてくれた。とても温かい気持ちになったのを覚えている。
6日目から9日目は知床に行った。
ここで私の価値観が変わった、と表すよりは価値観が生まれたと言った方が近いかもしれない。
森が海が星が驚くほど輝いていた。
知床ではゲストハウスに2泊した。そこでの出会いでゲストハウスが旅が大好きになった。
1泊目、大学生の2人組と、1人旅の大学生の女の子に出会った。久しぶりの同年代との出会いですぐに打ち解けた。彼ら彼女らの今までの旅の話を沢山聞いた。楽しかった。「それぞれの人生があって、偶然旅先で出会ってまたそれぞれの人生に戻っていく。」当たり前のことだが、この偶然はなんて素敵なことなんだろうと思った。偶然の出会いで新しい世界が広がる。なんて素晴らしいんだと思った。次の日の朝見た斜里岳は朝日に輝いていて今までみた朝日と山の中で一番美しかった。
2泊目、宿泊者の中で自然と飲み会が始まった。その中で自転車で北海道一周中の画家の方に会った。北海道の自然が大好きでいつかアラスカに行きたいという話をしたら、「星野道夫の血を引いているんだね」と冗談で言わせた。おこがましいが嬉しかった。この一言で北海道がもっと好きになったし北国への興味が湧いた。
この夜は沢山の人と話し、色々な人生があるという事を知った。知らない世界が沢山あるという事を知れたことは私の人生にとって大きな収穫だった。もっともっと自分の目で色々なものを見て聞いて感じたいと思った。
翌朝、JR北海道の周遊きっぷを紛失した事に気付いた。どこで落としたかは今でも分からない。当時大学生でお金のない旅だったので、きっぷの紛失はかなりきつかった。いい気分で寝たのに朝から気分は落ち込んでしまった。
しかし昨夜仲良くなった方々が心配してくれた。その中の1人が、行けるところまでバイクで送ると言ってくれたのだ。その優しさが嬉しくて素直に甘えることにした。おくってもらった道はとても美しく、優しさも心に沁みチケット1枚失くしたことはどうでもよくなった。別れ際、その方は私に「幸福駅行きの切符」をくれた。前夜に彼氏に振られた話をしていたからだ。「かまぼこさんはこれで幸せになれるから大丈夫。」と言われお別れをした。流石にこの時ばかりは泣かずにはいられなかった。連絡先を聞こうとしたが、また会えるから。と言われ、連絡先は聞かずお別れした。(数年後、本当に奇跡の再会を果たしたのだ。後日詳しく書こうと思う。)
最終日、札幌の大通り公園でオータムフェストがあっていたので1人でビールとジンギスカンを食べて初めての1人旅は終わった。
清々しかった。強くなった気がした。
この旅をきっかけに私は大の旅好きになった。
旅は世界を広げてくれる。知らない世界を知ることがこんなにも面白いということ、日常の環境が全てでない事を教えてくれた。旅は色々な人の生き方に触れる事ができる。旅は私の心を豊かにしてくれる。そう思ったのだ。
長々と書いてしまったが、今の私には無くては生きていけないほど大好きな旅について書いてみた。これからも色んな場所で色んな人と出会ってみたい。
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